安倍政権・防衛省は7日、沖縄・宮古島で、ついに陸上自衛隊弾薬庫建設着工を強行しました。住民に対し弾薬庫の危険性や生活水(地下水)への影響などまともな説明は一切行わず、早朝にトラックで資材を運び込むというお得意のだまし討ち着工です(写真左は工事現場=8日付琉球新報より)。
その卑劣な手法もさることながら、日米軍事同盟(安保条約)の下で、沖縄・宮古島をミサイル基地化するこの策動は、島民の命を危険にさらし、東アジアの平和に逆行するもので、絶対に許すことはできません。
そんな中、9日付の琉球新報に次のような記事が載りました。
「宮古島市への陸上自衛隊配備を巡り、謝花喜一郎副知事は8日、7日から始まった保良鉱山地区での弾薬庫建設について防衛省に工事停止を求めた。県によると、陸自配備に関して明確に工事の停止を求めたのは初めて」
「工事停止を求めた」といっても、「防衛省に電話で地元の懸念などを伝えて工事停止など十分な説明を求めた」(同琉球新報)にすぎず、「反対」を明言して「工事中止」を求めたものではありません。
それでも沖縄県が自衛隊配備で「工事停止」(中止でなく停止)を求めたのはこれが「初めて」だというのですから、翁長雄志前県政時代も含め、沖縄県政がいかに自衛隊配備に甘い姿勢をとってきたかが分かります。
それはともかく、この記事を読んで首をかしげました。なぜ「謝花副知事」なのか?なぜ玉城デニー知事(写真右)ではないのか?玉城氏は何をしていたのか?
謝花氏が「工事の停止を要求」したのは、同じ8日、玉城県政与党の社民・社大・結連合の要請を受けたものです(写真中=9日付沖縄タイムス)。そもそもこの与党の要請をなぜ玉城知事自身が受けなかったのでしょうか。
玉城氏はこの日、出張で不在だったわけではありません。県庁にいました。琉球新報や沖縄タイムスの「動静」欄によれば、玉城氏はこの日午前10時、職員給与についての人事委員会の勧告を受け取っています。県庁にいながら、自衛隊配備についての与党の要請は受けなかったのです。
謝花副知事の行動も不可解です。重大な自衛隊配備問題で与党から要請があれば、知事にその内容を伝え、「県として初」となる申し入れを防衛省に行うなら、知事の名前で行うのが普通でしょう。
しかし謝花氏はそうしないで自分で申し入れました。それは謝花氏が玉城知事から「自衛隊配備問題」について一任されている、逆に言えば、玉城氏はこの問題にかかわろうとしていないからではないでしょうか。
一任の真偽はともかく、玉城氏が「自衛隊配備問題」から手を引いている、逃げていることは確かです。
玉城氏はもともと、2009年の衆院選初当選以来、沖縄防衛協会の顧問を務めていました。それが知事選に立候補することが決まった直後、2018年8月31日付で顧問を辞任したいとの通知を防衛協会に送りました(2018年9月11日のブログ参照https://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20180911)。
また、知事当選直後、産経新聞のインタビュー(2018年10月2日付)で、「将来、自衛隊と米軍が基地を共同使用するときには、基地の使用協定を作りましょうという話が出てくるかもしれません」と述べ、自衛隊と米軍の基地共同使用を容認する考えを示していました。
玉城氏の持論が「日米安保・自衛隊賛美」であることは明白です。しかし、玉城氏は「オール沖縄」によって知事選に当選したのです。持論は持論として、知事としては県政与党・「オール沖縄」陣営の主張を尊重し要求に応えなければなりません。玉城氏が自衛隊配備問題から逃げることは許されません。
日本共産党も含め県政与党・「オール沖縄」には、玉城氏に「自衛隊配備反対・工事強行反対」の立場を明確にさせる責任があるのではないでしょうか。