なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脱水症で再入院

2016年08月21日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。糖尿病で通院している72歳男性が、法事に出席して飲酒しているうちに嘔吐・腹痛が出現して、救急搬入さえた。血圧が搬入時70mmHg台だった。検査してもこれといった異常はなく、暑さとアルコールの影響と思われた。点滴していううちに、血圧が100mmHgになったが、入院して明日まで経過をみつことにした。

 急性腎盂腎炎で入院して退院したばかりの46歳女性が2-3日前から嘔気・嘔吐が続いて受診した。昨日の土曜日も同じ症状で受診して、点滴を1本受けている。昨日の血液検査の結果は血液濃縮が目立っていた。今日は家族に病院に連れて行ってくれるよう頼んだそうだ。この方にしては珍しく、よほど身体がつらいのだろう。点滴を相当量入れる必要があり、点滴を開始して入院とした。検査上では感染症らしさはなかった。体重150Kgなので、車いすには乗れず、ストレッチャーで病室までいくことにした。

 旋回入院時にDPP4阻害薬からGLP1受容体作動薬に変更している。メトホルミンはもともと内服している。腎盂腎炎が軽快して退院する時は食事も普通に全量摂取していたので、副作用としての消化器症状は問題なかったはずだが。薬剤の影響があるのだろうか。

 これも金曜日に消化器科の先生から相談された、69歳女性の大腸腫瘍。S状結腸に管状腺腫があり、それを内視鏡治療(EMR)しようとしていたが、ちょうど屈曲部にあたり、どうしてもスネアがかけられずに断念した。直腸には粘膜下腫瘍があり、粘膜下に留まるneuroendocrine tumor(いわゆるカルチノイド腫瘍)で、こちらはEMRで切除できた。当初はいずれも転移するような腫瘍ではないと判断したらしい。線種を内視鏡でとれなかったこともあり、CTで確認したところ、予想外に肝臓内に転移巣と判断される腫瘤があった。さてこれはカルチノイドの転移?

 

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病原性大腸菌の慢性感染?

2016年08月20日 | Weblog

 昨日消化器科の先生に、病原性大腸菌の慢性感染ってありますかね、と相談された。30歳代前半の男性で、教員をしている。いつからと訊くと、震災の年からというので5年経過している。下痢・腹痛で受診して、便培養で病原性大腸菌が検出された。抗菌薬(内服)を投与して軽快した。ところがその後同じ症状が出現した。また便培養で病原性大腸菌が検出された。

 感染性腸炎だけでいいのか、炎症性腸疾患が元にあるのではと、大腸内視鏡検査が行われた。大腸粘膜は浮腫状で発赤・細かなびらんが散在していた。炎症性大腸炎の所見ではないそうだ。抗菌薬で治療すると、症状は軽快して、大腸内視鏡検査でも粘膜病変はきれいに治った。

 これを5年間繰り返してきた。検出される病原性大腸菌はO抗原の違うものになった。感受性では、大抵の抗菌薬が効く菌からESBLに変化して。また戻ったりしている。抗菌薬投与で修飾してしまうのが、まずいのか。一通り検索してみたそうだが、あてはまるものがなかったという。確かに聞いたことはないが、専門家ならわかるのだろうか。消化器科の大腸専門の先生も、扱っているのは内視鏡治療のできる大腸腫瘍と炎症性腸疾患で、感染性腸炎の専門ではなさそうだ。

 

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頸部リンパ節腫脹

2016年08月19日 | Weblog

 30歳代前半の男性が7月下旬に微熱・倦怠感・体重減少(6Kg)で内科新患を受診した。担当の若い先生(大学病院から)が診察した。血液検査は白血球数・CRPが正常域で他の項目もこれといった異常はなかった。頸部リンパ節が腫れているようだということで、8月初めに頸部~腹部の造影CTが施行された。左右の頸部リンパ節腫脹が指摘された。個々のリンパ節が癒合してはいない。経過をみていたが、症状が続いた。

