NITE(ナイト)独立行政法人製品評価技術基盤機構製品安全センター
2024.9.10 VOL. 460
PSマガジン(製品安全情報メールマガジン)より
9月16日は敬老の日。ご高齢の方とふれあう機会も増えるかと思います。
そこで今回は、高齢者事故を防ぐために事故が発生しやすい状況を3例紹介し、
ご本人とそのご家族や介助される方々に事故を防ぐための注意点をお伝えします。
高齢者の事故が発生しやすい状況3選(溝・隙間・点火)
【溝・・・電動車いす(シニアカー)の脱輪事故】
・側溝のある道路
走行中、側溝に転落し、病院に搬送後、入院中に死亡しました。
→単独での外出、運転中に操作を誤り側溝に脱輪した事故と考えられます。
・踏切横断中
走行中、踏切内で列車にはねられ死亡しました。
→遮断かんの下がった踏切へ侵入した際に、
前輪2輪がコンクリート舗装部から砂利部へ脱輪し、電車と接触したものと考えられます。
【電動車いすで気を付けるポイント】
〇利用する道路環境をご家族等と一緒にあらかじめ確認する。(ご本人・ご家族等)
初めて道路に出るときはご家族や介助者等と一緒に、
走行練習や交通ルール、安全な通行順路を確認してください。
また、事前に道路環境を確認し、次のような危険な道路、危険箇所には近づかず、
避けるようにしましょう。
やむを得ず走行する必要がある場合は、脱輪防止のため踏切や道の端を走行しないようにしましょう。
・転落のおそれのある、ガードレールのない崖や蓋のない側溝
・踏切
・横断に時間のかかる広い道路や信号のない交差点
・転倒や衝突のおそれのある、急な坂道
〇乗車前点検、定期点検を行う。(ご本人)
電動車いすを使用する際には、途中でバッテリーが切れてしまい止まってしまう
おそれがあるためバッテリー残量を必ず確認してください。
また、定期的に取扱店などで専門の点検を受けることも大切です。
充電時期の目安や点検項目の詳細、点検時期については、
製品に付属の取扱説明書やメーカーのホームページをご確認ください。
【注目!新作動画】
〇電動車いす「11.側溝で脱輪」
電動車いすで歩道を走行中に側溝に脱輪した再現映像
https://youtu.be/BLbF-RErnKc?si=v6BDS0EBC8Hd1ltB
【隙間・・・介護ベッド、ポータブルトイレの隙間への挟み込みの事故】
・介護ベッドの事故
介護ベッドの手すりとマットレスにけい部が挟まれ、病院に搬送後、死亡しました。
→介護ベッドに戻ろうとした際に、手すりの隙間に挟まったものと考えられます。
・ポータブルトイレの事故
ポータブルトイレを使用しようとしたところ転倒し、
背もたれと肘掛けとの間の隙間に腕が挟まり、骨折しました。
→介護ベッドからポータブルトイレに移動する際に、転倒して挟まったものと考えられます。
【介護ベッド・ポータブルトイレ等の挟み込みで気を付けるポイント】
〇使用している製品がリコール対象か、古い安全基準の製品ではないか確認する。(ご家族等)
ポータブルトイレや介護ベッド用フレームでは、
肘掛けやフレームの隙間が適切ではなかったことでリコールしている製品があります。
リコール対象製品かどうかはNITE SAFE-Lite検索することができます。
また、隙間に挟み込む事故を防ぐため、
ポータブルトイレでは2011年に「JIS T 9261福祉用具ポータブルトイレ」、
介護ベッドは2009年に「JIS T 9254 在宅用電動介護用ベッド」が改正・公示されていますが、
JIS制定・改正以前に製造された製品は最新の安全基準をみたしていない可能性があります。
そのような製品に対しては、隙間への挟み込み防止措置を施すようにしてください。
介護ベッドは、
目安として下図のAの隙間が直径120mm、Bの隙間が直径60mmより広くなっている場合は、注意が必要です。
〇フレームや肘掛け・手すり等に危ない隙間がないか確認する。(ご家族等)
安全基準を満たしている場合でも、意図せず体制を崩してしまうなどして、
隙間に挟まってしまうおそれがあります。
使用者の身体能力や体格に応じて、あらかじめクッションや保護カバー、
スペーサーで隙間をなくしておくことで、より安全に使用できます。
【点火・・・ガスこんろ、ライターの着衣着火の事故】
・ガスこんろの事故
ガスこんろを使用中、衣服に着火し、火傷を負いました。
→ガスこんろ左側に置かれていた調理器具を右手で左奥へ移動させた際に
右上腕部が左こんろに接近し、左こんろのバーナーの炎が着衣に着火したものと考えられます。
なお、取扱説明書には、
「使用中は衣服を炎やバーナーに近づけない。衣服に着火するおそれがある。」旨、記載していました。
・ライターの事故
使い切り型のライターを使用後、衣服のポケットに入れていたところ、
衣服が燃えて火傷を負い、病院で死亡しました。
→異物の付着によって点火ボタンの滑りが悪くなり、消火位置まで戻らなかったため、
残火が生じて着衣に燃え移ったものと考えられます。
【ガスこんろ・ライターで気を付けるポイント】
