アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記70・消費税と軍事費・相次ぐ老人ホーム倒産

2019年10月13日 | 日記・エッセイ・コラム

☆消費税と軍事費

 10月1日から消費税が10%に引き上げられて半月がたった。その「経済効果」つまり国民の新たな負担増は5兆7000億円だという。
 一方、来年度予算の概算要求で防衛省が要求した額、すなわち軍事費(人件費を含む)は5兆3223億円だった。
 「5兆7000億円」と「5兆3223億円」。この近似性は、たんなる偶然だろうか。

 安倍政権は消費税増税分を「幼児教育・保育無償化」や「社会保障」へ回すという。カネに色はついていない。高齢化社会で社会保障の予算が増えるのは当然だ。それを税金で賄うために政府というものがある。それをしないで「社会保障予算が足りない」といって増税する。

 では税金はどこへ回されているのか。毎年別扱いで(日米安保体制のため)増え続け、ついに5兆円を突破した軍事費、つまり戦争準備のための予算へ回している。

 消費税増税は膨張し続ける軍事費を賄うために他ならない。
 「5兆7000億円」と「5兆3223億円」はそのことを端的に、象徴的に示している。偶然ではない。

 ☆相次ぐ老人ホーム倒産が示すもの

 10月3日のNHK「クローズアップ現代+」によると、住宅型有料老人ホームの倒産が相次いでいる。約9000の事業所のうち昨年度だけで355カ所の廃業届があったそうだ。1日1カ所つぶれていることになる。

 「住宅型ホーム」の総数は7年で3倍に急増している。厳しい基準がなく届け出だけで開設できるため、運営のノウハウも分からないまま、他業種から参入するケースが多いという。参入しやすく、倒産もしやすいというわけだ。

 その犠牲を被るのは、言うまでもなく入居している老人(多くは要介護)とその家族だ。多額の金を出して入居し、終の棲家にと思っていたのに、突然その場所が奪われる。

 高齢化社会、要介護者が増加する社会で起きているこの現実・悲劇は、いったいだれの責任なのか。言うまでもなく政府・政治の責任だ。

 政府は特養老人ホームの数を制限する一方、「在宅介護」の名の下に高齢者・要介護者を施設から締め出し、「家族愛」なるものを強調して介護・看護を家族におしつける。

 しかし、「家族介護」はやれたとしても限界がある。4年間やってみて、痛感した。それでやむなく民間施設を探す。しかし入れるところは限られる。やっと入居できたと思った施設が突然倒産・閉鎖となったら…。けっして他人事ではない。

 民間施設に入居させられるだけまだいい(母のグループホームも月々20万近くかかる)。入居できない人は老々介護にならざるをえない。その結果の悲劇は後を絶たない。これからもっと増えるだろう。

 この責任は政府にある。政治を変えねばならない。日米軍事同盟を廃棄し、軍事費を高齢者介護・看護に回さなければならない。介護施設職員の待遇を改善し、数を増やさねばならない。これはすべての人々、家族の問題だ。


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