 耳鼻咽喉科外来でリンパ節の細胞診が出されたが、特に所見はなかった。リンパ節の場合、細胞診での診断はきびしい。丸ごと生検だろう。耳鼻咽喉科を受診した際に、症状が続いているのにいらだってもめたので、内科外来に回されて診察することになった。

 7月からの症状は同程度で、悪化はしていないが、改善もしていない。血液検査を再検したが、やはり炎症反応としては陰性になる。初診時に出された可溶性IL2レセプターは600台で炎症を反映するだけだった。悪性リンパ腫の疑いと言われていたのを気にしていたようだ。咽頭発赤が目立ったが(その後軽快)、咽頭痛はなかった。生検はこちらも患者さんも迷った。体重減少は止まって、2Kg戻ってきたというので、少し経過をみていた。

 今日受診したが、やはり症状が続いて、リンパ節生検に同意した。EBV・CMVは既感染で、HIVは陰性だった。頸部エコーで左右のリンパ節はやはり多数腫脹していた。大きさは最大で25mm×7mmと扁平だった。しつこく採血したが、炎症反応は血沈も含めて正常域というか、まるきり陰性だった。外科に紹介して、来週リンパ節生検をすることになった。

 悪性リンパ腫?、結核性リンパ節炎?、壊死性リンパ節炎?、あとは何だろうか。リウマチ膠原病を疑う症状所見はないと思うが。

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かみつこうとする人

2016年08月18日 | Weblog

 認知症で精神科病院に通院している85歳男性が、高熱で動けなくなったと救急搬入された。救急室に入ってくるなり、痛い触るなと大声で叫んでいた。看護師さんに言われておとなしくうなづいたかと思うと、次の瞬間にはにかみつこうとして起き上がる。ひとりで在宅介護をしているお嫁さん(妻と息子はすでに死亡)は良くみているものだと感心する。

 偽痛風による関節炎なら外来治療できると希望的に思って診察したが、関節炎はない。胸部X線・CTで右肺の背側に淡い陰影があり、肺炎と思われた。軽度の酸素飽和度低下で酸素吸入をしてきたが、すぐに外してしまうのと、酸素なしでも酸素飽和度が90%以上なので、中止した。普段は普通に歩けるのがかえって困る。

 お嫁さんと相談して、まず入院治療で経過をみるが、たぶん途中で帰ると言い出して(入院自体イヤだと言っているが)早期退院になりそうとお話した。当院らしい入院だ。先日は外来で認知症の高齢者に看護師さん2名がかみつかれた。

 医局に戻ると、基幹病院腫瘍内科の先生から転院依頼の連絡が来た。手術不能の胆嚢癌の60歳代女性だった。化学療法中に多発性脳梗塞になって寝たきりで意識もない状態だという。週明けに引き取ることにした。こういう入院も当院らしい。今週同じ先生からの紹介で転院してきた直腸癌・膀胱浸潤の60歳代男性は、Hb8.8g/dlでとりあえず当面輸血は不要だった。

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年中喘鳴あり

2016年08月17日 | Weblog

 86歳男性が1週間前から肺炎で入院していた。脳幹梗塞で神経内科に入院した既往がある。9年前に急性冠症候群で循環器科に入院して、PCIを受けた。その年と2年後まで心不全での入院があった。もともと喫煙歴があり、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)を認めるが、喘鳴も常にあった。今時だとACOSということになるが、慢性的な喘息症状の患者さんだった。

 3年前から肺炎で内科入院を10回くらい入退院を繰り返していて、内科の若い先生が担当していた。その先生の退職に伴い、当方の外来い通院していたが、喘鳴が常にあった。直接世話をしているお嫁さんが、診察後にまた診察室に入ってきて。頑固でいうことを聞いてくれなくて困るとこぼしていた。類天疱瘡で皮膚科でステロイドが処方されていて、ステロイド糖尿病としてインスリン注射もしている。まさしくステロイド顔貌で、皮膚は薄く、ちょっと引っ張ると桃の皮のようにツルリと剥けてきそうだった。