〇ガス火の青色が見えづらくなっているため、近づきすぎないように環境を整える。
(ご本人・ご家族等)
高齢者は白内障の進行とともにガスこんろ等のガス火の青色が見えにくくなっています。
また、炎は目に見えていない部分にも存在するため、
目に見えている炎から離れていても衣服に着火する可能性があります。
こんろの上へ腕を伸ばさないように、
調理中に必要な調味料・調理器具等の配置を変える等にて炎に近づきすぎないよう注意してください。
使用後は、完全に消火したかどうかもしっかり確認するようにしましょう。
〇使用後に火が完全に消火したことを確認する。(ご本人)
ライターの使用後、着火レバーから指を離しても火が完全に消えず、
火が残る(残火)ことがあり、その状態でポケット等に入れてしまうと衣服等に着火する可能性があります。
着火レバーとノズルネジの間にごみ・小石等の異物が挟まると残火の原因となるので取り除いてください。
ふたのないタイプは特に異物が付着しやすいので、異物を挟み込んでいないか、残火がないか注意してください。
■NITEでは2024年9月10日に注意喚起として『みんなで考えよう!高齢者の事故
~溝・隙間・点火に注意 死亡事故も発生しています~』をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs240910.html
(注意喚起ミニポスター)
1.高齢者の事故が発生しやすい状況3選
https://www.nite.go.jp/data/000155356.pdf
************************************
9月17日は「敬老の日」です。
平成15年より9月の第3月曜日が「敬老の日」となりました。
今まで社会に貢献してきた老人を敬い、長寿を祝う日だそうです。
昭和23年からできたそうですが、
今の60代はまだまだ若々しいので敬老の日と言われてもといった感じです。
ただし年齢による老化は防ぐことができません。(これも個人で差があります)
私たちが見えているものと違うものが見えている(見えていない)ことや
筋力の衰えにより、躓いたり、力が弱くなったりします。
高齢者の事故防止には生活環境の改善と、
社会全体で見守る気持ちが大切です。
本人と家族、または地域で危険なところはないかの確認をし、
注意して安全に過ごしたいものです🖕
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2024.9.10 VOL. 460
PSマガジン(製品安全情報メールマガジン)より
9月16日は敬老の日。ご高齢の方とふれあう機会も増えるかと思います。
そこで今回は、高齢者事故を防ぐために事故が発生しやすい状況を3例紹介し、
ご本人とそのご家族や介助される方々に事故を防ぐための注意点をお伝えします。
高齢者の事故が発生しやすい状況3選(溝・隙間・点火)
【溝・・・電動車いす(シニアカー)の脱輪事故】
・側溝のある道路
走行中、側溝に転落し、病院に搬送後、入院中に死亡しました。
→単独での外出、運転中に操作を誤り側溝に脱輪した事故と考えられます。
・踏切横断中
走行中、踏切内で列車にはねられ死亡しました。
→遮断かんの下がった踏切へ侵入した際に、
前輪2輪がコンクリート舗装部から砂利部へ脱輪し、電車と接触したものと考えられます。
【電動車いすで気を付けるポイント】
〇利用する道路環境をご家族等と一緒にあらかじめ確認する。(ご本人・ご家族等)
初めて道路に出るときはご家族や介助者等と一緒に、
走行練習や交通ルール、安全な通行順路を確認してください。
また、事前に道路環境を確認し、次のような危険な道路、危険箇所には近づかず、
避けるようにしましょう。
やむを得ず走行する必要がある場合は、脱輪防止のため踏切や道の端を走行しないようにしましょう。
・転落のおそれのある、ガードレールのない崖や蓋のない側溝
・踏切
・横断に時間のかかる広い道路や信号のない交差点
・転倒や衝突のおそれのある、急な坂道
〇乗車前点検、定期点検を行う。(ご本人)
電動車いすを使用する際には、途中でバッテリーが切れてしまい止まってしまう
おそれがあるためバッテリー残量を必ず確認してください。
また、定期的に取扱店などで専門の点検を受けることも大切です。
充電時期の目安や点検項目の詳細、点検時期については、
製品に付属の取扱説明書やメーカーのホームページをご確認ください。
【注目!新作動画】
〇電動車いす「11.側溝で脱輪」
電動車いすで歩道を走行中に側溝に脱輪した再現映像
https://youtu.be/BLbF-RErnKc?si=v6BDS0EBC8Hd1ltB
【隙間・・・介護ベッド、ポータブルトイレの隙間への挟み込みの事故】
・介護ベッドの事故
介護ベッドの手すりとマットレスにけい部が挟まれ、病院に搬送後、死亡しました。
→介護ベッドに戻ろうとした際に、手すりの隙間に挟まったものと考えられます。
