なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

外傷性くも膜下出血

2022年06月14日 | Weblog

 認知症の92歳男性は当方の外来に通院している。先月に低ナトリウム血症(原因不明)による意識障害・食事摂取低下で入院した。

 腎臓内科の若い先生が担当になっていたが、生食の点滴で低ナトリウムは改善していた。夜間せん妄があって、病棟看護師さんは当方に相談していた。デジレル25mg(定期で1錠、屯用で追加)の使用で何とか夜間は穏やかに過ごすようになった。

 月曜日は退院後初めての外来だった。家族(娘さん)に退院後の様子を訊くと、退院直後は「殺される~」と叫んだりしていたが、その後は落ち着いたそうだ。夜間せん妄の処方も追加は希望しなかった。

 以前から、夜間に冷蔵庫をあさったりしている。難聴もあり、まったくのマイペースで動き回っていて、言っても通じない。年齢の割に身体はがっちりして力がある。自宅でみるのは大変だろう。お嫁さんではなく、娘さんなので、何とかみてくれているようだ。

 抗精神薬は現在セロクエル25mg2錠分2を処方している。多少は効いていると思うが、増量した方がよさそうだ。それでも娘さんは今くらいの処方でいいです、と言っていた。それでも、家で診られなくなった時に入院できますか、ともいわれた。精神科病院にお願いするようになると伝えた。

 

 月曜日の午後に救急搬入された。転倒して頭部を打撲していた。救急担当は大学病院から来てもらっている総合診療医だった。頭部CTで外傷性くも膜下出血があり、急性期は地域の基幹病院脳外科に搬送となった。

 脳外科医から、この患者さんに出ているバイアスピリンの理由を訊かれたそうだ。改めて訊かれると、すぐには答えられなかった。

 カルテを確認すると、外来で診ていた内科医の時から抗血小板薬が出ていた。多発性ラクナ梗塞として処方されている。そのまま継続していたのだった。いわゆる、「何となくバイアスピリン」だった。

 詳細はわからないが、脳画像の検査でラクナ梗塞を指摘されたところからの処方なのかもしれない。抗血小板薬は不要か、再発予防として使用するとすれば、クロピドグレルかシロスタゾールに変更すべきだった。

 

 脳外科医からは急性期は診るが、その後は当院へ戻すといわれたそうだ。先方の病院には精神科医がいるので、抗精神薬も調整(増量)されて戻ってくるかもしれない。

 

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