なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞再発

2018年05月21日 | Weblog

 朝病院に来ると、当直だった外科医から朝方救急搬入された76歳男性を診てほしいといわれた。今月脳梗塞で入院して、早期に退院したばかりだった。

 連休中の5月4日に、右半身不全麻痺と構語障害が前々日から続いているという訴えで救急外来を受診した。左頭頂部に帯状の梗塞巣があり、他に斑点状にラクナ梗塞があった。心電図は正常洞調律で心房細動はない。左MCAのM2に少し狭窄があった。

 

 自分では受診する気はなく、家族が連れてきたのだった。脳梗塞と伝えても入院する気はなかったが、家族に言われてしぶしぶ入院した。抗血小板薬とエダラボンで治療していたが、ほとんど症状は軽快して早期退院を希望した。リハビリをするまでもなく、普通に歩行して構語障害も目立たないので、9日の入院で退院にしていた。

 今回も同様の右半身不全麻痺と構語障害だった。頭痛や嘔気などを問うとちゃんと答えて、病院名も答えたが、名前が出でこなかった。生年月日も生年までで止まってしまう。JSC一桁のどこに入れるか迷う。

 頭部MRIで前回にはなかった皮質下の斑点状の梗塞巣が散在していた。薬はきちんと内服していた。脳血管自体の問題かもしれないが、前日暑い中で畑仕事をして脱水症をきたした可能性はある。

 短期間での再発だった。当院のひとり神経内科医は休みをとっていた。今週後半には神経学会で不在になる。当院に入院してもらってもいいが、希望があれば専門医のいる病院を紹介しましょうか、と家族に訊いてみた。すると、脳神経で有名な病院に孫が務めているという。医師の診療補助の仕事らしい。電話してみると、地域医療連携室の方が出て、症状とそのお孫さんの名前を訊かれた。一通り伝えるといったん切ってまた連絡しますと言われた。その後脳外科医が診るので搬送して下さいと連絡が来た。

 前回ほどではないが発症してちょっと時間が経っていた。特別な治療はしないと思うが、今回は後遺症が残りそうで、入院中に悪化する可能性も考えられたので、専門病院(専門医)にお願いすることにした。

 

 

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「ジェネラリストのための性感染症入門」

2018年05月20日 | Weblog

 今日は内科学会の生涯教育講演会(Aセッション)に行ってきた。開催月に別の学会に行く関係などで、内科学会講演会に3年行っていない。来年も名古屋開催で行かないので(原則東京開催の学会しか行かない)、全国規模の会にとりあえず1回出て点数を稼ぐだけの参加。免疫の話と膠原病の自己抗体の話はちょっと面白かった。

 amazonで注文していた「性感染症入門」谷崎隆太郎著(文光堂)がやっと届いた。性感染症の本は始めて購入した。ジェネラリストはこのくらいわかればという必要十分という内容(たぶん)で、ユーモアのあるコメントも入れていて読みやすい。行き帰りの新幹線でこの本を読めたのが今日の収穫だ。研修医・一般医に絶対お勧め。

ジェネラリストのための性感染症入門

 先月80歳くらいの男性が尿路感染症として入院したが、入院後に性器ヘルペス(陰茎・尿道口に水泡・びらん)が出現した。バルトレックス内服で普通に軽快したが、さすがに再発だったのだろう。


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リウマチ性多発筋痛症の再燃

2018年05月19日 | Weblog

 70歳女性が通院している整形外科クリニックの紹介で内科外来を受診した。昨年リウマチ性多発筋痛症(PMR)の診断で入院して、プレドニン15mg/日から開始して症状軽快した。娘さんと同居していたが、認知症で在宅介護は困難のため、施設入所を申し込んでいて、退院後そのまま施設に入所した。 

 プレドニンは15mg/日、12.5mg、10mg/日と減量していた。他市にある施設のかかりつけの病院(150床くらいの病院)へ診療情報提供書を出した。プレドニン10mg/日から1mgずつ1か月おきに漸減して、5mg/日まで減量したところで2年間は継続してもらうよう提案する形で記載していた。紹介先の病院では、降圧薬などは継続するものの、リウマチ性多発筋痛症に関しては整形外科の扱いと判断されて、同市内の整形外科クリニックに回していた。整形外科医は指示通りに漸減してくれた。