 入院後は抗菌薬投与(セフトリアキソン)で改善してきて、食欲もよかった。検査値も改善して、なんとかなりそうだと思われた。以前診ていた循環器の先生から、循環器科通院から内科通院になってから久しいので、「まだ生きていたんですねえ」としみじみ言われた。これまでの10回近い入院では重症肺炎で危ない時もあり、DNRの方針となっていた(人工呼吸まではしないということ)。下手に人工呼吸で圧をかけると一気に気胸を起こしそうだった。

 ところが一昨日から喘鳴がひどくなり、ステロイド点滴投与を繰り返した。昨日家族が来て病状をきかれたが、一気に悪化する可能性もあるとお話した。特に併発症もないので、発作の治療をする以外に方法がなかった。

 昨日は酸素飽和度は保たれていたが、苦しいという訴えていた。家族は、とにかく苦痛がないようにしてほしいと希望した。精神的に興奮すると、よけいに喘鳴が悪化する。アタラックスを投与してみたが、効かない。安定剤の持続点滴もためらわれて、好ましくないとは思ったが、塩酸モルヒネを薄く流すことにした(5mg/日)。喘鳴は続いていたが(興奮が治まって程度は軽減)、呼吸苦の訴えはなくなり、笑顔が出る様になった。数日使用して中止したいが、どうにも後ろめたい治療ではある。追加したステロイドが効いてくるのを待つしかないようだ。

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当院らしい入院3名

2016年08月16日 | Weblog

 今日は入院が3名。一人はクリニックから紹介の糖尿病の33歳男性で、軽度の精神遅滞がある。とにかく食べるのがやめられない。DPP4阻害薬+メトホルミン+SU薬+SGLT2阻害薬で、HbA1c8.0%。外来治療で経過をみるくらいの値だが、母親が教育入院希望で連れてきた。数年前にペットボトル症候群で入院した既往があり、やはり甘い飲み物が好きらしい。

 66歳男性が基幹病院腫瘍内科から緩和ケア目的で転院してきた。直腸癌・膀胱浸潤・腹腔内リンパ節転移だった。緩和ケアというとそれらしいが、この方は訳ありだった。普通なら自宅で過ごせるだけ過ごして、いよいよ悪化した時に入院となるはずだが、行き場がない方だった。

 離婚して実家に戻って兄夫婦の世話になり、さらに妹夫婦の世話になっていた。どちらも、もう世話は勘弁してほしいということで、病院以外に行き場がない。確かに直腸と膀胱が交通していて、水様便が頻回なのと、尿路感染がおきやすくなっている。癌の進行よりは、感染症のコントロールがつかなくなって悪化するのかもしれない。Hb5g/dlと慢性的な出血による小球性貧血もあった。

 91歳女性が2-3日前からの食欲不振で受診した。洞不全症候群U徐脈頻脈症候群)で心臓ペースメーカー植え込み術だった。右MCA領域の大きな脳梗塞の既往がある。頭部CTをとると、久しぶりに見る大きな梗塞巣に驚くが、それ自体は以前と変わりはなかった。さらに忘れていたが、左前頭部に髄膜腫があり、4年前より大きくなっていた。

 検査上は血液濃縮は軽度のようだが、血清クレアチニンがふだんの1.20から4.36に上昇していた。ワーファリンもそのために効き過ぎになって、PT-INRが3.86になっていた。肺炎などの感染症もなく、うっ血性心不全で利尿薬が入っていることもあり、数日で脱水症に陥ったようだ。点滴を始めると、しだいに顔色が良くなって自分から話をするようになった。認知症で点滴抜去やベットから転落のリスクもあるが、入院で経過をみることにした。

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糖質制限は良く効く

2016年08月15日 | Weblog

 今日外来を受診した60歳女性は、健診で糖尿病・高血圧症・高脂血症を指摘されてから、数年来通院している。健診時のHbA1cは10%だった。それから治療を開始して、高血圧症・高脂血症はそれぞれ1種類の内服薬で改善したが、血糖コントロールは不良だった。

