ニール・ブロムカンプ監督、マット・ディモン主演、『エリジウム』、9/23、イオンシネマ筑紫野にて鑑賞。2013年43本目。
アンドリュー・ニコル監督の『ガタカ』が大好きです。
だからといってアンドリュー・ニコル監督の作品がすべて好きかというとそういうわけでもなく、『タイム』はむしろ嫌いな作品です。
同様にカート・ウィマー監督の『リベリオン』は大好きですが、『ウルトラ・ヴァイオレット』は嫌いで、アレックス・ブロヤス監督の『ダークシティ』は好きですが、『アイ、ロボット』はそんなに好きではありません。
ニール・ブロムカンプ監督の長編デビュー作『第9地区』は素直に良い、と思いました。
これまで侵略者や使者として描かれてきたエイリアンが難民として地球に訪れるという着想がまずは優れてますよね。
アクション映画としても上出来だし、ラストも詩的で秀逸ですよね。傑作と言ってよいと思います。
けれど、『第9地区』に続く本作は予告編を見ても正直ピンときませんでした。プロットそのものが既視感を覚える内容だし、アクションシーンも予告編を見る限りは凡庸な印象しか受けませんでした。
まあでも予告編は予告編だし、実際本編を観たら受ける印象も違うのだろうと思っていたのですが、残念ながら本編を観ても予告編から受けた印象と大きく異なることはありませんでした。
ストーリーはどこかで見たような内容だし、アクションも殊更優れているってわけではなかったし、特にSFとしてまったくダメだな、と思いました。
自分はSFに関して決して造詣が深いとは言えませんが、SFの世界というのは現実の世界の延長線上にあり、現実の世界での常識は100年後、200年後においても常識だと思っています。現実の世界であり得ないことはSFの世界でもあり得ない。
現実の世界であり得ないことを作品の中で形にするにはそれなりの説得力や細かい設定が必要だと思います。
現実の世界ではあり得ないけど、これはSFなんだから何でもアリなんだよ!というスタンスはあまりに乱暴です。
映画『エリジウム』において、宇宙コロニー・エリジウムにはあらゆる病気や怪我を治す治療ポットが存在します。
この治療ポッドがあまりに万能すぎるんですよ。
末期の白血病をほんの十秒ほどで完治させるなんて序の口で、重度の放射能被爆も治療可能、さらには損壊した肉体や顔面すら一瞬で再生します。
顔面の再生なんてもはや治療の域を越えてると思うんですけどね。髭の生え方すら再現するんですから。
これほど医学の発達したエリジウムなのですが、セキュリティに関しては恐ろしく脆弱です。
エリジウムへの不法移住を目的とする移民船に対して実質迎撃手段を持ってないのです。
そのため移民船のエリジウム到着を阻止するために地球からロケットランチャーで追撃させるんです。
このロケットランチャーが100%目標を撃墜するというならいいですよ。でもそうじゃないんです。三機のうち一機は撃墜し損ねるんです。
だとしたらロケットランチャーがエリジウムそのものに直撃することもあり得たってことですよね。
さらに侵入者への対応もお粗末の一言で、はっきり言って一度侵入してしまえばやりたい放題です(武装していれば、ですが)。
医学の分野においては神の領域に達しているのに、その他の分野においてはほとんど前時代の技術しか有してないんですよね。
観ていて本当にチグハグな感じがしました。
これでせめてアクションシーンだけでも目を瞠るものがあればいいんですけど、主人公マックスと傭兵クルーガーの対決も、強化スーツを着た者同士の戦いという感じはしないんですよねぇ、、、ただフツーに殴り合ってるだけって感じで。拍子抜けでしたね。
前作『第9地区』が良かっただけに期待するものが大きかったのですが、『エリジウム』は鑑賞後1時間もすればどんな映画だったかも忘れるような作品でした。
ニール・ブロムカンプ監督には次回作に期待です。
お気に入り度は★★☆、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
アンドリュー・ニコル監督の『ガタカ』が大好きです。
だからといってアンドリュー・ニコル監督の作品がすべて好きかというとそういうわけでもなく、『タイム』はむしろ嫌いな作品です。
同様にカート・ウィマー監督の『リベリオン』は大好きですが、『ウルトラ・ヴァイオレット』は嫌いで、アレックス・ブロヤス監督の『ダークシティ』は好きですが、『アイ、ロボット』はそんなに好きではありません。
ニール・ブロムカンプ監督の長編デビュー作『第9地区』は素直に良い、と思いました。
これまで侵略者や使者として描かれてきたエイリアンが難民として地球に訪れるという着想がまずは優れてますよね。
アクション映画としても上出来だし、ラストも詩的で秀逸ですよね。傑作と言ってよいと思います。
けれど、『第9地区』に続く本作は予告編を見ても正直ピンときませんでした。プロットそのものが既視感を覚える内容だし、アクションシーンも予告編を見る限りは凡庸な印象しか受けませんでした。
まあでも予告編は予告編だし、実際本編を観たら受ける印象も違うのだろうと思っていたのですが、残念ながら本編を観ても予告編から受けた印象と大きく異なることはありませんでした。
ストーリーはどこかで見たような内容だし、アクションも殊更優れているってわけではなかったし、特にSFとしてまったくダメだな、と思いました。
自分はSFに関して決して造詣が深いとは言えませんが、SFの世界というのは現実の世界の延長線上にあり、現実の世界での常識は100年後、200年後においても常識だと思っています。現実の世界であり得ないことはSFの世界でもあり得ない。
現実の世界であり得ないことを作品の中で形にするにはそれなりの説得力や細かい設定が必要だと思います。
現実の世界ではあり得ないけど、これはSFなんだから何でもアリなんだよ!というスタンスはあまりに乱暴です。
映画『エリジウム』において、宇宙コロニー・エリジウムにはあらゆる病気や怪我を治す治療ポットが存在します。
この治療ポッドがあまりに万能すぎるんですよ。
末期の白血病をほんの十秒ほどで完治させるなんて序の口で、重度の放射能被爆も治療可能、さらには損壊した肉体や顔面すら一瞬で再生します。
顔面の再生なんてもはや治療の域を越えてると思うんですけどね。髭の生え方すら再現するんですから。
これほど医学の発達したエリジウムなのですが、セキュリティに関しては恐ろしく脆弱です。
エリジウムへの不法移住を目的とする移民船に対して実質迎撃手段を持ってないのです。
そのため移民船のエリジウム到着を阻止するために地球からロケットランチャーで追撃させるんです。
このロケットランチャーが100%目標を撃墜するというならいいですよ。でもそうじゃないんです。三機のうち一機は撃墜し損ねるんです。
だとしたらロケットランチャーがエリジウムそのものに直撃することもあり得たってことですよね。
さらに侵入者への対応もお粗末の一言で、はっきり言って一度侵入してしまえばやりたい放題です(武装していれば、ですが)。
医学の分野においては神の領域に達しているのに、その他の分野においてはほとんど前時代の技術しか有してないんですよね。
観ていて本当にチグハグな感じがしました。
これでせめてアクションシーンだけでも目を瞠るものがあればいいんですけど、主人公マックスと傭兵クルーガーの対決も、強化スーツを着た者同士の戦いという感じはしないんですよねぇ、、、ただフツーに殴り合ってるだけって感じで。拍子抜けでしたね。
前作『第9地区』が良かっただけに期待するものが大きかったのですが、『エリジウム』は鑑賞後1時間もすればどんな映画だったかも忘れるような作品でした。
ニール・ブロムカンプ監督には次回作に期待です。
お気に入り度は★★☆、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。