 5mg/日になってから、両側肩・上肢のこわばり・疼痛が再燃してきたそうだ。炎症反応も発症時ほどではないが上昇した。整形外科医が当地域の基幹病院神経内科外来に紹介したところ、PMRの再燃なのでプレドニン10mg/日に増量してはという返事だった。こんな返事をもらいましたとそのコピーを入れて当院内科に紹介されてきたのは、具体的は指示がほしかったのか、ちょっと通院は遠くなるが当院で診てほしいということだったのか。ご高診よろしくお願いします、だけだとわからない。

 まだプレドニンは増量されていなかったが、症状は少し軽快していて、炎症反応も下がっていた。プレドニン10mg/日を1~2か月継続して、1mgずつ1~2カ月ずつ漸減して7~8mg/日でしばらく継続してはいかがでしょうかという返事にした。

 CareNeTVの金城光代先生の講演を見返した。

 

リウマチ膠原病セミナー 第29回 (再掲)

 沖縄県立中部病院総合内科 金城光代先生

リウマチ性多発筋痛症

PMRの診断
2段階で行う
1)初めの評価
 典型的な診療所見があるか
2)その後の評価
 ステロイドへの反応性はどうか
あてはまらないときは、鑑別疾患を
見逃していないか、もう一度考え直す

臨床症状
・年齢 50歳以上
・発症は急性・亜急性
・体幹から近位筋の痛み・こわばり
  肩
  頸・股関節
  片側から発症し、数日で両側の痛みとなる
・朝のこわばり 45分以上
・全身症状
  倦怠感、体重減少、微熱、うつ症状
・関節可動域制限(首、肩、股関節)←関節周囲炎(滑液包炎や腱鞘炎)
・RS3PE(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema)
 手背の圧痕性浮腫(指伸筋腱鞘炎)
・末梢性関節炎(膝、手首)

超音波、MRI
 両側の肩の滑液包炎
 PMRの診断の感度・特異度90%以上

検査所見
・血沈40mm/時以上またはCRP上昇(7-20%は正常)
・anemia of chronic desease ~50%
・肝機能障害(特にALP上昇)30%
・白血球数 増加や左方移動は通常認めない
・血小板増加

治療
 プレドニゾロン10-20mg/日で開始
 数日以内に症状の改善を認める

PMR新分類基準
 50歳以上、両側肩の痛み、血沈またはCRPの上昇がある患者
 
超音波なし
・朝のこわばり45分以上 2点
・股関節痛または可動域制限 1点
・RFまたは抗CCP抗体正常 2点
・他の関節痛なし 1点
 4点以上でPMR
 感度72%、特異度65%
超音波あり
 超音波なしの点数に加えて
 片側の滑液包炎があれば1点
 両側の滑液包炎があればさらに1点 5点以上でPMR
 感度71%、特異度70% 

PMRとの鑑別
 高齢発症の関節リウマチ
(Late onset RA)
・高齢発症RA
 首から肩にかけてのこわばり、手足のむくみで発症する(PMR like)
 一般のRAの4倍
・PMR
 25%で末梢関節炎あり
 (RA like)
 PMRと診断された症例の約20%がその後1年間でRAと診断される
(鑑別法)
 診断時:RAはステロイド反応性は緩徐
 フォロー時:PMRに伴う関節炎はDMARDなし(ステロイドのみ)でコントロール可能
 骨びらんをRAの一部で認める
 
PMR Management Guideline
1.PMRの診断はstepwiseに行う(inclusion&exclusion criteria)
Inclusion criteria
1)年齢50歳以上
2)有症期間2週間以上
3)両側肩かつ/または骨盤領域の痛み
4)朝のこわばり45分以上
5)血沈またはCRP上昇
Exclusion criteria
 悪性腫瘍
 感染症
 炎症性疾患
 甲状腺疾患
 肩や股関節の局所疾患
 スタチン内服
 パーキンソン病
2。ステロイド治療開始前にチェック必要な項目
 血算、肝機能検査、BUN/血清クレアチニン、RF/抗CCP抗体、血沈
 CPK、甲状腺機能検査
(必要があれば胸部X線、抗核抗体)
3.少量ステロイド(プレドニン15mg/日)を開始し、1週間後に反応をみて、PMRの診断を再評価する
 患者global response
 70%以上改善 PMRらしい
 50~70%改善 プレドニン20mg/日への増量
 50%以下 診断が正しいか再考

