この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

バス男。

2006-11-13 23:54:56 | 新作映画
 秋の夜長の一人映画祭第一弾は『バス男/ナポレオン・ダイナマイト』。

 『バス男』という邦題からもわかるように、通学途中のバスの中で酔っ払いに絡まれた美女を偶然助けたオタクが巨大なネット掲示板の仲間の力を借りて恋を成就するという実話を元にした、感動のお話です。
 はい、嘘嘘♪
 気を取り直して真面目に書きます。

 たまに鑑賞する順番を入れ替えたら作品の評価さえ変わってしまう、そんな関係にある二つの映画があります。
 例えば『下妻物語』と『嫌われ松子の一生』。ほとんどの人は『下妻』→『松子』の順番で鑑賞されたのではないでしょうか。自分はなぜだか先に『松子』の方を先に観ました。で、なかなかいいじゃないか、と思いました。映像的にも凝っているし、役者も熱演だし、完成度は非常に高い。
 しかし、世間的な評価は案外厳しかったんですよね。厳しいというか、賛否両論といった方が正しいかもしれません。
 それでその後『下妻』を見て、あぁなるほどな、と腑に落ちました。『下妻』を見た人が『下妻』のような作品を期待して『松子』を観に行けば、そりゃ裏切られたと思うのも無理ないよな、と思いました。
 自分は『下妻』と『松子』、陰と陽のコントラストが見事で、『下妻』を見ることでさらに『松子』の評価も上がったんですけど、『下妻』を先に見た人が『松子』を見てガッカリした気持ちもわからないではないです。最初からどこ行きかわからない船ならどこに向かっても文句のいいようもないですけど、西行きの船だと思ってたら実は東行きだったら、おぃおぃそりゃないよ、といいたくなるのも無理はないですから。

 先日『ナチョ・リブレ』っていうジャック・ブラック主演の映画を観に行ったんですけど、それなりに満足しました。ストーリーそのものは何てことなかったんですけど、作品全体に漂うゆるい空気は自分の好みといえば好みだったし、何よりシスター役のアナ・デ・ラ・レグエラの可憐さといったらもう!彼女の修道尼姿を拝めただけで千円ぐらいの価値はあったと思いましたよ。笑。
 でも映画レビューブログを見ていたら『ナチョ・リブレ』をあまり高く評価していない人もいて、それがちょっと不思議だったんですけどね。『バス男』を見て納得しました。
 なるほど『バス男』を先に見ていたら『ナチョ・リブレ』を観ても満足できなかったのもこれまた不思議はないです。『下妻』と『松子』のように陰と陽を成す関係というわけではなくて、どちらもゆるくはあったんですが、『ナチョ・リブレ』をゆるい映画だとすると『バス男』はゆる~~~い映画だったんですよ。超絶的なほどにゆるい。これなら『ナチョ・リブレ』が霞んでしまうのも無理はないな、と思いました。

 何だか『バス男』のレビューになっているのかいないのかよくわかんない記事になりましたけど、『バス男』の骨子そのものは典型的な青春学園物だと思います。絶体絶命の窮地に追い込まれた主人公が一発逆転の必殺技を炸裂させる。青春学園ストーリーの王道じゃないですか。
 ただ人物設定や作品全体に漂うどうにも説明しようのないゆるさはこの作品独特といってよいと思います。同じ監督の二作目ですらそれを表現すること叶わなかったぐらいですから。
コメント
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