なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

穿孔性腹膜炎

2022年06月09日 | Weblog

 6月1日に急性腎盂腎炎・(腎前性?)腎不全で入院した肝硬変・肝性脳症の65歳女性。

 両側腎臓の腫脹・水腎症があり、尿管も軽度に拡張していた。膀胱壁も肥厚していたが、尿カテーテル挿入で入院後は尿量が1000~1300ml/日くらいあった。解熱して、血液検査では白血球数も正常化して、CRPも入院時以上の上昇はなく、少し低下していた。

 意識状態も改善して、ほとんど普段と同じになっていた。食事摂取はまだいらないと言われて、進まなかったが、週明けにはよくなるだろうと思われた。

 

 ところが、5日日曜日朝からに急に尿が出なくなった。病棟の看護師さんが尿カテーテルの詰まりを疑って入れ替えをしたが、やはり尿はでなかった。

 午前中に体位変換をした時に腹痛を訴えた(自分からは言わなかった)。お昼前に、下腹部に圧痛があると連絡がきた。

 午後1時半に病棟に診に行くと、入院した時と比較して腹部膨満がある。全体にぷよぷよした感じで確かに下腹部に圧痛があった。腹水だろうと思われたが、入院時にはなかった。肝硬変としての悪化が急に来る?。

 血液ガスを含む血液検査を提出して、胸腹部CT(腎障害あり単純)を取ることにした。

 まず腹水貯留が目についた。そして遊離ガスがあった。消化管穿孔による急性腹膜炎だが、どこの穿孔だろうか。十二指腸球部の壁が切れているようにも見えるが、その周囲にガスがないので、わからない。昨年の上部消化管内視鏡検査では異常がなかったはずだが。

 入院後120くらいで推移していた血圧が、90~100になっている。輸液を予定のソリタT3・500mlからソルラクト500mlに切り替えて、速度を上げて入れた。

 血液ガスでは代謝性アシドーシス(pH7.300)になっていて、血清クレアチニンが入院時より悪化して3mg/dl台になっている。

 家族に連絡してすぐに来てもらうことにした。ちょうど1年前に意識障害で受診した時に肝硬変・肝性脳症の診断をしてもらった地域の基幹病院外科に連絡した。

 受けてもらえたので、家族の到着を待って救急搬送した。元々の肝硬変・肝性脳症に今回の腎障害・血圧低下がある。はたして手術できるのかわからないが、外科判断になるので、とにかく送るしなかった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする