ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文芸散歩 大畑末吉訳 「アンデルセン童話集」 岩波文庫

2013年05月24日 | 書評
デンマークの童話の父が語る創作童話集 156話 第14回

21) バラの花の精
バラの花のなかに妖精がすんでいました。昼間は花園の花から花と飛び回っていましたが、夕方涼しくなるとバラの花びらが閉じてバラの花の精の帰る家がありません。バラの花の精は庭園のあずまやに行きますと、そこには若者と娘がいて話をしていました。2人は愛し合っていましたが、娘の腹黒い兄さんが二人の仲に反対しているので若者と娘は別れ話をしていました。娘がもっていたバラの花のなかに、バラの花の精はもぐりこみ2人の話を聞きました。そして2人は別れましたが、バラの花は若者が持って帰りました。帰り道で腹黒い兄さんが待ち伏せをしていて、その若者をナイフで刺し殺し首を切り、死体を菩提樹の根元に埋めました。バラの花の精は一部始終を見て、枯葉にくっついてその兄の髪の毛にもぐりこみ、兄妹の家に着きました。バラの葉の精は娘のベットに行き、眠っている娘の耳元にあの殺人のことを夢として語り聞かせました。翌朝娘はバラの花の精に教えられた通り菩提樹の木の下に若者の死体を発見し、自分の家に若者の首をもって帰り、大きな植木鉢のなかに若者の首を入れてジャスミンの枝をさしました。バラの花の精は娘の部屋のバラの花の中に住みましたが、娘は毎日ジャスミンの鉢の前でなき続け次第に衰えて亡くなりました。そのときジャスミンの白い花が咲き甘い香りを部屋中に放ちました。そのジャスミンの花の中に妖精が住んでいました。若者の殺人の事もよく知っています。なぜなら妖精は若者の首から生まれてきたからです。バラの花の精が蜜蜂の女王に兄への復讐を頼みに行っている間に、ジャスミンの妖精らが眠っていた腹黒い殺人者の兄を刺し殺しました。蜜蜂の群れが家に到着しジャスミンの鉢の前でぶんぶん回っていると、ジャスミンの鉢が落ちて壊れ、なかから若者の首が現れ事情が露になりました。

22) 豚飼い王子
皇帝のお姫様に結婚を申し込んだ王子様は、お姫様にバラの花とナイチンゲールをプレゼントしました。ところがお姫様は本物のバラの花やナイチンゲールよりも作りものがお好きなようです。そこで王子様は豚飼いとして宮中には入り、匂いを嗅ぎ分ける仕掛け壺、音楽を奏でるガラガラ(オルゴール)をお姫様に見せました。お姫様は興味を示し譲って欲しいといいますが、豚飼いの王子はお姫さんにキスをする条件で承諾しました。豚飼いとお姫様がキスをしてるところを皇帝が見咎め、2人は城を追い出されました。豚飼い王子は身分を話して、本物より作り物を好きなお姫様をなじって、本物のよさを理解できないお姫様と結婚しませんでした。
(つづく)



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