いわゆるカフェをやっていそうな方がその店の店主で、すてきなお話をしてくださる。それを聞いているだけで、スイーツを食べたくなって、コーヒーを飲みたくなってしまったのだ。たった今、腹いっぱい定食を食べてきたばかりだというのに(笑)。
「カフェオレ」(600円)は、木製の小さなトレーに、カップ&ソーサー、小さなポットにコーヒー、大きなポットにホットミルク、さらにコーヒーシュガーが2個載ってやってきた。
お客は好みの配分で、自分のペースでやわらかなおいしさを楽しめる仕掛け。コーヒーとミルクでポットのサイズが異なるのは、コーヒーの1杯目はすでにカップに注がれているからだ。ちゃんとシゴトをした上で、後はお客に委ねるという絶妙のバランスが素晴らしい。
「プロフィットロール」(550円)というスイーツも同様。ホットチョコレートが入った器が添えられていて、お客自身がトロリとかけるという楽しみを味わえる。こういうアクションをテーブルに残してくれるのは、ちょっとワクワクする。
「自分たちが楽しいから、きっとお客さんも楽しいはず」と始めたのだそうだ。
実にいい店だ。時間を忘れてしまう。
ただ、ふだん「低価格高カロリー」を好みワンコインランチなどを貪り食っている僕にとっては、ドリンク600円、スイーツ550円はかなりの高価格帯なのである(笑)。でも、間違いなくこの日は価格以上の価値を実感しながら、ゆったりと楽しい時間を過ごすことができたのだ。
店の名前は『LENTO』
「音楽用語でゆったりとという意味なんです。僕らもゆっくりやりたいほうなんで」
ゆっくり進んでいた時間の速度を、店主のやさしい笑顔がさらに緩めていくのだった。