PMRの治療
(ステロイド漸減法)
Recommendation
 典型的なPMRでは少量ステロイドから開始し、ゆっくり漸減する
・プレドニゾロン15mg/日を3~4週間
・12.5mg/日で3~4週間
・10mg/日で4~6週間
・1mgずつ4~8週ごとに漸減

(フォローのタイミングとチェック項目)
Recommendation
 治療反応性と疾患活動性のモニターを行う
フォロー毎に確認すること
 近位筋の痛み、朝のこわばり、倦怠感、血算、CRP/血沈、BUN/血清クレアチニン、電解質、血糖

PMRのステロイド中止率・再燃率
・ステロイド中止率
 2年後で50%、3年後で70%、11年後で90%
・PMR再燃率
 急激な減量で再発率上昇
 初めの1年で1/3が再発
 女性の方が再発率、ステロイド累積使用量、ステロイド合併症が多い
 
Recommendation
 PMR症状が再燃したら(炎症反応の上昇だけでなく)
・巨細胞動脈炎の発症があれば、その治療をする
・前回のステロイドに戻す
(初期量まで戻さなくてよい)
・2回以上PMRの再燃を認めたらDMARDの使用を考慮する

ステロイド漸減とMTXの併用
1.MTX併用すべきは
1)プレドニゾロン7.5mg/日以上で再燃する場合
2)再燃を2回以上繰り返す場合
3)ステロイドの副作用が重篤になりえる場合
MTX10mg/週以上を用いる
2.MTXをやめるのは。
ステロイドoffの6~12か月後

PMRにおけるTNF製剤
1.Infliximab(IFX)
(プレドニゾロン15mg+IFX)
ステロイド使用量・再燃率の差なし
2.Etanercept(プレドニゾロン、NSAIDなし)
14日後、PMR疾患活動性はコントロール群と差なし

PMRにおけるNSAID
1.ステロイド+NSAIDはステロイド単独に比べ
1)ステロイド累積使用量は変わらない
2)副作用は多い
2.NSAID単独治療で緩解になることあり

症例
 PMRの治療で改善しない
 両側鎖骨下動脈の狭窄
 プレドニゾロンをGCAの治療量にして改善
 PMR+Extracranial GCA

Steroid refractory PMRで何を考える?
1.悪性腫瘍によるPMR like symptom
(paraneoplastic)
2.Giant cell arteritis
 Extracranial GCA

悪性腫瘍とPMR症状
・典型的PMRにて悪性腫瘍スクリーニングは必要ない
・Paraneoplastic PMR
結腸癌、胃癌、腎癌、白血病、リンパ腫、腺癌など
・Paraneoplastic GCA
消化管癌やMDSが多い

Recommendation
ステロイド治療と同時に骨粗しょう症(治療)を開始する

 

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肝炎?

2018年05月18日 | Weblog

 火曜日の当直帯で45歳男性が高熱で救急外来を受診した。ふだんは糖尿病外来(大学病院からバイトの先生担当)に通院していた。当直をしていた外科医(大学病院からのバイト)から、検査で肝機能障害を認めて入院させたいと連絡がきた。

 AST459・ALT467・γ-GTP129・総ビリツビン1.1と肝細胞障害型だった。白血球数5100・CRP1.6で細菌感染らしさには乏しかった。CTで肝胆道系に異常はありませんという。糖尿病外来で行った3月の検査では肝機能は正常域で、これまで肝細胞障害をきたしたことはない。肝炎ですかねえ、と言っていた。点滴を継続して入院にしてもらった。

 翌日に腹部エコーを行ったが異常はなかった。少なくとも肝胆道系の結石・腫瘍ではない。インスリンはヒューログミックス25を朝夕+ヒューマルグ昼という、一時期流行った打ち方だった。内服薬で降圧薬と糖尿病性神経障害の処方があるが、ずっと以前からの内服で新規の処方はない。特に市販薬やサプリメントを飲んだことはないそうだ。

