この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

どろろ。

2006-08-08 23:58:56 | 漫画・アニメ
 たまに、漫画は(馬鹿馬鹿しいから)読まないけど手塚治虫だけは別、なんていう人がいて、その代表がうちの兄貴なわけなんだけど、ちょっと待ってよ!といいたくなります。
 手塚治虫の作品にだってつまんない作品はいくらだってあるってことをそういう人たちって知ってるんかいな、って思うのです。
 漫画の神様に対して何てことをいうんだ!って憤慨する人もいるかもしれないけれど、自作につまらない作品があることは手塚治虫自身認めていてたことで、生前手塚治虫はNHKのインタビューか何かで虫プロ倒産時を振り返り、その当時描いていた作品(具体的にいうと確か『アラバスター』だったかな)を手に取り、これはひどいよねぇ、みたいなことをいって苦笑していました。
 他にも晩年週刊少年チャンピォンに連載していた作品はことごとく打ち切りの憂き目に合い、巨匠とはいえ哀れなものだなぁと子供心に思ったものです。
 そんなわけで手塚治虫だって傑作ばかりをものにしていたわけではなく、いくつもの愚作、駄作を生み出していて、でもそれは人間なんだからごくごく当たり前のことなんですよね。
 自分は漫画であれ、サッカーであれ、他のジャンルであれ、『○○の神様』というふうに神格化することは好きじゃないです。だってそういうのってその人の持つ欠点を意識的に無視して、いいところだけを取り上げるってことじゃないですか。いいところがあって悪いところがある。人間ならそれが当たり前ですよね。神格化ってその人の半面を否定する行為のように思えるのです。
 漫画の神様と奉られて、当の手塚治虫は本当に墓の下で喜んでいるのかなぁ。些か疑問です。
 いくつもの愚作、駄作を生み出した、とはいいましたが、無論彼の作品を全否定するつもりなどなく、いい作品も数え切れぬほどあります。
 有名どころでは『アドルフに告ぐ』が面白かった記憶があります。三人のアドルフの名を持つ男の物語ですが、ストーリーテリングが巧みで読むものを最後までぐいぐいと引っ張る力がありました。
 あまり知られていないものの中では『MW(ムウ)』という作品がお薦めです。かなりインモラルな内容ですが、意表を突く展開にまさに巻置くをあたわず、という表現がぴったりです。特に最後の一コマに自分は読んでいてゾクッとしました。
 数多い手塚治虫作品の中でも自分が一番好きなのは今度映画化されるという『どろろ』です。百鬼丸という少年の妖怪退治のお話ですが、設定がかなりえげつなくて、そこがまたいいんです。
 何だかやたら偉そうに手塚治虫について語ってしまいましたが、実は手元に彼の著作は一冊もなく、『MW』にしろ、『どろろ』にしろ、読んだのはもうかれこれ#%年前です。
 『どろろ』にいたってはどろろが女の子っていうことすら忘れてました。笑。
 この記事を書いたのを機に、もう一回『MW』と『どろろ』ぐらいは購入して、読み直してみようかな、そう思ってます。
コメント (4)
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