今回ご紹介するのは映画「ちはやふる 結び」です。
-----内容-----
いつも一緒に遊んでいた、幼なじみの千早・太一・新。
家の事情で新が引っ越してしまい、離ればなれになってしまうが、高校生になった千早は、新にもう一度会いたい一心で、太一とともに仲間を集め、瑞沢高校かるた部を作った。
「新に会いたい。会って『強くなったな』と言われたい。」
創部一年目にして、全国大会に出場した瑞沢かるた部だったが、千早は個人戦で史上最強のクイーンに敗れ、さらに強くなることを部員たちと誓った。
あれから二年―、かるたから離れていた新だったが、千早たちの情熱に触れ、自分も高校でかるた部を作って、全国大会で千早と戦うことを決意する。
一方、新入部員が入り、高校三年最後の全国大会を目指す瑞沢かるた部だったが、予選を前に突然、部長の太一が辞めてしまう。
動揺と悲しみを隠せない千早…。
千早、太一、新は、再びかるたで繋がることができるのか?
今、一生忘れることのない最後の夏が始まる。
-----感想-----
※「ちはやふる 上の句」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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3月17日に上映が始まった映画「ちはやふる 結び」を観に行きました。
気持ちが沸き立つ物凄く良い青春映画で衝撃的な完成度の高さでした
「お願い、誰も息をしないで」という千早の心の中の言葉で映画が始まります。
この一言で一気に気持ちが澄み渡り、強烈にスクリーンに引きつけられました
高校二年生のお正月、綾瀬千早(広瀬すず)は若宮詩暢(松岡茉優)と我妻伊織(清原果耶)によるクイーン戦の札ガールをします。
札ガールは対戦の様子が分かるように、掲示板上で対戦の進みに合わせて札を移動させていく人のことです。
千早はクイーン戦挑戦者決定戦で伊織に惜しくも敗れていました。
詩暢が伊織を倒しクイーン戦三連覇を達成します。
名人戦は周防久志(賀来賢人)が原田秀雄先生(國村隼)に勝ち五連覇を達成し、永世名人になります。
「もうやることはない」と言い引退を宣言する周防に観戦していた綿谷新(新田真剣佑)が「まだ辞めないでくれ!」と頼み、周防はあと一年だけ現役を続けると言います。
周防は賀来賢人さんによって小さい声でボソッと話すのと超然とした仙人のような雰囲気が上手く表現されていました。
そして千早は名人戦、クイーン戦の後、新に「好きや、千早」と告白されて放心状態になります。
瑞沢高校かるた部は千早達が三年生の春を迎え、前年に一人も部員が入らなかったため気合を入れて新入部員を勧誘しますが、入部したのは筑波秋博(佐野勇斗)と花野菫(優希美青)の二人でした。
筑波は新入部員勧誘時の体験かるたで千早と対戦した時にいきなり凄い速さで札を取り千早を驚愕させ、千早も本気になって取り物凄い速さでの取り合いになり、見に来た新入生のほとんどはドン引きして帰ってしまいます。
菫は太一が目当てで入部しました。
体育館での各部活紹介の時に望遠鏡を使って各部活の男子達を見ていて、隣にいた女子から「ガチ勢だ」と言われていたのが面白かったです。
福井県の藤岡東高校の新も全国大会で千早と戦いたくてかるた部を作ります。
かなりの精鋭メンバーが集まり、中でも新を「あにい」と慕う新入生の我妻伊織は千早を破りクイーン戦に出場した人です。
新が「頼みがある」と言うと伊織は「言いたいことは分かる」と言い新が頼む前から入部してくれると言います。
すると伊織も「ところであにい、私も頼みがあるんよ」と言い、何と「私と付き合ってくれんか」と言います。
新に全く迷わずに「ごめん好きな人いるんよ」と言われ、淡々と「秒殺か」と言っているのが面白かったです。
この掛け合いは何度もあり、「ところであにい」が出ると即座に「ごめん好きな人いるんよ」が出るのが分かり、次第に言葉を出すタイミングが早くなっているのも面白かったです。
名人戦、クイーン戦の日に千早が新に告白されたことはかるた関係者によってどんどん広まっていました。
大江奏(上白石萌音)と千早がそのことを話していたのを聞いた菫は太一と付き合いたいばかりに、新が千早に告白したことを太一に話します。
