湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

消えた鎌倉湖

2010-12-13 23:35:55 | ぶらかま


デートで鎌倉に。
若いころ、そう考えてガイドブックとにらめっこしたのを覚えている。

そして、地図に載っていた「鎌倉湖」という湖の名にひかれていた。
ただ、ちょっと遠い印象だったので次こそと先延ばしにしていると、そのうちに地図上からその名が消えてしまったのだ。
それから何十年。いつか僕の記憶からも消えていた。

それが、今の仕事を始めて、突然「鎌倉湖」という文字に再開するのである。
鎌倉市の北側、今泉にある「散在が池」を調べていると、ここが「かつて鎌倉湖と呼ばれていた」とあった。
「鎌倉湖」は消えてなくなったわけではなく、いつのまにか名称が変更されていたのだ。

昨日、現地へ出掛けた。
大船駅から乗ったバスが、いきなり「鎌倉湖畔循環(ルート)」である。案内を見ると「鎌倉湖畔」なんていうバス停もあるではないか(実際に下車するのは「今泉不動」バス停)。地図から消えた「鎌倉湖」という名が、あたりまえのように使われていた。
「散在が池森林公園」の入口には「通称 鎌倉湖」と記してあった。
地元の方の口からは、普通に「鎌倉湖」という名が出てきた。
逆にハイカーの方々は「散在が池」と口を揃えた。

どうやら「散在が池」という名称は、公園として整備した際に行政が、三つの村に分散された山に造った灌がい用の池という時代背景から命名したようである。
開園は1982年。なるほど、僕の青春とともに「鎌倉湖」が消えてしまったわけが解明された(笑)。

それにしても「散在が池」というと、その辺のただの溜め池みたいなイメージ。
ところが「鎌倉湖」と呼んでみると、いかにも美しい湖面しか思い浮かばない(笑)。

実際その池は、やはり鎌倉という名がふさわしい湖であった。
秋色の木々を静かな湖面に映し出し、とにかく静か。時折そばの木が揺れると、リスが枝を走る音である。もともと灌がい用に造られた池とはいえ、もうどう見てもすでに自然そのもの。美しい。

手広から自転車で走ってきたという70代のおじいさんが湖畔でこうつぶやいた。
「こういう所へこそ、来るべきだよ」
同感である。
でも「散在が池」という名のままでは、残念ながらその良さを体感する人は増えない。
「鎌倉湖」と名乗れば、もっとみんな足を運び、この風景の素晴らしさに目を見張るはずなのだが。


そして、その「鎌倉湖」に近い「称明寺」には、なんと滝が!
「陰陽の滝」である。鎌倉に滝があったんだ。これも驚きだった。
実に奥が深いぞ、鎌倉!