 HbA1cは7%台のこともあったが今年の4月にはまた10%になった。肥満があるが、変形性股関節症で松葉杖を常用しているので運動はできない。インスリン注射は絶対イヤという標準的な患者さん?だった。こちらも肥満を助長するので、インスリンは使いたくない。Cペプチドは3.37ng/mlと十分で出ている。尿蛋白陽性なので、早めに7%未満にしなければならない。

 やせればそれだけで改善するが、それが難しいという標準的な糖尿病患者さんだった。カロリー制限は難しいので、糖質制限を勧めていた。DPP4阻害薬とメトホルミンにSU薬が入っているが、アマリールを2mg/日に増量して経過をみていた。HbA1cが9.7%、8.7%と下がってきたが、これまでの経過からその辺が限界かと思っていた。

 それが今日の検査で、HbA1c6.5%と2か月で2.2%も良くなっていた。どうしたのか訊いてみると、夕食のごはん(米飯)を抜いていたという。朝昼はそれまでと変わりない食事だった。糖質制限としてはごく初歩だが、けっこう効果があるものだ。体重も2か月で5Kg減少していた。継続できそうか尋ねると、できそうだという。夫にはなぜ夕食の時にごはんを食べないのかと言われるそうだ。

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肝硬変・肝細胞癌?

2016年08月14日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。肺炎を見逃した33歳女性が発熱・咳が続いて食欲がないので、入院したいと受診してきた。血液検査では白血球数は2万から1万に、CRPは20から8に低下していた。解熱したら退院したいという希望なので、数日だけの入院になりそうだ。抗菌薬(クラビット)は効いているので継続とした。臨床症状よりも検査値が改善するのも変な気がした。

 消化器科で今年から潰瘍性大腸炎(直腸型)の治療を開始した41歳女性は、一昨日の金曜日から肺炎の治療もしていた。腹部症状は特に変わらないという。治療はアサコール内服で、ステロイドは入っていない。

 7月20日ごろから感冒症状があり、咽頭痛は軽快して、発熱と咳が続いていたという。どの時点で肺炎だったか、判断しにくいが、両側肺炎で1週間以上の経過があるようだ。セフトリアキソンを点滴して、あとはグレースビット内服になっていた。昨日も症状が続いて外来受診したいる。当直の外科医がセフトリアキソンを外来で追加していた。今日の点滴の指示が出ていたが、食欲がないのでもっとビタミン剤を入れた点滴も追加してくださいという希望だった。入院を勧めて、一度は帰宅希望だったが、夫と相談して入院となった。

 67歳男性がふらついて歩けないということで救急搬入された。救急隊の話では、左下肢の脱力ということだが、搬入時には左右差がなかった。昨日からの症状だという。若い時からかなりの大酒家で(奥さんは浴びる様に飲んだという)、最近もビールと焼酎を日本酒換算で3~5合は飲んでいる。お盆になってもっと飲んだらしい。

 血液検査はAST/ALTが2倍以上で、γGTP上昇という、アルコール性肝障害のパターンだった。炎症反応がごく軽度に上昇している。自分では気づいていないが、搬入時は37.6℃の発熱があった。意識清明で良くしゃべっていた。慢性硬膜下血腫疑いで検査した頭部CTは異常なし。腹部CTで肝臓辺縁に凹凸があり、肝硬変を呈していた。そして肝右葉に腫瘤性病変があった。造影すると周囲からまだらに造影された。肝細胞癌か肝膿瘍か。外科医(大学病院から日当直に出張)に相談すると、肝細胞癌でしょうという。ところが、腫瘍マーカーはAFPが正常域で、CEAとCA19-9がわずかに上昇していた。胃腸と膵にCTでわかる腫瘍はなく、転移性癌は考えにくい。

