なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心因性非てんかん性発作?

2016年08月11日 | Weblog

 今日は日直で出ている。今日は山の日だが、山の日という祝日があるのは先月気づいた(翌月の日直宿直表を作成で)。県内ではあるが、遠方から当地の野外活動センターに来ていた14歳女性が、けいれん発作で救急搬入された。救急隊到着時には、すでにけいれんは治まっていたので、救急隊の話も近くにいた先生から聞いたものだった。

 炊飯の作業をしていて、めまい・嘔気が出現したので、日蔭で休んでいた。そのうちに両上肢と口唇のけいれんが出現して、その後に全身の強直間代性けいれんになった。時間は数分らしい。搬入時は、すっかり治っていて、普通に会話できた。

 そのうちに連絡を受けた母親が病院に来た。クリニック勤務の看護師さんで、そのクリニックは救急をやっていて、何度かそこで診てもらったそうだ。てんかんというよりは、心因性とされているらしい。何か屋外での作業や部活などある時に同様の発作が起きている。両手指がしびれてきて、なりそうだと自分でわかるそうだ。過呼吸からけいれんが起きることもある。

 専門医を受診して脳波検査を受けたことはない。てんかんの可能性は否定できないが、心因性非てんかん性発作なのかもしれない。頻回に起きるようなら、勤務先のクリニックの先生に紹介してもらって、専門医(小児神経)に診てもらうように母親に伝えた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

網状皮疹(リベド)

2016年08月10日 | Weblog

 「見逃すと怖い血管炎」jmedに網状皮疹(リベド)の記載がある。リベドとは、「マスクメロンの外観をした網目状の皮膚所見で、大理石様皮膚、libedo reticularis、livedo racemotaの3つがある」。

 「大理石様皮膚は、一過性で冷たい外気に触れた際に生じ、温まると消褪する一種の生理現象。libedo reticularisとlivedo racemotaは、ともに皮膚深層か皮下の血管が障害を受けて起こる。

 リベドの網目状の輪が閉じていればlibedo reticularisで、閉じていなければlivedo racemota。livedo racemotaこそが、血管炎と直接結びつく皮膚症状。

 皮膚深層か皮下の血管で壊死性血管炎が起きると、その周囲に血液が迂回して、より末梢の血管が拡張する。その拡張した血管走行が表面の皮膚から網目状に観察される。」

 初めて知りました。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺真菌症+誤嚥性肺炎

2016年08月09日 | Weblog

 当初は肺結核疑いで入院した81歳男性は3日間の抗酸菌塗抹が陰性で、喀痰には多数の真菌を認めた。培養で、Candia albicansとCandida glabrataが10の7乗検出された。ABPC/SBTで治療を開始していたが、喀痰培養の結果をみて抗真菌薬(ファンガード)を追加していた。

 炎症反応と胸部CTでの陰影が若干改善してきたので、1週間経過したところでファンガードのみで経過をみることにした。入院当初から痰がからんでムセることがあったが、先週末に呼吸が苦しいと訴えた時に吸引で食物が引けてきた。誤嚥性肺炎併発として、抗菌薬を再開した。

 今日専門病院の呼吸器科の先生が来ていたので、相談した。いきなり真菌ですかと言われた。免疫抑制の原因は年齢以外にはなかった。誤嚥性肺炎を繰り返していたところに真菌感染併発?。週末に血痰が出たので、また抗酸菌検査(細胞診も)を再開した。発熱は抗菌薬再開で治まっている。

 呼吸器科のある病院で診てもらった方がいいと思うが、誤嚥を繰り返すように患者さんだと、紹介しにくいきがする。家族の希望をきいて、このまま当院で診るか、紹介するか(引き受けてくれれば)決めることにした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

咳喘息

2016年08月08日 | Weblog

 辞めた先生から回ってきた76歳女性は数年来咳が出ているという。日中はそれほどでもなく、時間帯は朝方の午前3~4時だった。喘鳴は聴取せず、自覚的にも喘鳴はないそうだ。

 内服しているのは高コレステロール血症の薬、PPI(これは消化器科の処方を継続)、抗アレルギー薬だった。通年性のアレルギー性鼻炎があり、春と秋に花粉症で悪化するという。申し送りには、心気症とあった。確かにやせた色白の神経質そうな女性だった。話ぶりは穏やかだが、次々に症状を話してくる。打てばひびくというように、問診にすぐに答えてくれるのでやりやすいとも言える。

 子供のころに喘息発作があったという。咳はアレルギー性気管支炎の可能性が高いと判断され、吸入ステロイドを前回から開始した。今日結果を訊くと、咳は良くなったそうだ。良くなったので、吸入ステロイドは自分で中止していた。ひどくなった時に使うつもりだったという。

 吸入ステロイドは定期薬(コントローラー)であり、症状が軽快しても継続することを説明した。症状によって吸入量は調整するが、治癒とは言わず寛解であるのでずっと使用するようお話した。