そうすれば太一が千早を諦め、自身が付き合えるかも知れないと思ったようです。
太一は「俺、関係ないから」と言っていましたが実は動揺していました。
全国大会出場をかけた東京都大会の日、太一が退部したことが明らかになり衝撃が走ります。
動揺しながらも千早達は何とか戦っていきます。
しかし重要な北央学園戦で、高慢で周りを見下しチームプレイを無視していた筑波が致命的なミスをしてしまい、あと一歩のところで敗れてしまいます。
部長の太一不在で戦った瑞沢高校は苦しみながら何とか全国大会の出場権を得ます。
新のチームも全国行きが決定します。
東京都大会の後、「どうして辞めるのよ!どうして!」と詰め寄る千早に太一は「千早のためにかるたをやってきたけど、もう無理だ」と言い去っていきます。
「千早のことが好きだが恋は敗れた。こんな精神状態ではもうかるたはできない」とは言えず、何とか絞り出すように言ったのがその言葉だったのだと思います。
太一は東京大学かるた部の周防名人に弟子入りします。
「もう無理」と言ってはいましたが、かるたと一切関わらないくらい嫌いにはなっていませんでした。
周防と太一が中華料理屋でご飯を食べ、会計の時にお金を出そうとする太一を手で制して周防が全額払うと格好をつけたものの、いざ財布を開けたら中身が全く入っていなかったのが面白かったです。
千早が原田先生に太一のことを相談すると、原田先生が印象的なことを言います。
「それがまつげ君なんだよ。自分のことは構わず、他の人のために尽くす。自分がボロボロになってでも」
この言葉を聞いて、千早は太一が千早のために、かるた部のために、どれだけ尽くしてくれていたかを思い返したのではないかと思います。
太一が力強くかるた部を支えてくれていた時の幻影を見て「その太一が今はいない…」と切なくなっている場面が何度もありました。
それでもかるた部は千早を中心に再びまとまり、全国大会目指して特訓します。
高慢だった筑波もチームプレイの重要さが分かり、チームに馴染んでいきます。
自身より弱い奴の言うことは聞かないという態度だったのが、西田優征(矢本悠馬)、駒野勉(森永悠希)、奏の言葉も尊重するようになります。
菫も当初は太一目当ての入部だったのが、次第にかるたと向き合うようになっていきました。
そして高校最後の全国大会の行われる夏の近江神宮に行きます。
瑞沢高校も藤岡東高校もどんどん勝ち上がり、ついに決勝で激突します。
新の「ごめん好きな人いるんよ」が千早のことだと気づいている伊織にとって千早は今や新を取り合う恋敵で、決勝の前に千早を意識して「負けられんな」と言っていました。
全国大会決勝ではネット中継の解説の人がぎっくり腰になってしまい、居合わせた詩暢が代わりに解説を頼まれます。
丁重に断ろうとする詩暢に解説の人が「あの方との競演でもか」と言った場面が面白かったです。
まさかの人物の登場に詩暢が大興奮していました。
周防が太一に凄く印象的なことを言います。
「君を見ていて分かったことがある。周りの人のために頑張る人は、誰よりも強い」
これは原田先生が言っていた言葉とつながっていると思います。
自身のことで手一杯な中で、周りの人のために自身のこと以上に尽くすのはとてつもなく疲れると思います。
それをやっていた太一こそ誰よりも強いと、周防は見極めていました。
この言葉に心を動かされ、背中を押された太一は新率いる藤岡東高校との全国大会決勝に駆け付けます。
頭を下げ謝る太一に千早が何も言わずに自身がかけていたたすきを外して太一に渡す場面が良かったです
たすきは顧問の宮内妙子先生(松田美由紀)が作ったもので、千早は太一のたすきをかけて戦っていて、自身のたすきは懐に持っていました。
去って行った太一のことを「去ってもかるた部に存在している」という思いで一緒に戦っていたのが分かる場面でした。
太一が戻った布陣で藤岡東高校と激突します
瑞沢高校かるた部最後の夏を素晴らしく爽やかに描き切っていたと思います。
終わり方が凄く良く、明るく沸き立つ気持ちで観終わりました
なかなか決められずにいた千早の進路も最後の最後に最高の形で答えを見せてもらい、エンドロールの和風の絵にも描かれていたとおり、まさに「結び」な最後だと思います。
こんなに終わり方の素晴らしい映画は初めて観て、これはぜひ多くの人に観て頂きたいです