 発症当日は日中から倦怠感が出現して、上腹部重苦感と嘔気もあった。何らかの急性肝炎と思われた。翌日解熱したかに見えたが、夜間から高熱が断続的に続いた。嘔気と腹部膨満感があって、食事がとれない。腹部は平坦・軟で、圧痛は本人が言うには上腹部にあったり下腹部にあったりした。

 4日目の今日はAST66・ALT251と低下していた。異型リンパ球はない。凝固系は異常なく、肝炎だとしても重症化はしていない。IgM-HA抗体・HBs抗原・HCV抗体は陰性だった。CMVは既感染で、EBVはVCA-IgM陰性・VCA-IgGが陽性でEBNAはまだ出ない。ANA・AMAも提出していたが陰性だった。咽頭の症状・所見は最初からない。HIVも検査しましょうかと言うと、それはないと思うと言われた。

 来週まで経過をみることにした。治療は点滴・SNMC(のジェネロリック)。ウルソ内服にしている。これは何だろうか。

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熱中症?尿路感染症?

2018年05月17日 | Weblog

 昨日の午前中に内科再来を診ていた。高血圧症などで通院している88歳女性は退職した先生から回ってきた方だが、心気症傾向がある。雰囲気はお上品で話ぶりも穏やかだが、何かと訴えがある。

 その日は定期的な検査を入れていて、胸部X線・心電図・血液検査は異常がないが、細菌尿があった。症状はない。以前の定期検査の時も同様の細菌尿があった。排尿障害は訊いた限りではない。無症候性細菌尿として経過をみることにした。

 午後病棟を診ていると、午後の救急当番の外科医から連絡があった。その88歳女性が発熱で救急搬入されたという。再検した尿検査は当然同様で、血液検査で炎症反応上昇もないが、入院を希望しているという。入院する時は、いつも個室ですという方で(収益的にはありがたい)、個室入院となった。

 急性腎盂腎炎だったかと思ってちょっとがっかりした。尿培養は提出されていて、悪寒戦慄もなかったのでセフトリアキソンで治療を開始しようと思った。あとから娘さんが病棟にやってきて、詳しい話を聞いた。その日気温30℃で日中はかなり暑かった。娘さんが出かけて、帰宅した時に家の中は相当に暑くなっていたそうだ。検査値は血液濃縮や腎障害もないが、この熱は熱中症の症状?。

 病院にきてしばらくすると、解熱薬も使ってないが、ほとんど平熱になった。CVA tendenessなど所見もないが、炎症反応は後から上がってくることもある。ただ点滴だけで経過をみるのもどうかと思われたので、腎盂腎炎に準じて治療(結局セフトリアキソン)を行うことにした。

 今日は発熱もなく、食欲もある。やはり熱中症だけだったのか。セフトリアキソンは何日で中止する?。

 

 

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「壁に寄りかかっている」

2018年05月16日 | Weblog

 昨日の夕方、救急室で急性腎盂腎炎の高齢女性の入院手続きが終わった時に、79歳女性が救急搬入されるという話を聞いた。すでに当直帯の始まりだったので、当直師長さんにどんな患者さんが搬入されるのか訊いた。

 「壁に寄りかかっているそうです」という返事だった。元々ちょっとピントの外れた人ではあるが、搬入依頼の救急隊もそう表現したらしい。日中救急をみていた救急の認定看護師と顔を見合わせて、お互いに首をひねった。暑い日だったので、ひょっととすると熱中症で少し意識がぼんやりしているのかとも思った。

 その後当直医から連絡が来て、血液検査で軽度に腎機能障害があり、CKも軽度に上昇しているという。熱中症からの脱水状態で、腎前性腎不全があり、点滴を継続したいので内科入院でお願いしますということだった。

 当直医の記載にも「壁に寄りかかっていた」とあったが、要は「夫が帰宅したところ、壁に寄りかかってぼんやりしていた。反応がいつもと違うので、心配になって救急要請した。」だった。

 ご本人は入院したくないという。熱中症もあるが、数日前から右胸部に帯状疱疹が出現していて、受診するほどの疼痛はなかったそうだが痛痒さはある。その日の水分摂取不足に影響したかもしれない。結局入院となった。

 入院して点滴だけで翌日の今朝は意識清明となって、食欲も良好だった。やはり帰宅したいという。家族はもう少し入院するよう説得していた。今日は昨日よりも暑く、日中の気温は30℃になる。数日経過をみて腎機能再検と帯状疱疹の経過をみてからにしましょうと言うと、しぶしぶ承知した。

