ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート  橋本治著 「日本の行く道」 集英社新書

2008年09月30日 | 書評
今の日本の社会はどっかおかしい もうひとつの選択肢を 第8回 

第三章 いきなりの結論 (1)

この章は「産業革命前に戻せばいい」と云うむちゃくちゃな結論から開始される。勿論ギャグと思いますが。その理由の一つが地球温暖化が「産業革命以来の人間の生活活動の結果である」から「産業革命以前の段階に戻せばいい」と云う「売り言葉に買い言葉」のヤクザな連鎖反応である。なんだか著者は悦に入って大真面目に暴論を書きまくっていますが、現実味のない話です。その辺はカットして本当は何が言いたいのだろうかを考えてみました。多少は現実味があることは「1960年代の前半に世界を戻せ」と著者は云うことです。つまり高度経済成長以前の東京オリンピック時点の社会である。超高層ビルを破壊せよとか、中国の経済発展をからかってやれとか、江戸時代的な生活とかどれもこれもむちゃくちゃな意見であるが、「人のあり方を考える事のほうが、進歩や繁栄を考えるより重要だ」と云う文明批判である。井上ひさし的な面白さである。



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