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奥を覗くといつも満席のように見え、なかなか入る機会のなかった駅前の『あずま』。今日は時間が遅かったことと雨も手伝ってか、人影がなく初めて通路を奥へ進んでみた。
カウンター席がたった7つほどのコンパクトな店内にお客はなし。気の良さそうな店主がカウンターの向こうから笑顔を投げかけてくれた。
壁を見ると貼り紙にサービスメニューとして「肉野菜炒めライス780円→680円」とある。卓上のメニューに目を落とすと「野菜炒めライス」も680円。つまり、肉が入っていようが入っていまいが同じ値段だということ。だったら迷うことなく「肉野菜炒めライス」だろう。
軽やかな炒め音が止んで目の前に現れたのは、これぞ「肉野菜炒めライス」といったビジュアル。そりゃ小林屋に比べればボリューム的には見劣りするものの、食べ始めるてみると肉のシェアはかなり高いことに気づく。さすがに「肉」がついているだけのことはあるなあ。一度に箸に挟む量の1/3は肉というイメージだ。しかも、ほどよく脂身がブレントされた大好きな豚肉なので嬉しい。
ところがニンゲン勝手なもので、こうなるとそのぶんもっと野菜が欲しくなってくるのだ。
このジレンマに陥らないためには、今度頼むときは肉の入っていない「野菜炒めライス」にしようかと思う。
でも、値段が一緒だったらやっぱり「肉野菜炒めライス」だよね…なんて、また別のジレンマに陥りながら僕は長い通路を表へ向かうのであった。
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