アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記73・「恩赦」と金子文子・大臣ドミノと野党

2019年11月03日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「恩赦」と金子文子

  徳仁天皇の「即位の礼」を理由に「恩赦」が行われた。「恩赦」で思い出されるのは、金子文子だ。
 文子は1904年1月山梨県生まれ。「性的被差別体験を基底に置いてもろもろの差別を考え、かつ無籍者体験を踏まえて、その差別が終局的には国家が作為した法律や道徳によって維持されていることを看破し…民族的被差別体験から出発した朴烈と共に天皇制国家に対して共闘することになった」(山田昭次氏)女性だ。

 1923年9月、関東大震災に乗じた政府の弾圧で、文子は朴烈とともに逮捕され、26年3月、死刑判決を受けた。翌27年4月、政治的思惑による「恩赦」で無期懲役に減刑。しかし、文子は減刑状を受け取ると、「いきなりビリビリと破いてすててしまった」(山田氏)という。そして、同年7月、宇都宮刑務所内で自ら命を絶った。自分と朴烈の行動が、“天皇の慈悲”の話題づくり、天皇制強化に利用されることを悔い、抗議したものといわれている。

 天皇主権の帝国憲法は「恩赦」を「合法」としていた。その下でも、文子はその本質を見抜いて拒否し、自らの思想・信念を貫いた。現行憲法は天皇の「恩赦」は認めていない。にもかかわらず公然と横行している。文子の生涯から学ぶべきことは多い。金子文子、享年23。

☆大臣ドミノと野党

 菅原一秀経産相につづいて河井克行法相の辞任、そして萩生田光一文科相の「身の丈」発言。まともに論評する気にもならないほどのお粗末さ。「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」という言葉を絵に描いたような安倍政権の醜態だ。

 対する野党は、安倍政権の窮地がまるで自らの成果であるかのように気勢を上げている。ある国対委員長は、「これは野党共闘の成果だ」と言い放った。おかしいだろう。今の事態は安倍政権・自民党の自滅、オウンゴールだ。「成果」というなら暴露記事を書いた「週刊文春」になる。野党は何もしていない。

 週刊誌や新聞で自民党議員・閣僚の暴言・不祥事が発覚し、野党はそれを材料に追及。大臣が辞任、あるいは政権が交代する。何度同じことを繰り返してきたことか。その結果、政治は良くなったか。なってはいない。馬鹿な政治屋の暴言・不祥事を追及したところでそれで政治が良くなる訳がない。政治不信を増幅させるだけだ。

 政治を変えるには、政策論議を活性化させる以外にない。軍事増強・対米追随の日米安保体制、朝鮮半島・東アジアと日本、格差を広げる大企業の規制、そして天皇制の是非。国民的に議論しなければならない課題は山積している。そうした政策論争・政策選択をしないで政治・社会が変わるわけがない。政策協議・政策協定のない「野党共闘」になんの意味があるのか。

 


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