なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心原性脳塞栓症

2024年01月12日 | 脳神経疾患

 1月11日(水)に脳血管障害の専門病院からの心原性脳塞栓症の83歳男性が転院してきた。経鼻胃管による経管栄養になっている。当院転院後に、内視鏡的胃瘻造設術を行う予定になっていた。

 

 昨年(2023年)の11月20日に地域の基幹病院に救急搬入された。診療情報提供書には、胸部症状で、とある。家族の話では胸痛や呼吸困難ではなかったらしい。

 発作性心房細動の診断で入院となり、レートコントロールやヘパリン持続静注が開始された。翌21日の構語障害・失語症が発症して、頭部MRIで脳梗塞(心原性脳塞栓症)を認めた。

 同日脳血管障害の専門病院へ紹介されて、転院搬送となった。その後の経過は、

 「頭部MRIの所見は左中心前回と左頭頂葉の脳梗塞で、MRAで左中大脳動脈(M2)の閉塞を認めた。機械的血栓回収療法を行って、TICI 1(再開通はあるが、末梢の灌流なし)だった。

 フォローの頭部MRIで左放線冠から中心前回の脳梗塞を認め、軽度の右片麻痺と重度の嚥下障害が残った。経鼻胃管による経管栄養の状態。」とある。

 この患者さんは入院中の12月31日にCOVID-19に罹患して、リハビリも中止となっていた。転院してきた1月11日は隔離解除日だった。(1月10日にコロナの抗原定性試験を行って陰性)

 当院で嚥下評価を行って、どうしても経口摂取が難しければ、内視鏡的胃瘻造設術を行うことにした。

 

 TICIというのがわからなかったが、Thrombolysis in Cerebral Infarctionで、血管内治療後再開通(再灌流)グレードのことだった。TICI1は「閉塞部を越えて順行性にわずかに造影される」だった。確かにあまり効果があったようには見えない。

 発症時にM2が閉塞しているが、梗塞巣の描出はわずかで、その後の拡大が予想されて脳血管内科での治療の適応という判断だったのだろう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする