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エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第23回定期演奏会

2022-02-06 15:31:50 | コンサート、演奏会


(組曲「展覧会の絵」演奏後、花束を受け取った指揮者の宗貞啓二さん(右)と大森義基さん。)

2020年2月24日、広島県広島市のエリザベト音楽大学セシリアホールで行われた「サクソフォンラージアンサンブル 第23回定期演奏会」を聴きました。
ラージアンサンブルは規模の大きなアンサンブル(演奏グループ)のことで、ソプラノからバスまでサクソフォンだけで広範囲な音域をカバーし、音にオーケストラのような厚みがあります。
当時の2月は新型コロナウイルスの脅威が中国地方にも押し寄せ、コンサートや演奏会にも影響が出始めていましたが、この演奏会は何とか無事に開催することが出来ました。
大好きな曲の一つである「展覧会の絵」が登場するということでとても興味があり、ぜひ聴きに行きたいと思いました



1. H.ヴィラ=ロボス/ブラジル風バッハ第1番

編曲:宗貞啓二
指揮:大森義基



(1曲目演奏前。1曲目はサクソフォンだけで演奏しました。)

一楽章
どろどろとした始まりで、少し緊迫感がありました。
やがて凄く明るくて安らぐ音色になり、気持ちも安らいで行きました
音に厚みがあり、低音の支えで高音が引き立っていました。


二楽章
ゆったりと雄大に始まりました。
アルトサクソフォンが凄く甘い音色で演奏する場面が印象的でした。
音がこちらに向かって迫って来るような場面があったのも印象的でした。


三楽章
とてもリズミカルに始まり、雰囲気が良かったです。
そのリズムが演奏を変えて、緊迫感も出て行きました。



2. M.ブルッフ/コル・ニドライ 作品47 ソリスト:宗貞啓二

編曲:宗貞啓二
指揮:大森義基




(サクソフォンに加えてハープ、パーカッション、コントラバスも登場しました。)



(ソリストの宗貞啓二さんが登場しました。長年サクソフォンの指導をされていて、今回の定期演奏会は宗貞啓二さんの退官記念演奏会でもありました。)

暗くゆったりと始まりました。
ソリストもアルトサクソフォンでの演奏を始め、もの悲しそうでした。

ソリストの音色が明るくゆったりしたものになると、今度は速くもなり、音に緩急がありました。
サクソフォンのアンサンブルはゆったりとした音色で支えていました。

ハープもゆったりと入り、全体が高音でゆったりとしました。
とても安らぐ曲で良かったです



(演奏が終わり、拍手を受ける宗貞啓二さん。)



3. A.ウェーベルン/緩徐楽章



(左からフランスのジャン・ピエール・バラグリオリ(Jean pierre BARAGLIOLI)さん(ソプラノ)、カナダのウィリアム・ストリート(William STREET)さん(アルト)、アメリカのリチャード・ディーラム(Richard DIRLAM)さん(バリトン)、日本の宗貞啓二さん(テナー)。)

ここから「インターナショナル サクソフォンカルテット」の4人が登場しました。
最初に宗貞啓二さんのトークがあり、自身の退官記念演奏会に際し、3人が自費で来てくれたとのことでした。
また20年くらい前から年に一度コンサートをしているとのことで、国籍もバラバラのカルテットが20年も続くとは素晴らしいなと思いました

「緩徐楽章」はゆったりとした曲で、とても安らぐ音色で伸びが良かったです。




(向かって左からソプラノサクソフォン、アルトサクソフォン、バリトンサクソフォン、テナーサクソフォンの布陣は他のサクソフォンカルテットでも見たことがあり、調べてみるとこの並びになることが多いようです。)



4. F.ロセ/バラバルシグリオリ

ソプラノサクソフォンの非常にファンキーな独奏で始まりました。
全体がとても面白い音色でした。
最後の「風」が吹くような音が印象的でした



5. C.メーシー/夜の歌

ややミステリアスに始まり、ソプラノサクソフォンがとても目立っていました。
ゆったりしつつ音色が派手だったのが印象的でした。



(演奏終了後、4人それぞれに花束が渡されました。)



6. M.ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」

編曲:M.ラヴェル・宗貞啓二
指揮:大森義基




(「展覧会の絵」の演奏前。物凄い人数が揃いました



(宗貞啓二さんの指揮で演奏が始まりました。インターナショナルサクソフォンカルテットのメンバーも演奏に加わっています。)

「展覧会の絵」は「プロムナード」と呼ばれる、展覧会に展示されている絵から絵へと歩く際の間奏のような演奏が何度も登場する特徴があり、冒頭にも登場します。
桐本萌絵さんという、かつて2019年2月の「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第47回広島」で広島交響楽団との共演を聴いたことのある人による、ソプラノサクソフォンのソロ演奏で始まりました(全景写真の前列向かって一番左)。
そのプロムナードの迫力が凄かったです

音色がミステリアスになった時、チェレスタ(電子オルガンのような見た目の楽器)の低音での演奏が良かったです。
指揮が「バンッ!」と区切って演奏を終わらせたのも印象的でした。

次のプロムナードはとてもゆったりしていました。
アルトサクソフォンが演奏を先導し、ソプラノサクソフォンなどが続いていました。

とてもミステリアスな音色になり、雰囲気に引き込まれました。
バスサクソフォンやアルトサクソフォンが特に活躍していました。

次のプロムナードは桐本萌絵さんが主導し、全体が凄い迫力になっていました。

陽気な演奏になり陽気な雰囲気のまま終わり、今度は低音だけによる暗い演奏になりました。
やがて全体の迫力が増し、凄く派手で重厚感もありました。

次のプロムナードは甲高く寂しそうな音色でした。
低音の演奏も登場し、暗い雰囲気でした。

凄くコミカルな演奏になり、直前のプロムナードとの差が印象的でした。
スピードも速く、あっという間に終わりました。

ショッキングな音色で次の演奏が始まると、ソプラノサクソフォンの人がソロ演奏で主導し、かなりの速さでとてもリズミカルでした。
そこから一気にゆったりとした演奏になり、最後は力強く終わりました。

今度はとても明るくスピーディーに始まり、迫力もありました。
一気にゆったりしたかと思うと、不気味さも現れていました。

とてもゆったりとした安らぐ音色になります。
そこから一気に迫力とスピードのある演奏になり、凄さに引き込まれました。

大迫力の音色になり、「展覧会の絵」で最後に登場する「キエフの大門」の場面になります。
有名な重厚感のあるメロディの演奏が凄く良く、聴いていて涙が滲みました。
やがて「キエフの大門」の中で万を持してドラマチックできらびやかな雰囲気の「プロムナード」のメロディが登場し、演奏の終わりへと向かいました





(今回の定期演奏会で指揮をされた宗貞啓二さん、大森義基さんに花束を渡す場面。写真の一番右に写っているのは前年度に卒業された進正裕さんで、神奈川の大学院に進学されましたがこの日のために駆け付けてくれたようです。)







(3年生の梅本舜也さんによって、間もなく卒業して旅立つ4年生達への感謝の言葉が述べられていました。)




(アンコールに際し、宗貞啓二さん挨拶中。またこの当時2年生だった廣瀬奏一朗さんと田中啓悟さんは昨年11月に「Quatuor D’hommes 1st Recital」を開催し、聴かせて頂くという音楽の縁がありました



アンコール:ハチャトゥリアン/仮面舞踏会

日本ではフィギュアスケートの浅田真央さんが現役時代に演技したことでも知られている、迫力とミステリアスさを持つ曲です。



ダブルアンコール:J.マティシア/デヴィルズ・ラグ

サクソフォンラージアンサンブル定期演奏会ではアンコールが一度では終わらない特徴があります。
ダブルアンコールの曲はサクソフォンラージアンサンブル設立以来愛されてきた曲とのことです。
凄く陽気な演奏をしていて、楽しい気持ちになって演奏会が終わりました



