ご飯の一粒一粒が硬めで、油っこくなくて、見た目は明るいイメージ。
若いころ、喫茶店で食べたそのままのピラフに、今日再会した。
本郷大横丁通りの中ほど、『コーヒー軽食 ぞんね』は、気をつけていないとうっかり通り過ぎてしまいそうな間口の狭い店だ。
実際その存在に気づいたのは、最近のこと。でも気づいたら、もう入らずにはいられない。
ドアを開けてもカランコロンと鳴らないのが残念だったが、店内の薄暗さは予想通り。
そして、そのピラフも昭和のままの味と姿で嬉しい限りだ(ナポリタンなどパスタ類のメニューが見当たらないのがちょっぴり淋しいが)。
この店もやはり、
あんな店や
こんな店、
そんな店と同様に、お年を召されたご夫婦による経営のよう。後継者の姿は見えてこなかった。
だからこそ、いずれも将来が心配なのだ。
和洋中さまざまな料理の分野でそれぞれがしっかりと伝承されていく中、昭和を伝える喫茶店の味はいったいどうなるのか。誰が守っていくというのか。
国会でも、その具体的施策については一度たりとも議論されたことはない。かの公国の王子に至っては、ドラフードなるものを探して日本国中を行脚しているという。それよりもまずは、古きよき喫茶店を昭和遺産と認定し、その味、その店を次代に伝えていくことに心血を注ぐべきではないのか。
懐かしい味に出会い、そして今も変わらず黙々と働き続ける方々を見るにつけ、そんな思いを強くする今日この頃である。