なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

顕微鏡的多発血管炎(MPA)

2024年01月18日 | リウマチ膠原病

 ちょっとずつかかわった患者さんだが、肺病変がよくわからない。

 2022年8月に市内のクリニックから右足~下腿の蜂窩織炎として64歳女性が紹介されてきた。当時在籍した内科の若い先生(自治医科大の義務年限)が担当していた。

 胸部CTで右下葉に浸潤影とも腫瘍ともとれる陰影を認めた。肺炎・蜂窩織炎として治療を開始していた。

 担当の先生は週1回ホスト病院である医療センターに勉強に行っていた。その不在の日に患者さんに喘鳴があると病棟看護師さんから相談された。

 胸部CTを確認すると、問題の腫瘤様陰影の他に気管支の狭窄?を認めた。喘鳴は喘息症状の可能性もあるが、それによる可能性も否定できなかった。幸いに、デキサメサゾン4mgを点滴静注すると喘鳴は軽快した。

 肺癌疑いで気管支鏡検査を要するということで、地域の基幹病院呼吸器内科に転院となった。(後で確認すると、返事は電子カルテ上には見当たらない。患者さんの話では、そのうち良くなるでしょうといわれたという(?)。

 

 その後、2023年3月に両側の下腿の蜂窩織炎として皮膚科の外来で治療していたが、喘鳴・痰も認めるようになって来た。胸部CTで前年に指摘された腫瘤様陰影は縮小していたが、まだあった。不思議なことに、気管支狭窄は改善していた。内科の別の先生(もともとは外科医)が担当で入院となった。

 感染症として抗菌薬を替えたりしていたが、炎症反応は悪化して、腎機能障害も認めてきた。担当の先生から相談を受けた。

 両側下腿の病変は、蜂窩織炎様のところもあるが、紫斑の散在がある。血管炎が疑われる。喘息症状・肺浸潤影を認めることから、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)が疑われたが、好酸球増加がなかった。

 血液培養2セットの提出と膠原病のマーカー提出を勧めた。血液培養は(予想通り)陰性だった。MPO-ANCAが陽性だった。(前年の入院時に若い先生が提出した時は陰性)

 リウマチ膠原病外来に来てもらっている先生に相談した。EGPAは好酸球増加がないことから否定され、顕微鏡的多発血管炎(MPA)とされた。大学病院入院は厳しい(入院数の問題)ということで、腎臓内科の扱い(大学病院の腎臓内科から来ている先生が担当)にして、当院で治療を開始することになった。

 その時の胸部CTで両側肺野にすりガラス陰影が広がっていた。MPAだと肺胞出血や間質性肺炎を認める。画像的には肺胞出血のようだが、血痰はなかった。

 ステロイドパルス療法とその後のステロイド投与で症状は軽快していった。ただ1か月経過して、治療に対する反応がいまひとつということで、結局大学病院に転院となった。

 内容は難しすぎてわからないが、分子標的薬や免疫抑制剤が使用されて、プレドニンは漸減された。現在はプレドニン6mg/日で安定しているようだ。あの右肺S10の腫瘍様の陰影もほとんどわからないくらいになっている。

 

 病名としてはMPAなのだろうが、EGPAの要素もあったということ?。リウマチ膠原病外来の受診者を確認していたら目についたので記載した。以前にも記載したような気がするので、だぶっているかも。

 

コメント
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