・ポータブルトイレの事故
ポータブルトイレを使用しようとしたところ転倒し、
背もたれと肘掛けとの間の隙間に腕が挟まり、骨折しました。
→介護ベッドからポータブルトイレに移動する際に、転倒して挟まったものと考えられます。
【介護ベッド・ポータブルトイレ等の挟み込みで気を付けるポイント】
〇使用している製品がリコール対象か、古い安全基準の製品ではないか確認する。(ご家族等)
ポータブルトイレや介護ベッド用フレームでは、
肘掛けやフレームの隙間が適切ではなかったことでリコールしている製品があります。
リコール対象製品かどうかはNITE SAFE-Lite検索することができます。
また、隙間に挟み込む事故を防ぐため、
ポータブルトイレでは2011年に「JIS T 9261福祉用具ポータブルトイレ」、
介護ベッドは2009年に「JIS T 9254 在宅用電動介護用ベッド」が改正・公示されていますが、
JIS制定・改正以前に製造された製品は最新の安全基準をみたしていない可能性があります。
そのような製品に対しては、隙間への挟み込み防止措置を施すようにしてください。
介護ベッドは、
目安として下図のAの隙間が直径120mm、Bの隙間が直径60mmより広くなっている場合は、注意が必要です。
〇フレームや肘掛け・手すり等に危ない隙間がないか確認する。(ご家族等)
安全基準を満たしている場合でも、意図せず体制を崩してしまうなどして、
隙間に挟まってしまうおそれがあります。
使用者の身体能力や体格に応じて、あらかじめクッションや保護カバー、
スペーサーで隙間をなくしておくことで、より安全に使用できます。
【点火・・・ガスこんろ、ライターの着衣着火の事故】
・ガスこんろの事故
ガスこんろを使用中、衣服に着火し、火傷を負いました。
→ガスこんろ左側に置かれていた調理器具を右手で左奥へ移動させた際に
右上腕部が左こんろに接近し、左こんろのバーナーの炎が着衣に着火したものと考えられます。
なお、取扱説明書には、
「使用中は衣服を炎やバーナーに近づけない。衣服に着火するおそれがある。」旨、記載していました。
・ライターの事故
使い切り型のライターを使用後、衣服のポケットに入れていたところ、
衣服が燃えて火傷を負い、病院で死亡しました。
→異物の付着によって点火ボタンの滑りが悪くなり、消火位置まで戻らなかったため、
残火が生じて着衣に燃え移ったものと考えられます。
【ガスこんろ・ライターで気を付けるポイント】
〇ガス火の青色が見えづらくなっているため、近づきすぎないように環境を整える。
(ご本人・ご家族等)
高齢者は白内障の進行とともにガスこんろ等のガス火の青色が見えにくくなっています。
また、炎は目に見えていない部分にも存在するため、
目に見えている炎から離れていても衣服に着火する可能性があります。
こんろの上へ腕を伸ばさないように、
調理中に必要な調味料・調理器具等の配置を変える等にて炎に近づきすぎないよう注意してください。
使用後は、完全に消火したかどうかもしっかり確認するようにしましょう。
〇使用後に火が完全に消火したことを確認する。(ご本人)
ライターの使用後、着火レバーから指を離しても火が完全に消えず、
火が残る(残火)ことがあり、その状態でポケット等に入れてしまうと衣服等に着火する可能性があります。
着火レバーとノズルネジの間にごみ・小石等の異物が挟まると残火の原因となるので取り除いてください。
ふたのないタイプは特に異物が付着しやすいので、異物を挟み込んでいないか、残火がないか注意してください。
■NITEでは2024年9月10日に注意喚起として『みんなで考えよう!高齢者の事故
~溝・隙間・点火に注意 死亡事故も発生しています~』をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs240910.html
(注意喚起ミニポスター)
1.高齢者の事故が発生しやすい状況3選
https://www.nite.go.jp/data/000155356.pdf
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9月17日は「敬老の日」です。
平成15年より9月の第3月曜日が「敬老の日」となりました。
今まで社会に貢献してきた老人を敬い、長寿を祝う日だそうです。
昭和23年からできたそうですが、
今の60代はまだまだ若々しいので敬老の日と言われてもといった感じです。
ただし年齢による老化は防ぐことができません。(これも個人で差があります)
私たちが見えているものと違うものが見えている(見えていない)ことや
筋力の衰えにより、躓いたり、力が弱くなったりします。
高齢者の事故防止には生活環境の改善と、
社会全体で見守る気持ちが大切です。
本人と家族、または地域で危険なところはないかの確認をし、
注意して安全に過ごしたいものです🖕
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