 

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肺癌、心不全と肺炎

2018年05月15日 | Weblog

 今日は91歳女性2名が急性腎盂腎炎で入院した。1名は高血圧症で治療しているが血圧が80台と低下していたが、点滴を開始して110台に上がっていた。血圧が低下している時も案外元気に話していたが、頻呼吸だった。

 80歳男性が地域の基幹病院の呼吸器内科から転院してきた。18年前に左肺癌で肺全摘術を受けていた(医療センター)。その6年後に右肺に腫瘤が出現して、当院呼吸器科(当時はあった)で転移巣と判断されていた。

 その後、地域の基幹病院の呼吸器内科外来に通院して経過をみていたそうだ。転移巣は次第に増加していて、どれも同じ大きさだった。反対側から原発性肺癌が出現したというよりは、やはり転移巣なのだろう(腹部にも原発巣なし)。今回は肺炎を併発して入院していた。酸素吸入を継続する必要もあり、家族は在宅酸素で介護するのも大変ということだった。あと1か月くらいと言われたそうだが、食事はとれるので、肺炎に管理がうまくいけばもう少しがんばれるかもしれない。

 

 2月から循環器科ができたので、心不全は循環器科で診てもらえる。ただ両側肺に陰影があり、胸水が貯留しているような症例では。肺炎か心不全かという診断の問題がある。両者が併発していることもあるので、典型的な症例以外は迷うことが多い。

 こちらは今日心不全で循環器科に入院した87歳男性で、画像で両側の肺うっ血・胸水貯留があり、発熱はなく、BNP高値だが炎症反応軽度だった。心不全でいのだろう。

 

 こちらは一昨日内科に肺炎+心不全で入院した88歳女性で(他の内科医の担当)、発熱があり、BNP高値と炎症反応が高値だった。抗菌薬と利尿薬で治療されている。これは肺炎としても何肺炎か迷う。

 心不全は陰影・胸水が両側均等で、発熱がなく、炎症反応陰性か軽度で、BNPが高値であってほしい。肺炎は陰影・胸水(胸膜炎か肺炎随伴性胸水)が片側で、発熱(高熱)があり、炎症反応が高値で、BNPが正常域か軽度上昇であってほしい。実際はそううまくいかない。

 

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死亡確認

2018年05月14日 | Weblog

 今日は外来(内科再来)を診て、後は病棟の1週間分の指示出しをしていた。先週食事摂取が低下して受診した94歳女性が、反応がおかしいと救急搬入された。外来で一通り検査して具体的にこうすると良くなるというのがなかった。高齢の娘たちが在宅で介護していて、入院を希望しなかったので、2週間後に予約を入れて、いつでも入院可としていた。

 きちんと検査(内視鏡検査になる)すれば消化管の癌があるのかもしれない。血圧が70mmHg台に低下して、血糖50mg/dlと低血糖だった。入院して点滴で経過をみることにした。そのまま亡くなれば老衰とする。

 

 医学部の学生が実習に来た時に「意識障害の診かた」の話をするが、ついでに「死亡確認」についても話をしようと思った。しようと思ったが、資料がない。法医学の教科書に、脳死に対しての心臓死として、死亡確認についての記載がちょっとある。常識的にこうなっているという形であり、脳死判定のように法的に決まっているわけでもない。また、内科学の本には記載がない。

 医学的・臨床的には、「心・肺・脳のすべての永続的(不可逆的)の機能停止」ということになる。つまり、心拍の停止・呼吸の停止・対光反射の消失で死亡確認している。

 具体的には、1)橈骨動脈・頸動脈の脈拍がないことを確認する、2)ペンライトで対光反射の消失を確認する、3)胸部の聴診で心音および呼吸音の消失を確認する、4)心電図モニターで心拍がない(flat)ことを確認する、になる。

 実際は、1)胸部を聴診する、2)対光反射をみる、3)心電図モニターを確認する、というところか。必要な持ち物としては、1)聴診器、2)ペンライト、3)腕時計になる。携帯電話やPHSで確認するのは失礼な感じになるので避けた方がいいそうだ(家族は携帯で確認しているけど)。