 10年前に呼吸器科(当時は当院にあった)に入院していて、急性気管支炎となっている。抗菌薬とともに、ステロイドの点滴静注から吸入ステロイドを1か月くらい継続して外来で中止していた。喘鳴とか喘息とは記載していないので、なかったのだろう。感染が契機になって、咳発作がひどくなったと推定される。経過としては、咳喘息が継続しているが、喘息には移行していないということになる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

jmedを揃える

2016年08月07日 | Weblog

 「見逃すと怖い血管炎」湯村和子編著(日本医事新報社のjmed)を通読。わかりやすくて、本当にいい本だ。一般医にとっては、これで充分だと思う。血管炎の一般的な事項と、高安動脈炎・巨細胞性動脈炎・川崎病・結節性多発動脈炎・多発血管炎性肉芽腫症・ANCA関連血管炎性中耳炎・好酸球性多発血管炎性芽腫症・IgA血管炎・皮膚白血球破砕性血管炎がそれぞれ一章ずつあって、メインの顕微鏡的多発血管炎については少し詳しく6章にわたって記載してある。基本的に診断したら、あるいは疑ったら専門医に紹介する疾患ばかりだ。

 jmedでは、不明熱とリウマチ膠原病もお勧めだ。今日は「名医たちの感染症の診かた・考えかた」を購入した。内容は知識の再確認になるが、巻頭言にあるように執筆者が豪華で、有名感染症科医のオンパレードだ。jmedは全部購入していないが、当たりの確率が1/3~1/2くらいになる。

 青木眞先生の講義で、バレー部員の女子高校生が急性虫垂炎になって、術前検査として心電図や凝固検査はいらないという話が出てくる。研修医の青木先生が網羅的に術前検査をしようとした時に、沖縄県立中部病院の指導医から無駄な検査はしないようにと戒められる。毎年の若手医師セミナーで話されるが、これには賛成できない先生方も結構いると思う。

 実際に患者さんを治療するのは、麻酔をかける麻酔科医と執刀する外科医だ。手術をお願いする内科医の立場で、麻酔科医に向かって心電図は無駄ですとは言えない。心電図を検査してもほぼ100%異常なしだろう。それでも万が一手術中に致死的な不整脈が発生したとすれば、術前に心電図検査をしなかったことで追及される可能性がある(術前検査が不整脈発症をまったく予知できないとしても)。また、メスを握る外科医に凝固検査は無意味ですとは言えない。開腹手術(今どきはラパロだが)をするというのは、やはり大変なことだ。異常なしになるような検査は無駄だというのは、手術をしない内科医だけの考えだと思う。まあ、内科で検査していなければ、麻酔科医や外科医が術前に必ず検査を追加してしまうが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Web講演会流行り?

2016年08月06日 | Weblog

 製薬メーカーのWeb講演会が流行っているのだろうか。最近昼休みに病院の会議室を使って、時々開催される。弁当付きなので、学会のランチョンセミナーのようなものだ。会社側としては、参加医師数名分の弁当代だけで、確実に宣伝できるので、効率的なのだろう。こういう形で関係をもつのはよくないと思いつつ、セッティングの好きな先生に誘われて出席している。

 その分野についてガイドラインなどを駆使した講演した後に、製品の宣伝になる。ライバル社の製品を批判したりすることもあって面白い。Web講演会を聴いたからと処方を増やすつもりはないが、同様の製品が数種類あるものでは、知らず知らずに耳馴染み処方が増えてしまう効果があるかもしれない。P-CABのタケキャブが出てからは、PPIのネキシウムやパリエットが巻き返しを図って(あるいは切り替えを阻止すべく)、講演が増えた。新薬が出て、長期処方可能となる(なった)糖尿病薬の後援会も多い。

 昨日はファイザー製薬の若手医師セミナーで、青木眞先生の感染症診療の原則の講演だった。青木先生の講演を聴くのは毎年の恒例行事。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熱中症の時期

2016年08月05日 | Weblog

 昨日は93歳女性が畑で倒れているところを家族が発見して、救急版搬入された。救急隊の現場到着時は体温40℃だったが、病院搬入時は37.5℃だった。顔が紅潮というより真っ赤だった。点滴が1本入ったころには、会話が可能になってきた。頭部CT・胸部X線・心電図は異常なかった(脳萎縮は目立つ)。血液検査でも筋原性酵素の上昇もなく、血液濃縮だけが目立った。熱中症の診断で入院とした。入院後も点滴を継続して、深夜までに1500ml入れた。

 今日は元気になっていて、食事も普通にとれる。赤かった顔は普通に戻っていた。今日にも帰りたいと言っていたが、家族の希望もあり、週明けに退院予定となった。 昨年に夏に、高齢女性が熱中症で救急搬入されて間もなく亡くなった。血液検査でびっくりするような血液濃縮・多臓器不全(正確には多数の検査値異常)だった。倒れてから発見されるまでの時間が長いと致死的になる。今回はいないのに気付いて、すぐ見に行ったのがよかったのだろう。

