なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

入院拒否?自宅希望?

2022年12月11日 | Weblog

 12月2日に記載した肺癌の患者さんのその後。

 11月30日の夕方に救急搬入されて、救急当番の外科医(大学病院からバイト)からその日当直の先生へということで申し送られた。

 右肺癌・両側肺内転移・癌性胸膜炎・多発性肝転移(一塊)があり、CEAとCA19-9 が著増していたことから、肺腺癌の進行癌(末期)と診断された。(放射線科の読影では両側副腎転移・骨転移も)

 家族に診断と予後不良(治療困難)と説明して、本人には(気が小さいのでショックを受けるとして)伝えないでほしいと言われた。

 入院して緩和ケア(酸素吸入・点滴・呼吸困難には医療用麻薬も)かと思ったが、どうしても入院はしないという。病院スタッフと家族が何度言っても拒否は変わらなかった。

 入院しても治るわけでもないので、強くは言えなかった。その日は帰宅して(自宅は隣町)、翌日も点滴に来たが、やはり入院は拒否だった。

 水曜日に初診で、木曜日、土曜日と点滴をして帰っていた。今週の月曜に点滴に来た際に、息切れが悪化していて入院を勧めたが、拒否だった。妻も、本人が納得しないのでと、あきらめたようだった。急変しても慌てないように、と家族に言って帰すしかなかった。

 火曜日は内科の別の先生が当直だったが、午後8時前にその患者さんが自宅で心肺停止となって救急要請された。家族は救急隊にDNARになっていることは伝えたらしいが、形は心肺蘇生をしての搬入だった。

 救急室での死亡確認となった。来院時心肺停止なので、Autopsy imagingが行われた。両側胸水は初診時より増加していたが、気管支に痰が貯留していて、それも悪化の原因になったか。

 希望通りの最期で、入院するよりもよかったのかもしれない。初診からちょうど1週間だった。入院拒否というより、自宅(療養)希望ととらえた方がいいのだろう。

 

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丹毒

2022年12月10日 | Weblog

 水曜日の当直の時に、隣町の救急隊から高熱の85歳女性の搬入依頼がきた。前日に町の診療所で診療所で顔面の蜂窩織炎と診断されていたそうだ。ふらついて動けないらしい。

 発熱外来(コロナの検査から)の扱いになり、その診断で良くても年齢的に入院になる。来てもらうことにした。山間部から来るので救急車でも30分以上かかる。

 コロナの検査(抗原定性試験)は陰性だった。顔面の発赤があるが、境界明瞭かというとそうでもないように見えた。左の鼻に小さく黒色の痂疲があり、そこを傷つけて菌がはいったのかもしれない。

 搬入されて少しすると、(病院の暖かさで)顔面の赤みが強くなっている。最初に見た時よりも境界明瞭に見える。左の耳介にも発赤があり、これは「丹毒」になる。

 診療所では前日にレボフロキサシン500mg内服が処方されていた。皮膚感染症には適切でなかったことになるのかもしれない。

 胸部X線で肺炎はなく、有意な尿混濁もないようだ。除外診断としても、血液培養2セットと尿培養は提出しておいた。セファゾリン点滴静注を開始して翌日には解熱していた。

 

 この患者さんは数十年前に左肘関節の手術を受けていた。家族の話では「失敗では」と言っていたが、それ以来脱臼したままになっているという。(昔々の当院整形外科で扱った手術)

 

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嘔気で受診~急性心筋梗塞疑い

2022年12月09日 | Weblog

 水曜日の当直の時に、職員(看護助手さん)が92歳の父親を連れてきた。

 1年前から嘔気がして食欲がなくなったり、軽快したりを繰り返している。かかりつけ医は心臓外科医のクリニックで、内視鏡検査はそこではしていなかった。年齢的に負担が大きいのではと言われていたが、娘さんとしては一度受けさせたいと思っていたそうだ。(体重減少などはない)

 その話だと夜間の救急外来に連れてくる症状でもないようだが、その日は午前7時ごろから嘔気が出現して、ずっと続いているという。胸痛や腹痛はなかった。腹部は平坦・軟で圧痛はない。

 CKDもあるので単純CTになるが、ざっと消化管悪性腫瘍のスクリーニングにはなるので、CTで確認することにした。腹部には異常がない(消化管はCTで見える範囲ではとなる)。

 右葉間胸水が軽度にあるが、昨年発熱で受診した時に撮られた画像と比較すると葉間胸水はむしろ減っている(通常の胸水貯留はない)。

 心電図をとると、V2-3でSTが2mmくらい上昇している。2年前の心電図にはなかった変化だった。慢性心不全として利尿薬の処方を受けているので、血液検査ではBNPやトロポニンも提出していた。両者とも軽度ではあるが上昇していた。

