なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌脳転移・けいれん

2022年06月24日 | Weblog

 木曜日の午後に、けいれん発作の76歳男性が救急搬入された。6月初めに肺癌の緩和ケアで地域の基幹病院呼吸器内科から紹介されていた。

 

 5月中旬に市内の内科医院で行った胸部X線に右肺腫瘍が描出された。基幹病院に紹介されたが、肺癌自体の進展もあるが、肝転移を認めた。

 全身状態から治療は困難と判断されて、緩和ケアの方針となった。といっても癌性で困っているわけではない。処方は鎮咳薬・去痰薬・便秘薬のみだった。

 6月7日に当院内科外来を受診した。CTで肝臓全体に転移があり、健側の左肺にも転移があった。できるだけ自宅で過ごしたいという希望で、2週間おきに外来で診ていくことになった。

 

 搬入時に発熱を認めた。左上下肢が確かにけいれんしていたが、会話は可能だった。悪寒・戦慄かとも思ったが、片側だけなのでやはりけいれんらしい。

 短時間でけいれんが治まり、採血・点滴をしているとまた生じて、短時間で治まった。肺癌脳転移が疑われた。基幹病院で行った画像に頭部CT・MRIはなかった。

 当院を受診した時に頭部CTを撮影すればよかったが、神経症状はなかった。すぐに頭部CTを行うと、右大脳(頭頂葉)に転移巣と周囲の脳浮腫を認めたが。肺癌脳転移による焦点発作だった。

 救急室に戻るとまた左半身のけいれんが始まった(意識はあり、会話はできる)。二次性全般化する可能性がある。ジアゼパム5mg注を、高齢なので2.5mgだけ注入すると、けいれんは治まった。閉眼してしまい、何度か呼びかけると開眼した。ジアゼパム追加はやめた。

 ジアゼパムの効果はすぐに切れるので、イーケプラ500mgを点滴静注した。さらに500mgを追加するつもりだったが、けいれんは起きなかった。イーケプラ500mgを1日2回点滴静注して、けいれん時に追加することにした。それでも治まらなければ、ミダゾラムを使用する。

 紹介されて外来を受診した時よりさらに衰弱している。家族にはいったん入院すると、退院はできなくなると説明した。もともとできるだけ自宅で過ごして、自宅でみれなくなったら入院の方針だったので、予定通りではある。

 

 その日はてんかんの講演会があったので、帰りに会場のホテルの向かった。地域の基幹病院には、脳外科と脳神経内科にてんかん専門医がいらして、そのおふたりが講演した。対面での講演会出席は久しぶりだった。

 

 

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