 点滴しているうちに、ふらつきには改善したので、今日は帰宅とした。明日受診してもらって、まずは放射線科医に読影をお願いしてから、肝臓を専門にしている外科医と相談することにした。

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急性細菌性副鼻腔炎

2016年08月13日 | Weblog

 昨日の夕方に見逃した肺炎を紹介した医院から、20歳女性も紹介されてきた。紹介状には発熱・咳と顔面痛と記載されていた。8月1日から発熱(38℃台)・鼻汁・咽頭通・咳が出現して、翌日にその医院を受診した。風邪薬一通り(抗菌薬はメイアクト)が処方されて、翌々日には症状が軽快した。その後、体温測定はしてないので発熱があったがどうかあからないというが(高熱はないのだろう)、体のだるさが続いていたそうだ。8月9日から38℃台の発熱・黄色鼻汁・咳・痰が、また始まった。

 胸部X線で明らかな肺炎はないが、炎症反応上昇があり、副鼻腔炎かもしてないが咳も気になるのでという紹介だった。咽頭の発赤・扁桃の腫大はく、しばらく観察したが後鼻漏は指摘できなかった。顔面痛というのは、患者さんによれば目の奥が痛いと感じるそうだ(目の症状所見はない)。

 紹介患者さんであり、前日の肺炎見逃しもあったので、やりすぎかもしれないが、副鼻腔から胸部までCT検査を行った。両側の上顎洞に液体貯留を認めた。肺炎の陰影はなかった。風邪事自体でもかなりの頻度で副鼻腔内に浸出液(漿液性)が貯留するらしいが、この場合は膿性鼻汁の貯留だろう。金曜日の非常勤の耳鼻咽喉科は午前で終了していたので、そのまま内科で抗菌薬を処方して、来週まで経過をみることにした。

 抗菌薬はサワシリンかオグサワ(オーグメンチン+サワシリン)がいいとは思ったが、内服回数も簡単なのでレボフロキサシンにした。たまたま左乳房内に腫瘤様に見えるところがあり、来週の再診時に乳腺を専門にしている外科医の外来に紹介することにした。2峰性の経過で膿性鼻汁と顔面痛があったので、検査はせずに細菌性副鼻腔炎としてペニシリンを処方するのが正しいのかもしれないが。

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見逃した肺炎

2016年08月12日 | Weblog

 昨日の日直で33歳女性が発熱・関節痛で受診した。前日に発熱・咳・咽頭痛で内科医院を受診した。風邪として処方を受けたが、発熱が続き、関節痛がひどいと救急外来を受診した。患者さんの希望は、「関節痛がひどいので注射してほしい」だった。

 インフルエンザの流行期ならインフルエンザといいたくなるような症状だなと思った。内科医院の薬は、咳止めと去痰薬、抗菌薬メイアクト(そこの医院で愛用している)、カロナールなどが出ていた。関節痛の注射は勘弁してもらって、NSAID(ロキソニン)を追加処方した。

 発症して3日目だし、胸部聴診も異常なかったが、肺炎がないかどうかレントゲン写真を撮りましょうと、胸部X線検査をしてしまった。大きな乳房の陰影が重なった部分が白っぽく写るが左右均質だし、以前に撮影した胸部X線と比較しても変化はないと判断して、肺炎はありませんと説明した。

 今日その内科医院を再度受診して、血液検査の結果、白血球数2万・CRP20と出た。当院へ紹介されて別の内科の先生が診察した。胸部CTで両側肺に斑状影が数か所あり、肺炎だった。レボフロキサシン内服で外来治療となった。尿中肺炎球菌抗原は陰性だったが、非定型ではなく細菌性だろう。

 外来の看護師さんから教えてもらって(昨日の日直を一緒にしていた)、胸部CTを確認した。改めて昨日の胸部X線写真を確認したが、それでも単純x賤では陰影を指摘できなかった。まあ見る人がみればわかるのだろう。状況的に無駄な胸部X線をオーダーして、さらに肺炎を見逃すという結果になってしまった。修行が足りないということなのだろう。

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