 急性心筋梗塞疑いとして循環器内科で診てもらう必要がある。92歳だが一人暮らしをしていてADLは自立していた。難聴はあるが、認知症はない。

 搬送の可能性が出て、発熱はないが、あらかじめコロナの検査(抗原定性試験)をしておいた。(結果は陰性)地域の基幹病院にまず連絡して、受け入れができなければ、いつもお願いしている心臓血管センターのある病院に連絡することにした。

 前者に連絡すると、受け入れ可能ということで、ありがたく救急搬送した。

 

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総胆管結石

2022年12月08日 | Weblog

 糖尿病で通院している84歳男性が月曜日(予約日)に受診した。施設に入所してからは、HbA1cは6.4~7.2%で血糖コントロールは良好だった。

 慢性アルコール性(石灰化)膵炎があり、膵内に膵石が多数見られる。夜間低血糖の可能性があるが、日中の直後は高血糖になるので、毎食前超速効型を少量使用している。(施設側で注射)

 その時の検査で思いがけなく肝機能障害を認めた。AST 155・ALT 121・ALP 155・γ-GTP 163で、血清総ビリルビンは0.5と黄疸はない。

 腹部エコーを追加すると、総胆管が拡張して(胆嚢摘出術後)、結石を認めた。腹部CTで確認すると(腎障害があり単純のみ)、肝内胆管~総胆管は拡張しているが、結石がわからなかった(放射線科の遠隔診断で指摘あり)。

 MRCPを予約しようとしたが、付き添ってきた施設職員が待ってもいいので今日撮れませんか、という。忙しいので二度手間になるのは困るようだ。MRI担当の技師さんに訊くと、午後になるが待っていれば撮れるそうだ。

 MRCPでは総胆管内の結石が描出された。膵頭部の主膵管内に膵石がある。血清アミラーゼは正常域で(枯渇している?)、CRPの有意な上昇はなかった。もともと発熱、腹痛はない。

 認知症があり、COPD・肺性心に、心電図でいつのまにか心筋梗塞が発症した可能性があった。胸水貯留は残存している。総胆管胆管結石の内視鏡治療の適応がないように思われたが、一度は紹介して教示を仰ぐことにした。地域の基幹病院消化器内科の予約が翌週にとれたので、画像のCDと診療情報提供書を準備した。

 

 昨年9月に低アルブミン血症(血清蛋白は正常域、つまりγグロブリンが高い)で血液免疫電気泳動を行うと、IgMλ型M蛋白を認めた。骨髄穿刺では骨髄腫ではなく、リンパ形質細胞性リンパ腫・ワルデンシュトレームマクログロブリン血症と診断された(骨髄像診断は外注)。

 キーパーソンである妹さんに説明して、がんセンター血液内科の受診を勧めた。しかし、施設入所だけでもお金がかかり、遠方の病院の受診や入院治療まで賄いきれないと言われていた。今回の紹介も、妹さんにとっては余計なことなのかもしれない。(受診は施設職員が連れて行ってくれると思うが、治療対象だと家族が呼ばれる)

 

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コロナというより誤嚥性肺炎

2022年12月07日 | Weblog

 月曜日に新型コロナウイルス感染症に罹患した93歳女性が入院した。隣の市内にある特別養護老人ホームに入所中だった。11月18日からホーム内でクラスターが発生していた。

 11月21日から発熱で発症して、酸素飽和度低下があった(次第に低下したのだろう)。12月4日日曜日に保健所から地域の基幹病院に入院依頼がされたが、受け入れ困難だった。

 翌12月5日に当院に入院依頼がきた。週末に2名退院したので、感染病棟は2床空いていた。ただ患者さんは酸素6L/分を使用して酸素飽和度が90%ということで状態が悪かった。

 超高齢で人工呼吸器管理は難しいことと、病状悪化時も高次医療機関搬送もないこと伝えて、来てもらうことにした。入院時も酸素飽和度は同程度だった。

 入院は発症9日目に当たる。抗ウイルス薬の適応はないだろう(10日以内なのでステロイドを使用する場合は併用するかもしれない)。胸部CTで左肺下葉に浸潤影+胸水貯留+無気肺を認めた。

 点滴(1000ml/日)と抗菌薬(スルバシリンABPC/SBT)で治療を開始した。翌日も発熱があったが、3日目の今日は解熱していた。酸素量は1L/分ずつ4L/分まで下げられた。

 コロナ発症前は食事摂取できていたそうなので、回復すれば摂取できるかもしれない。肺炎は治ったが、食べられない状態のままということもありうる。

 最近高齢者で見るコロナの肺炎は、ウイルス性ではなく、併発した細菌性肺炎であることが多い。

 

