水曜日は外科医(女性医師)が当直だったが、急性胆管炎の診断で84歳男性を入院させていた。経過が興味深かった。
脳梗塞後遺症で神経内科の外来に通院していた。定期の血液検査で肝機能障害を認めて、消化器科に紹介された。MRCPで総胆管結石と診断されて、地域の基幹病院消化器内科に紹介となった。
総胆管結石はあったが、下部胆管に腫瘍が疑われた。細胞診、さらに生検(透視下で施行)まで行ったが、異形細胞の診断にとどまり、癌とは確定できなかった。
「確定診断をつけるためには、大学病院などへ紹介して、胆管鏡を用いた直視下での生検が必要」と説明された。しかし患者さん本人と家族は、高齢なので(当時82歳)精査・治療は希望しないと返事をしていた。
胆管癌であった場合は徐々に進行して転移を来すことなどを説明されて、経過観察のため当院消化器科の外来に戻ってきた。
今回のCT画像でみると、単純だけだが肝内に腫瘤が描出されていた(総胆管にはステント留置、総胆管壁自体は単純ではわかりにくい)。
肝転移で間違いなければ、下部胆管癌で間違いないことになる。入院後、抗菌薬投与(PIPC/TAZ:ゾシン)が開始されていたが、高熱がまだ出没していた。
腎機能は造影剤禁忌ではないので、転移と肝膿瘍の鑑別のためにも造影CTがほしいところだ。