アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記279・「金権・戦犯・売国の自民党」と日本共産党

2023年12月10日 | 日記・エッセイ・コラム
  自民のパー券キックバック裏金問題はやはり大きな問題になってきた。まだまだ広がるだろう。これは派閥の問題ではない。自民党の本質問題だ。「派閥問題」に矮小化しようとしている自民の逃げを許してはならない。

 「金権・戦犯・売国の自民党」―今回のことでこの言葉を思い出した。日本共産党が1970年代初めに自民党政治を規定した言葉だ。当時政策委員長だった上田耕一郎氏(不破哲三氏の実兄)の発案だったと思う。

 「金権」とは、今回のことでも浮き彫りになった裏金・賄賂など金に汚い体質だ。背景には大企業(財界)との癒着がある。ロッキード事件やリクルート事件はリアルタイムで目にしたが、自民党は結党(1955年)の前から前身の自由党・佐藤栄作(岸信介の実弟)がかかわった造船疑獄事件(1954年)はじめ、骨がらみの金権体質だ。

 「戦犯」は、侵略戦争・植民地支配の中心にいた者たちが敗戦後も政治を動かしてきた体質だ。その代表は、巣鴨プリズム(A級戦犯容疑)からアメリカの冷戦戦略によって釈放され首相にまで上り詰めた岸信介(安倍晋三の祖父)。そして、天皇裕仁だ。自民の「戦犯」体質は天皇制と一体不可分だ。

 「売国」とは、日米安保条約(1951年)でアメリカに主権を売り渡したこと。「60年安保」で対米従属をさらに強めたのが岸信介だったことは偶然ではない。その被害・犠牲を集中的に受けて今日に至っているのが沖縄(琉球)であることは言うまでもない。

 「金権」「戦犯」「売国」は自民党の本質であり、結党(前身の自由党・民主党)から今日まで何も変わっていない。「金権・戦犯・売国の自民党」とはまったく言い得て妙だ。

 そう規定された自民党は変わっていないが、規定した共産党の方が変わった。

 70年代には「金権・戦犯・売国」と正面からたたかう姿勢があった。しかしその後、「天皇制廃止」を将来の彼方に追いやり、天皇が出席する国会開会式にも出席して頭を下げるようになった(2016年~)。「赤旗」に元号表記も復活させた(17年4月~)。
「日米安保条約廃棄」は政策から取り下げてはいないが、国政選挙で訴えることはなくなった。軍事費膨張を「人を殺す予算」と批判した政策委員長(藤野保史氏=当時)を更迭することさえした(2016年6月)。

 こうした変質は志位和夫氏が委員長に就任してから顕著だ。

 共産党は「金権」とはまだ対決姿勢を保っているようだが、「戦犯」「売国」、すなわち天皇制と日米安保条約に対する自らの姿勢・変質を自己点検しなければならない。

 はっきりしていることは、「金権・戦犯・売国の自民党」と正面からたたかって政権の座から引きずり下ろさない限り、この「国」に未来はないということだ。

<今週のことば>

 岡 真理氏(早稲田大教授)   ガザで起きているのは植民地戦争

「今、ガザで起きていること、それは、植民地支配という歴史的暴力からの解放を求める被植民者たちの抵抗と、それを殲滅せんとする植民地国家が、その本性をもはや隠すこともせずに繰り出す剝き出しの暴力のあいだの植民地戦争である。…植民地主義は終わっていない。ガザの子どもたちの死者6150人(2023年11月28日現在)という数に絶句しながら、私たちは言わなければならない。これを終わらせると」(「世界」2024年1月号所収「この人倫の奈落において ガザのジェノサイド」)
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