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子宮留膿腫

2022年12月06日 | Weblog

 月曜日に感染管理ナースから、検査室から血液培養陽性の報告がきていると言われた。先週末の土曜日に発熱と腹痛で61歳女性が受診して、日直の外科医(大学病院からバイト)が提出していた。2セットのうち1セットからグラム陰性桿菌が出ていた。

 検査室では提出した医師に連絡するが、今回は非常勤医なので、とりあえず感染管理ナースに報告したのだった。

 

 患者さんは4日前から発症していた。診察で右下腹部に圧痛があった。虫垂炎疑い・結腸憩室炎として、造影CT検査をしていたが、所見がつかめなかったらしい。尿混濁はさほどないが、尿路感染症(腎盂腎炎)疑いとして、セフトリアキソンを点滴静注してその日は帰していた。

 翌日曜日の受診時には右下腹部に反跳痛があると判断して、再度造影CT検査していた。所見は前日と同様で、そこで子宮の腫大・液体貯留・周囲の炎症像に気づいたようだ。

 子宮留膿腫として、地域の基幹病院に救急搬送していた。経膣的にドレナージを要するが、先方の病院では産婦人科医が日曜日に出て来て行うのだろうか。(当院は産婦人科医がひとりいたが、10月で退職して他の病院に移動している。在籍中も救急対応はしていなかった。)

 子宮留膿腫は3例くらいしか見ていないが、もっと高齢だった(80歳代)。61歳は随分若い気がするが、子宮体癌などが基礎にあるのだろうか。

 

 地域医療連携室を通じて、血液培養の中間報告を先方の担当医に連絡したが、この情報では抗菌薬の変更はまずないだろう(菌名が出ないと参考にはならない)。

 

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腰椎圧迫骨折とMR

2022年12月05日 | Weblog

 土曜日の日直当直から日曜日の日直まで、大学病院外科の先生がバイトで来ていた。結構いいパソコンが買えるくらいのバイト代になるが、発熱外来も診るので疲れるだろうと思う。

 土曜日の午後に市内の病院から、通院している90歳女性の入院依頼が来た。バイトの先生から、入院させていいでしょうかと連絡がきた。なんでもその病院では院内でコロナのクラスターが発生して、入院させられないそうだ。入院で1日分の点滴を出してもらうことにした。バイタルには問題がない。

 日曜日に病室に診に行くと、1日点滴をしたためか、開眼して小さな声でひとことの発語はある(もともと認知症・介助で車椅子移動)。数日点滴をして、嚥下調整食を食べられるかどうかだ。

 

 腰椎圧迫骨折の82歳女性が入院していた。整形外科の外来で診断はするが、入院は内科で診ている(腎臓内科の若い先生が担当していた)。

 5月に第4腰椎の圧迫骨折を来していた。MRIだとわかりやすいが、腰椎単純X線でも第4腰椎がつぶれているのはわかる。ただし、新旧はわからない。

 

 今回は整形外科医は下部胸椎の圧迫骨折疑いとして検査していた。腰椎単純X線ではわからない。腰椎MRIで見ると、実際は第3腰椎の圧迫骨折だった。T1で低信号、T2(脂肪抑制)で高信号に描出される。

 

 脊椎はMRIがないとわからない。神経症状がなければ、部位診断が多少違っても治療は変わらないかもしれない。ただし鑑別診断もあり、(質的診断が全部できるわけではないが)MRIがないと診療は難しいかもしれない。

 

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心肺停止

2022年12月04日 | Weblog

 水曜日の当直は各地からの救急要請がきて大変だった。全部は受けられないが、当院の診療圏からの依頼は、当院で手に負える範囲で受けていた。

 救急外来担当の当直看護師は1名なので、救急車が搬入されると、それ以外のことはできない。病棟看護師も少ないので、急性期病棟と地域包括ケア病棟で、それぞれ一晩で1名だけしか受けられない。

 

 午前6時過ぎに、隣町の救急隊から当院の透析患者さんが心肺停止と連絡が入った。透析日は月・水・金のコースで前日に透析を受けていた。溢水による悪化は考えにくいようだ。頭か心臓かと思った。

 山間部からの搬入で病院までは30分以上かかる。心肺蘇生術を開始して、地域の基幹病院の指示(そういう決まりがある)で点滴を開始したということだった。

 最終生存確認は前日の午後9時で、家族が午前6時ごろに患者さんの自室に様子を見に行って、反応がないのに気づいた。その日は当院の神経内科と眼科の外来予約があり、またふだんのように早朝に起きてこなかったので見に行ったのだった。

 寝ている時に心肺停止に陥ったということになる。ということは、死後(実際はそうなる)数時間経過していると判断される。救急隊の報告からは、到底心肺蘇生に反応する状態ではないという感じが雰囲気として伝わってきた(やるべき処置はきちんとしているが)。

 

