なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「もっと ねころんで読めるてんかん診療」

2020年09月26日 | Weblog

 「もっと ねころんで読めるてんかん診療」中里信和著(メディカ出版)が出た。最近使いだしたラコサミド(ビムパット)のことも載っていたので、前著(ねころんで読めるてんかん診療)に続いて購入した。

 現在、肺癌・脳転移の86歳女性にビムパット(50㎎)2錠分2を使用している(小柄で痩せていて体重28kg)。症候性の部分発作(左上肢のけいれん)がイーケプラ使用で治まらなかったところから、ビムパットに変更した。その後、発作はまったく起こっていない。

 神経内科には脳腫瘍(膠芽腫)の15歳男性が入院している。緩和ケア継続のため、大学病院脳神経外科から転院してきた。大学病院でビムパットを処方されていた。転院後にてんかん重積状態となって、当方が土日の日直で出ていた時だったので、いったん大学病院に搬送している。(ビムパット点滴静注を追加して搬送した)

 ビムパット増量ですぐに当院に戻ってきた。現在は内服できないので、点滴静注でビムパット400㎎/日が投与されている。けいれんは治まっているようだ。大学病院緩和ケア科入院もできるが、コロナの影響で家族の面会が規制される。当院入院だと、個室使用であれば家族の面会(長時間病室滞在も)が頻回にできる。

 教科書的には、けいれん時はジアゼパム静注からホストイン点滴静注になっている。神経内科では、ジアゼパム静注からイーケプラ点滴静注にして、治まったらイーケプラ内服にしていた。その後、ビムパットも院内に入れていた。

 まねをして内科でもイーケプラを愛用(頻用)していたが、今後はビムパットも使用することにした。内科で診るのは脳血管障害後遺症による症候性てんかんで、部分発作・複雑部分発作・二次性全般化になる。

 

 この本の記載によれば、

 ラコサミドは、1)発作抑制力が高い、2)重篤な副作用の出現率がきわめて低い、3)臨床的に注意すべきほどの薬物相互作用がない、4)Naチャネルブロッカーで緩徐な神経細胞不活化をきたすので、正常な神経細胞を抑える効果は弱い、5)経口投与でほぼ100%吸収され、投与開始から3日で定常状態に達する、6)静注薬があるので、内服できない場合でも静注薬に置換できる。

 部分発作(二次性全般化発作を含む)への抗てんかん薬は、レベチラセタム(イーケプラ)・ラコサミド(ビムパット)、ラモトリギン(ラミクタール)を第一選択にしている。すべて頭文字が「L」なので、部分発作(二次性全般化発作を含む)への「トリプルL」と呼んでいる。

 

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