アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記20・天皇「広島訪問中止」の怪・「自民党総裁選報道」の愚

2018年09月16日 | 日記・エッセイ・コラム

☆天皇の「広島訪問中止」の怪

 13日、天皇・皇后は豪雨災害被災地の広島・岡山を訪れる予定だったが、「天候不順」で14日に延期した。しかし14日も「天候」が悪く、結局、岡山にだけ行き広島は中止になった(20日の愛媛訪問と合わせることを検討)。

 岡山(倉敷)には行けて広島(呉)に行けないのはなぜなのか。当日の天候は岡山と広島でそんなに違いはなかった。というより、広島自体の天候がそれほど悪いとも思えなかった(福山の実感)。

 広島訪問を中止した理由は、報道によれば、「悪天候で自衛隊ヘリの運航が困難」だからという。だが、14日のニュース映像を見ると、天皇・皇后は岡山空港までは専用機で行き、そこから民間(自衛隊以外)のヘリで倉敷まで行っている。民間のヘリが飛ぶのに自衛隊ヘリは飛べないのか?

 疑問は消えないが、明確なことは、政府(安倍政権)は天皇・皇后の「被災地訪問」にあくまでも自衛隊ヘリを使わせようとしていることだ。そのためには天皇の日程をも変更させたという事実だ。

☆「自民党総裁選報道」の愚

  自民党総裁選を大きく取り上げるメディアの報道がいかに罪深いかは、すでに書いたが(8月5日のブログ参照)、その愚はますます深まるばかりだ。

  14日、日本記者クラブは安倍と石破の「討論会」を開催した。NHKはそれを生中継した。報道ステーションでも詳しく報じた。朝日新聞は社説で自民党総裁選を「事実上の首相選び」(15日付)と称した。

  「事実上の」と付けようと、自民党総裁選を首相選びとみなすのは根本的に誤っている。総裁選はあくまでも自民党の党内行事であり党内ポスト争いにすぎない。その候補らに政策上の基本的相違があるわけがない。まして安倍と石破だ。どちらタチが悪いかの競い合いはあっても、「政策」や「思想信条」に違いがあるわけがない。

  事実、憲法改定についても、安倍が自衛隊を明記すべきだと言うのに対し、石破は「9条2項」を変えて交戦権を明記するのが先だという。憲法9条改悪を競い合っているだけだ。

  こんな総裁選をまるで政治の重大事項であるかのように報じるのは、自民党の宣伝に手を貸すだけだ。それを「事実上の首相選び」とみなすのは、自民党の政権担当を固定化し、本来の政策論争による政権交代(自民党政治の終焉)を視野の外に遠ざけることにほかならない。

  自民党が「総裁選報道」に注文を付けたことはもちろん言語道断だが、その前に、メディアや「市民」は、自民党のプロパガンダに利用されている(自ら同調している)「総裁選報道」のあり方、受け取り方を根本的に見直すべきだ。

 ☆枝野立民党代表のあきれた初訪米

  その安倍政権と「対決」するはずの野党第1党・立憲民主党の枝野幸男代表が15日、代表としての初訪米から帰国して記者会見した。そこでこう述べた。

  「日米安全保障条約に基づく同盟関係を深めていきたいという明確な立場を、今回も繰り返し申し上げ、想像していた以上に伝えることができた」

  さらに辺野古新基地についてこう述べた。

 「日米同盟を中長期的に安定させるため、これ以上県民の多くの人たちの意思に反することを強引に進めるのはマイナスだ

 党首としての初訪米で日米安保条約を礼賛し、その深化を表明するとは、歴代自民党首相が就任後に行うアメリカ詣でとまるで同じだ。野党第1党の党首がこれだから、自民党総裁選が「事実上の首相選び」とみなされるのだ。

 辺野古新基地に「反対」するのも日米同盟の中長期安定」のため。「基地のない沖縄」とは根本的に相いれない。この「反対理由」は翁長前知事とまったく同じである。

 日米安保条約が憲法9条に反し、沖縄・日本と東アジアの平和に逆行する軍事同盟であることは言うまでもない。米軍と自衛隊の一体化によってその危険性はますます深まっている。

 その日米安保条約の維持・深化を野党第1党党首がアメリカに公約し、日本共産党もその廃棄を前面に掲げなくなった。ここに日本の根源的病巣がある。

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