なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腋窩リンパ節腫脹

2024年01月07日 | 血液疾患

 アルコール性肝硬変・糖尿病で外来通院している86歳男性が、昨年12月29日に救急外来(発熱外来)を受診していた。

 非代償性肝硬変の悪化(腹水貯留・全身浮腫・肝性脳症)で7年前に入院したことがある。その後、禁酒して娘さん(二人暮らし)が生活と薬剤の管理をすることになり、病状は安定した。1か月に1回の外来通院を続けていた。

 

 12月27日から発熱があり、12月29日は上気道・呼吸器症状はないが、型通りにコロナとインフルエンザの迅速検査が行われた。結果は両者陰性。

 日直は腎臓内科医だった。カルテ画面に非代償性肝硬変なども簡単な病歴が付箋をつけているので、血液検査と画像検査を追加していた。

 血液検査では、白血球10600・CRP18.8と上昇していた。(ただし検査技師がいなくてできる簡易検査)

 胸腹部CT(単純)で肺炎はなかった。肝臓はわかりやすい肝硬変像。おそらく思いがけなかったと思うが、右腋窩リンパ節が複数腫脹していた。頸部・左腋窩・鼠径部のリンパ節腫脹はない。膵周囲のリンパ節も腫脹しているように見える。

 悪性リンパ腫疑いと判断していた。とりあえずのアセトアミノフェンと、念のためということで抗菌薬内服(ケフレックス)も処方していた。後は年末年始の休み明けに受診とした。

 

 1月4日に外来に来てもらったが、12月31日には解熱したという。食事摂取はまだ本調子ではないが、6割くらいに戻っているそうだ。案外元気だった。抗菌薬が効いたような経過だった。

 血液検査の再検と頸部~腹部(骨盤・鼠径部も)の造影CTを行った。右腋窩リンパ節は変わりなかった。膵周囲のリンパ節腫脹はあるようだが、それほどは目立たない。

 白血球6500・CRP6.3と炎症反応が軽減している。普通は悪性リンパ腫疑いだが、腹部の問題がないとすれば、右腋窩の化膿性リンパ節炎はあり得るのだろうか。

 肝硬変と皮脂欠乏性皮膚炎で体幹・四肢の掻痒感が強い。軟膏は2種類出しているが、それでも掻いてしまう。右上肢の皮膚化膿巣(診察時は瘢痕だけで、明らかな化膿はない)からのリンパ節腫脹の可能性も出てきた。

 入院するほどの病状でもなく、希望もしなかった。可溶性IL-2受容体抗体の外注検査を提出して、結果待ちとした。同じ抗菌薬を1週間追加した。

 

コメント (1)
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