サクソフォンラージアンサンブル、楽しませて頂きました。
プログラムの最後に物凄い人数で演奏した「展覧会の絵」が特に印象的で、音の厚みと迫力がまさにオーケストラで、サクソフォンは音色に柔らかさがあるので聴き心地も素晴らしかったです
宗貞啓二さんが挨拶で「少子化の時代の流れでサクソフォン専攻の入学生がかなり少なくなった」と言っておられ、さらに新型コロナウイルスも発生し、一般層に開放で大規模な演奏会を行うのはなかなか難しいかもしれないです。
しかしとても良い演奏会だと思うのでこれからもぜひ続いていってほしいと思い、いずれまた聴きに行けるようになってほしいと思います



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プロフィール 2020年2月時点

指揮者紹介

宗貞啓二
サクソフォンを水野昱子、石渡悠史、故大室勇一の各氏に師事し、1975年国立音楽大学を武岡賞を受賞し卒業。
同年読売新人演奏会、皇居内桃華楽堂新人演奏会に出演。
在学中、第42回毎日音楽コンクール第1位入賞。
1976年渡仏、フランス国立ボルドー音楽院にてサクソフォンをJ.M.ロンデックス氏に、室内楽をR.ペレ氏に師事、いずれも一等賞を得て卒業。
ボルドー市栄誉賞を受ける。
現在、エリザベト音楽大学、洗足学園音楽大学の各講師。


大森義基
1991年昭和音楽大学を特別賞を受賞し卒業。
在学中に第7回日本管打楽器コンクール入賞。
1992年渡仏、翌年パリ・レオポールベランコンクール第1位入賞。
1994年パリ国際音楽コンクール第2位及び審査員特別賞受賞。
同年、フランス国立セルジーポントワーズ音楽院を審査員全員1位の主席で卒業。
これまでにソロアルバム「ヴァカンス」「ア・ラ・パリジェンヌ」「ミント」「ナイチンゲールとバラ」をリリース。
サクソフォンを市川豊、故大室勇一、宗貞啓二、ジャン=イヴ=フルモーの各氏に支持する。
現在昭和音楽大学、エリザベト音楽大学、桜美林大学芸術文化学群音楽専修の各講師。


エリザベト音楽大学サクソフォン・ラージアンサンブル

学部生4年 岡田 咲姫  金本 理久  桐本 萌絵  坂本 さくら  谷本 百衣  廣本 穂乃
学部生3年 梅本 舜也
学部生2年 田中 啓悟  廣瀬 奏一朗
チェレスタ 室川 桃子
ハープ   松本 彩
コントラバス 能見 義史  村上 和音
パーカッション 小川 裕雅  高山 桃奈  藤野 真奈美  向井 沙世  吉永 有紗

賛助出演 相川 真美  植川 緑  魚本 由貴  打明 茉奈穂  牛尾 杏里  宇津 優輔
     岡 恵里奈  岡本夏奈  小田 桃子  垣内 加純  梶谷 知世  加藤 和也
     川上 由佳  菊地 ユカリ  岸本 和宣  木山 亜希子  久保田 麻里  黒木 久美子
     小早川 香織  小林 千津  進 正裕  新宅 理恵  住田 郁子  武島 利奈
     立畠 響介  谷川 智宏  椿 義治  原口 茜  平井 千香子  深川 絹代
     福間 修人  藤井 佳樹  藤川 あゆみ  溝下 万裕佳  前田 基成  前田 悠貴
     増田 結子  宮田 麻美  森山 葵  諸富 絵梨香  柳瀬 萌  山田 美和
     山本 愛子  李 愛梨         
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2 コメント

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Unknown (石原 宏)
2022-02-06 17:13:13
素敵です。
細やかな解説に僕にも素晴らしさが伝わります。
いつか聴いてみたいです。
無事、開催されて良かったです。🍀
返信する
石原宏さんへ (はまかぜ)
2022-02-06 23:27:11
こんばんは。
当時は新型コロナウイルスの脅威が中国地方にも押し寄せ始めていましたが、何とか開催されて良かったです。
ラージアンサンブルに興味を持って頂けて嬉しいです
ソプラノ、アルトなど、音域の違うサクソフォンがずらりと揃うとまるでオーケストラのようになるので、いつか聴けると良いですね
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