なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

インフルエンザ・肺炎

2024年01月26日 | インフルエンザ

 1月23日(火)午前の救急当番の時に、高熱と咳・喘鳴の77歳女性が救急搬入された。一人暮らしだが、1月20日(土)に息子夫婦や娘夫婦と孫が集まったそうだ。その後息子の家族複数がインフルエンザを発症していた。

 COVID-19の入院は難しいベット事情だったが、インフルエンザならば入院予約の部屋を使用できるという。多分インフルエンザだろうということで、来てもらった。

 

 発熱40℃で酸素飽和度が80%台に低下して、酸素吸入をしての搬入だった。救急車を救急外来入り口で待機してもらって検査をすると、インフルエンザA型陽性(コロナは陰性)だった。

 その日の朝に、近所の人が新聞受けから新聞を取っていないこと、カーテンを開けていないことから、家族に連絡したそうだ。家族が訪問すると、患者さんはベットにいて動けけなかった。

 市内の内科医院に関節リウマチで通院している。メソトレキサートとプレドニンを内服しているので、免疫抑制状態だった。

 

 咳込みと喘鳴があった。聴診ではwheezeとcoarse cracklesがある。血液検査では炎症反応の上昇を中等度認めた。胸部X線・CTでは両側肺野に気腫性変化があった。右下葉背側に浸潤影もある。

 後で確認すると喫煙者だった(1日の本数を訊いても答えなかった)。慢性閉塞性肺疾患(COPD)で喘鳴を伴うことから、感染症によって気管支狭窄を来しているか、もともと喘息を合併(ACO)しているということになる。(PaCO2は正常域)

 家族から感染したインフルエンザで、細菌性肺炎を併発して、COPDの増悪を来したということだった。抗インフルエンザ薬(ラピアクタ)と抗菌薬(セフトリアキソン)を開始した。入院後にも喘鳴が目立ち、デキサメサゾン4mgを点滴静注した。

 

 翌日には喘鳴は軽快して、ステロイド投与は見合わせた。解熱して食事もとれる。喫煙はやめる、といっていた。それがいいですねと言ったが、もちろんあまり信用はしていない。(家族が何度も言っても禁煙はしていない)

 

 インフルエンザだと個室管理にはなるが、これまで通りサージカルマスクだけで対応している。コロナでわかったことだが、インフルエンザのエアロゾル感染で、きちんとやるなら本来はN95マスクが好ましい。

 インフルエンザだと最悪うつってもという気持ちがあるのだろう。感染症の先生(感染管理指導に来ている)が言っていた。「コロナはまだN95マスク対応だが、そのうち慣れて、かかってもコロナという雰囲気になれば、サージカルマスク対応になるのでしょう」と。

 

 呼吸器ウイルスは全部エアロゾル感染だろう。ウイルスの種類が減ったということはなく、(人に感染する)ウイルスは人に感染しなければ死滅するので、ふだんからエアロゾルを介して次々にうつしあっているのだった。

 

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