 予想通り、自動心臓マッサージ機が装着されて、ラリンジアルチューブ挿入による人工呼吸が施行されてきた。器械を止めると、心電図は心静止で、心肺停止・瞳孔散大・対光反射消失だった。

 アドレナリン注を繰り返して、心肺蘇生を継続したが、まったく反応はなかった。救急隊到着から30分以上、病院到着から30分の心肺蘇生で反応がなく、家族に説明して蘇生術を中止した。

 死亡確認後に、Autopsy imagingを行った。頭部CTは脳委縮のみで、頭蓋内出血(脳出血・クモ膜下出血)はなかった。胸腹部CTでは両側肺に肺水腫・うっ血を認めた。透析患者ではよくあるが、冠動脈3枝の石灰化が著明だった。

 寝る前はふだん通りで問題がなく、睡眠中に急激に心機能が低下したと判断される。報道でもよく聞く「虚血性心不全」と表現するしかない。

 

 出勤してきた腎臓内科の若い先生が見に来て、お世話様でした、と言われた。家族にも言葉をかけておられた。

 いつものことだが、自動心臓マッサージは回復の見込みがないという目でみると、拷問のように見えてしまう。救急車で30分以上かけて連れて来るとなれば、こうするしかないのではあるが。

 

 

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安定剤とコロナ

2022年12月03日 | Weblog

 水曜日は当直だったが、木曜日の午前8時20分に救急搬入依頼が来た。89歳女性が内科医院から処方されているデパス(エチゾラム)を10錠いっぺんに飲んだという。マイスリー(ゾルピデム)もあり、それも飲んだかもしれないともいわれた。

 地域の基幹病院にいったん連絡したそうだが、受け入れできなかった。前日から入院が厳しくて、虚血性腸炎の患者さんの入院依頼が当院消化器科に来たり、大腿骨近位部骨折の患者さんの手術前の待機当院依頼が来ていたので、そうだろとは思った。

 搬送途中にまた連絡が来て、この患者さんの同居の息子が前日にコロナ陽性で、濃厚接触者になっているという。(息子と二人暮らしで、その日は訪問した孫が異変を発見していた。)

 搬入後にすぐにコロナのPCR検査を行うと、陽性だった。意識は2桁で手足はゆっくりと動かしている。コロナ用の外来ブースで点滴と血液検査を行って、外来アセスメントに準じて胸部CTも行った。肺炎はなかった。(頭部CTも見たが、脳委縮のみ)

  

 外来で点滴をして、安定剤の影響が軽減するのを待つしかない。ただそれなりの年齢の息子と二人だと、そのまま帰しにくく、入院が好ましい。ちょうど感染病棟は空きがなかった。

 保健所に連絡して入院の手配を依頼した。基幹病院の感染病棟で診てもらえることになり、搬送となった。ありがとうございます。(週末に感染病棟が空くので、引き取ることも可能とは伝えていた)

 

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肺と肝臓に腫瘍

2022年12月02日 | Weblog

 水曜日の夕方に、救急外来をみていた外科医(大学病院からバイト)から連絡がきた。その日は当直だったが、当直の先生に引き継ぎたいということだった。

 患者さんは73歳男性で、肺と肝臓に腫瘍があるという。大変な状態のようだ。救急室に診に行った。

 

 9月ごろから咳・痰が続いていて、市販の薬を購入していた。1か月前から食事摂取も少なくなっていた。その日は家族(同居の妻と別居の娘)が救急要請していた。患者さん本人は病院嫌いということだった(診断されるのが怖いのかもしれない)。

 単純胸腹部CTだけだったので、造影CTを追加した。左肺下葉に腫瘍があり、胸水が貯留している。右肺にも腫瘍があった。肺門リンパ節などのリンパ節にも転移している。肝臓内に腫瘤が多発して、一塊になっているところも腫瘍が合わさったように見える。

 腫瘍マーカーを提出すると、CEAとCA19-9が著増していた。AFPは正常域だった。造影所見からも肝細胞癌らしい造影効果はないようだ。肺腺癌が原発で、肺門リンパ節転移・肺内転移・肝転移したということだろう。胸水は癌性胸膜炎ということになる。

 

 年齢的には、一度はがんセンターなどに紹介する年齢になるが、治療は困難だろう(当院で癌末期と言っても、信用されないこともある)。家族には検査結果と治療困難と予後不良を説明した。

 入院してもらって、家族の希望があれば、診療情報提供書と画像を持って、家族に専門病院に行ってもらうしかない。ところが、本人が頑として入院を拒否した。自宅に帰るという。

 家族からは、本人は気が弱い人で癌(それもかなりの進行期)と伝えると、どうなるかわからないといわれた。救急室で、さらに点滴室に移動してからもスタッフと家族で入院を勧めたが、結局拒否してその日は自宅に帰ることになった。

 その気になったら来て下さい、と帰すしかなかった。

 

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