 コツは死亡の徴候を満たしていても、死亡確認を早急に行わないことだ。心電図モニターでflatのはずが、無脈性電気活動(PEA)がちょっと出たり、少しだけ呼気が出たりすることもあるので、「亡くなったと思っても間を空けること」が大事だ。

 研修医の時に、病院長の先生に「亡くなったと思っても5分待ちなさい」と言われたことがある。5分は長すぎるが、聴診の動作などはものすごくゆっくりすることにしている。

 

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珍しく暇な日直

2018年05月12日 | Weblog

 昨夜の当直医は外部の病院の先生(バイト)だった。84歳女性が39℃の高熱で受診して、急性腎盂腎炎の診断で入院していた。5月5日・6日と悪寒戦慄があったというが、発熱はなかった。体調不良(倦怠感・食欲不振)が続いて、家族に受診を勧められていたがしていなかった。尿培養を提出して、セフトリアキソン1gが点滴静注されていた。

 今朝はまだ39℃の発熱があったが、受け答えはしっかりしていた。朝食は全部食べている。左CVA tendernessがあった。抗菌薬は1回入っていたが、血液培養2セットを提出して、セフトリアキソンで継続することにした。午後には解熱してきた。悪寒戦慄が出現して(歯ががちがち鳴ったそうだ)、1週間目で高熱という経過は違和感があるが。

 今日は日直だったが、受診は数名で入院もなく、救急搬入もなかった。外科の方では下肢の糖尿病性壊疽で入院があった。糖尿病は他院通院で、経口血糖降下薬のみだった。とりあえずはインスリンをスケールで経過をみるようで、週明けに内科に血糖コントロールの依頼が来ると思う。

 珍しく暇な日直だったので、増井伸高先生の「心電図ハンター②失神・動悸/不整脈編」を読んでいた。土日で通読できそうだ。非専門医向けではあるが、①同様に循環器科医の本よりもわかりやすい。つくば市でのプライマリケア学会で増井先生のセッションに出たが、本当にいい経験だった。

 心電図ハンター 心電図×非循環器医 2失神・動悸/不整脈編

 昨年に引き続いて、7月にまた医学部2年生が病院実習で来る。昨年は何をしていいかわからず、興味をもってくれるようなプログラムができなかった。外科にお願いした手洗い実習と手術見学、それに病院外での夕食会・昼食会だけは好評だった。

 

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1日の変化

2018年05月11日 | Weblog

 昨日も地域の基幹病院呼吸器内科から、肺炎治癒後の廃用症候群・リハビリ目的で78歳代の男性が転院してきた。ひとり暮らしなので相当動ける様にならないと退院できない。患者さんの結婚歴4回というのはちょっと驚いた。

 当院入院から施設入所のコースも多いが、もともと在宅酸素療法や喀痰吸引を要するなど施設に回せない高齢者は、療養型病床のある病院へ紹介転院としている。

 療養型病床はすぐには空かないので、地域の基幹病院や専門病院からは中間的な預かり病院として当院に紹介されてくることが多い。ベット稼働率的には助かるが、一定の期間で次の病院なり施設に回さなければならない。高齢者をパスし合って病院経営が成り立つシステム?だ。

 

 内科の若い先生(地域医療枠で来ている専攻医1年目)が高熱の69歳男性を診ていた。「発熱の原因がわかりません」、という。数日前から咽頭痛・咳があり、耳鼻咽喉科外来を受診していた。咽頭は軽度発赤程度の所見しかないが、食欲低下もあるということで内科に回ってきたのだった。白血球数14000・CRP18.0と高値だ。

 胸腹部CTを検査していたので、すでに確認していた。両側下肺野に陰影があったので、「肺炎だね」と言ったが、「う~ん」と言っていたので信用されなかったかもしれない。心内膜炎疑いで心エコーと血液培養2セット提出もしていた。

 翌日もう1回胸部CTを検査していて、「肺炎でした」と言われた。放射線科の読影レポートは「肺炎がやや進行」と真面目に記載していた(前日のCTは読影依頼になっていないのでレポートなし)。

 肺炎の陰影が1日でこのように変化するという珍しい映像にはなった。尿中抗原は陰性で、喀痰培養は喀出できなかったので、起炎菌は不明になる。抗菌薬はアンピシリン・スルバクタムの点滴静注で、入院翌日には解熱していた。

 

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