アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「埋立承認撤回」に県民投票必要なし、直ちに実行を

2017年02月25日 | 沖縄・翁長・辺野古

       

 辺野古埋立承認の撤回をめぐり、23日の沖縄県議会代表質問で翁長雄志知事に代わって答弁に立った謝花喜一郎知事公室長は、与党議員(「オール沖縄」)の質問に対し、「県民投票を実施し、民意を問うことは意義があると考えている」(24日付琉球新報)と答えました。

 「承認撤回」を問う県民投票については、新基地に反対する市民や識者の一部からも実施を主張する声が出ています。

  しかし、「撤回」を行うための県民投票は必要ありません。たんに必要ないだけでなく、現時点における「県民投票」論は、事実上「撤回」の先送りにつながり、翁長知事の「撤回棚上げ」に口実を与える危険性があります。
 いま必要なのは「県民投票」ではなく、翁長氏に直ちに「撤回」を実行させることです。

 「県民投票」について、「埋め立て承認の撤回根拠となり得る『県民投票』」(24日付琉球新報)など、あたかも「撤回根拠」のために必要なものであるかのような議論がありますが、これは誤りです。

  第1に、「撤回」は知事の決断によって直ちに可能であり、それを妨げる法的制約は存在しないというのが多くの専門家の共通した指摘です。

 例えば、「撤回問題法的検討会」(仲地博沖縄大学長、新垣勉弁護士ら)は翁長知事に宛てた「意見書」(2015年5月1日、写真中)で、「沖縄県知事が行う埋立承認の撤回が公益適合性を有すること、撤回以外に沖縄県民の公益を保全する道がないことは、明白であるから、沖縄県知事が撤回判断をなすことにつき、法的障害は何ら存しない」と明言しています。
 その後、琉球新報、沖縄タイムスに掲載された専門家・識者の提言もその点で共通したものは枚挙にいとまがありません。 

 第2に、繰り返し指摘してきたように、翁長氏自身が知事選で「撤回は、(埋立承認にー引用者)法的な瑕疵がなくても、その後の新たな事象で撤回するということですが、知事の埋め立て承認に対して、県民がノーという意思を強く示すことが、新たな事象になる」(20134年10月21日の知事選政策発表記者会見。同22日付しんぶん「赤旗」)と公約したのです(写真左)。
 そして、当選後の県議会でも、「知事選で示された民意は埋め立て承認を撤回する事由になる」(2014年12月17日の県議会答弁。同18日付琉球新報)と言明しました。
 いまさら「根拠」云々は、こうした公約・言明を棚上げするための口実にほかなりません。

 もちろん、「撤回」しても安倍政権はそれに唯々諾々と従うことはなく、「代執行」を強行し、ふたたび法廷闘争になるでしょう。「撤回」が正当かどうかは県民・国民注視の法廷で争えばいいのです。

 百歩譲って、1年前なら「県民投票」も選択肢の1つになったかもしれません。しかし、今はそういう情勢ではありません。仮に「県民投票」を行うとすれば、「県内市町村の協力などさまざまな手続きを必要とする。少なくとも手続きに4カ月以上かかる見込み」(24日付琉球新報)だといいます。冗談ではありません。安倍政権によってすでに埋立工事は強行されているのです。これからの「4カ月間」でどれだけ工事が進行してしまうでしょうか。

 工事が進行するということは、それだけ辺野古の海が取り返しのつかない状態になるだけでなく、「工事が進めば進むほど裁判になったときに、撤回の効果は薄れ撤回の有効性の全否定もあり得」(仲宗根勇氏=元判事、9日付沖縄タイムス)るという危険な状況になるのです。

 情勢は猶予なりません。翁長氏に直ちに「撤回」させる、知事選の公約・言明を実行させる。今求められているのは、その世論の強化です。


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