 糖尿病で通院している46歳女性が食欲不振で内科外来を受診した。新患担当の先生(大学からの応援)から連絡がきて、入院治療をお願いしますという。尿混濁があり、炎症反応が上昇していた。胸部X線で肺炎はなく、尿路感染症(急性腎盂腎炎)でいいようだ。尿ケトン体陽性だが、血液ガスでアシドーシスはなかった。この患者さんは体重150Kgある。左CVA叩打痛があるように思えるが、よくわからない。腹部エコーでは描出困難なので、腹部単純CTを行った。尿路閉塞・腎膿瘍・腎周囲脂肪織の炎症像はなかった。膵臓の萎縮がかなり目立った。昨年測定したCペプチドは2.11だったが、現在はぐっと低下している可能性がある。SGLT2阻害薬を始めていたのが、影響したのかもしれない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生検で確診~壊死性リンパ節炎

2016年08月04日 | Weblog

 (7月28日記載のその後) 両側扁桃炎と頸部リンパ節腫脹があり、高熱が2週間以上続いた21歳女性は、先週の金曜日に外科に依頼してリンパ節生検を行った。病理診断は壊死性リンパ節炎だった。悪性リンパ腫の所見はなく、標本の結核菌PCRは陰性だった。

 迅速診断で壊死性リンパ節炎と出たことと、そのころには臨床的に強く疑われたことから、生検直後からプレドニン30mg/日を開始した。翌日から解熱し始めて、翌々日には平熱になった。頸部5cm×4cmくらいだった頸部リンパ節もしだいに柔らかくなって縮小してきた。扁桃炎の所見も改善して、咽頭痛(嚥下痛)も軽快した。食事もとれるようになり(それまでウィダーインゼリーのみ)、点滴は中止した。

 通常の治療(と言ってもあまり記載もないが)よりも、長めにステロイドを入れて、ゆっくり漸減する予定。来週の初めに検査して、あとは外来通院にできる見込みで、患者さんも仕事復帰を気にするくらい元気になった。、

 ただ、抗核抗体が320倍(speckled pattern)と陽性だった。SLEの基準は満たさないが、この病気はSLEを発症する可能性があり、経過をみる必要がある。膠原病の検査を追加することにした。

 先日テレビの天気予報を見ていたら、「雨 時々止む」というのが出た。一瞬目を疑ったが、間違いなかった。こんな表記は初めて見た。言い方として元々あるものなのかわからない。地方局だけの表現?どこかに質問してみたいが、どこにすればいいのだろうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

STD/PID

2016年08月03日 | Weblog

 先週末に18歳女性が発熱・下腹部痛で消化器科を受信して、骨盤腹膜炎の診断で入院した。白血球数3万・CRP30と著しく高値だったのえで、相談されていた。セフメタゾンとクラミジア狙いでミノマイシン点滴も考えたが、ゾシン+ミノマイシンになった。

 入院後も37℃台から38℃の発熱が続いていたが、翌日・3日後の血液検査では白血球数・CRPともに改善していた。腹痛も入院時よりはましになった。ただ週明けの月曜にの朝に39℃の高熱となったのを気にして、また抗菌薬について相談された。当院を受診する前に産婦人科クリニックを受診していて、淋菌*クラミジア陽性と診断されていた(問い合わせにFAXで返信があった)。

 産婦人科医も交えて相談したが、抗菌薬はセフトリアキソン+ミノマイシンにして、その翌日から解熱した。産婦人科の診察とエコー、それに腹部MRI検査も追加して、膿瘍形成はないので、そのまま抗菌薬継続となった。トリコモナスは陰性。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

94歳肺炎の外来治療

2016年08月02日 | Weblog

 循環器科にうっ血性心不全(心房細動・陳旧性心筋梗塞)で通院している94歳女性が、先週内科外来を受診した。右肺下背側にair bronchogramを伴う浸潤影を認めた。胸水や浮腫の悪化はなかったが、BNPは普段より悪化していた。誤嚥性肺炎のようにも見えるが、年齢の割にはしっかりしていて、何とか自力歩行できる方だった。

 先月にうっ血性心不全の悪化で循環器科に入院して、治療途中で希望により退院していた。循環器科医に相談すると、患者さんが入院する気があれば診ますがということだった。酸素吸入は要さない状態で、ご本人は入院したくないという。食欲低下はあるが、それは退院したからずっと同じで、そこからさらに低下したわけではないという。繰り返し訊いても入院はいやと言われ、家族(娘さん)も本人がそういうなら仕方ないと言う。

 外来で500mlの点滴をしていたが、抗菌薬の点滴静注をして、半分で中止とした。抗菌薬は内服(グレースビット)にして、外来治療とした。悪化したら、すぐに受診することとしたが、途中で受診することもなく、予約日の今日受診した。白血球数は正常域となり、CRPも1/3の値になっていた。胸部X線は読みにくいが、悪化はしてない。検査上は著効を呈したことになる。抗菌薬を少し追加して、来週は循環器科の外来予約があり、胸部X線・心電図・血液検査が予定されているので、そこで診てもらうことにした。

 体力低下に何か処方しますかと訊くと、自分で市販の漢方薬を買って飲んでいるというので、補中益気湯も処方してみた。循環器科の処方は、ダイアート・アルダクトンA・メインテート・サムスカ・ピモベンダン・ハーフジゴキシン・エリキュース・バイアスピリンとフルで入っている。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする