なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膵癌だった

2022年06月21日 | Weblog

 月曜日の午後に85歳女性が救急搬入された。一人暮らしの方で、ケアマネージャーがいっしょについて来ていた。

 数日前から飲食ができなくなったという。ケアマネージャーの話では、家にエアコンはなく、室内の気温がかなり上昇して「むあ~っと」していたという。

 大学病院からバイトで来ている総合診療医が対応して、血液・尿検査と胸部X線を行っていた。腎前性と思われる腎機能障害があり、尿は混濁して炎症反応が上昇していた。

 入院治療依頼の連絡が来たが、「熱中症・脱水症で、尿路感染症もあります」ということだった。今どきの、ありがちな病像と思って救急室に行った。

 末梢静脈が虚脱の問題もあるが、もともと見えにくい方だった。尿培養と血液培養2セットを提出したが、血液培養は動脈血でだすしかなかった。

 尿路系の異常(腫瘍・結石の有無、尿路系拡張の有無)を見るためもあり、胸腹部CTを追加した。すると、膵尾部にかなりの腫瘍が描出された。膵癌だった。あとで追加した腫瘍マーカーはCEAは7.3で微増だが、CA19-9が>12000と希釈しても測定困難なくらいに著増していた。

 胃体上部にも腫瘤に見えるところがある。胃癌もあるのかもしれない。腹水はなく、単純CTなので確定はできないが、明らかな肝転移はなかった。

 とりあえずは、点滴と抗菌薬投与で経過をみるが、食事摂取できるかどうかわからない。このまま最期まで入院になってしまう可能性もあった。

 独身の方で、来てくれる身寄りは甥だけだった。その甥に病状を説明したが、自分のこれまでの病気や、現在かかりつけの病院を頻回に受診していることを熱心に話していた。患者さんに関しては、病院にお任せするのでよろしく、ということだった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする