なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

今週のコロナ事情

2022年06月11日 | Weblog

 火曜日の午後に保健所から、新型コロナに罹患した20歳代女性の入院依頼が来た。

 右下腹部痛で市内の別の病院を受診していた。発熱があるため、新型コロナの抗原定性試験をして陽性と出たそうだ。右下腹部痛はかなりひどい、ということだった。

 コロナでも消化器症状は伴うが、それほど重度の腹痛にはならないだろう。症状からは急性虫垂炎の可能性がある。また婦人科疾患も疑われるため、CT検査の前に尿妊娠検査を行うところから始まる。

 常勤外科医がいない、外科手術ができない当院としては、受け入れ困難だった。地域の基幹病院に依頼してもらうことにした。

 

 受診した市内の病院は、理事長・院長を始め、外科医は充実している。公立病院や大学病院を定年退職になった、名のしれた先生をスカウトしてくる(出身外科医局のつながりが強い)。最近も、当方も名前を知っている外科医が加わっていた。

 

 その日の夕方に、内科の別の先生から報告があった。午後の発熱外来を施設入所中の2名が受診して(職員が連れてきた)、2名とも新型コロナウイルスの抗原定性試験で陽性と出たという。

 すでに施設に戻っていた。その施設は、知的障害者の施設で、受診したのは62歳男性と42歳男性だった。年齢的には入院にはならないが、知的障害があると入院適応と判断されるかもしれない。

 施設内に他の発熱患者さんもいて、他院を受診させているようだ。ある程度全体像がわからないと、どう対応するか決められない。翌日の保健所の指示を待つことにした。

 翌水曜日に、(その時点で)施設内で7名のCOVID-19患者がいるころがわかった。すでにクラスターになる。前日に当院で検査を受けた2名は当院感染病棟に入院させてほしい、と保健所から依頼が来た。

 どの程度の介護度なのかわからなかったが、病棟看護師さんの了解が得られて、入院とした。

 42歳男性は全介助を要する。両上肢が拘縮していて、食事介助が必要だった。てんかんの専門病院に通院していて、抗てんかん薬が3種類処方されている。それでもけいれん発作が頻発して、その時に使用するジアゼパム座薬10mgも処方されていた。

 末梢の静脈が見えず、入院時の採血もできなかった。病状評価が必要なので、動脈からの採血となった。これではけいれ発作時に、点滴静注での抗けいれん薬は投与はできない。

 62歳男性は糖尿病はあるが、てんかんはなかった。病室内を歩き回っていて、歩幅の小さい歩行で転倒が危惧される。病室に設置しているモニターで見ると、頻回にベットの上に立ち上がってしまう。病室内のトイレには自分で行くが、便器の中にうまくできない。 

 当方は抗ウイルス薬を処方して、病状が悪化しないか確認するだけだが、病棟の看護師さんの負担は相当に大きい。

 

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