アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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今に続くロッキード事件の闇ーアメリカに奉仕する日本の軍事費

2016年07月25日 | 日米安保体制と平和・民主主義

    

 田中角栄元首相がロッキード疑獄事件で逮捕されて、7月27日で40年になります。
 24日のNHKスペシャルは、「日米の巨大な闇 40年目のスクープ」と題してロッキード事件の「新たな事実」を報じました。

 田中が逮捕・起訴されたのは、米ロッキード社製の民間航空機トライスターの全日空への売り込みをめぐる5億円の授受(受託収賄、外為法違反)だった。しかしロッキード事件の本丸は実はそこではなく、ロ社製の軍用機・P3C対潜哨戒機の売り込みだった。

 当時、対潜哨戒機は国産化の計画が進んでいたが、田中とニクソン米大統領(当時)のハワイ会談(1972年8月、写真中)の直後、国産化計画は白紙になり、ロ社からの購入(輸入)が決定した。ロ社から黒幕・児玉誉士夫に22億円の工作資金が渡されたが、その流れも未解明のまま、捜査は終結し、P3C疑惑は封印された。

 当時キッシンジャー大統領補佐官の側近だったリチャード・アレン氏(写真右)は、ロ社の対日工作の本命はP3Cだったと証言している。ロ社からのP3C購入は今日までに100機(約1兆円)にのぼっている。
 以上がNスぺの要旨です。

 ロッキード事件の本丸がP3Cであり、それはのちのダグラス・グラマン事件(E2C早期警戒機売り込み)にもつながる、というのは、なにも目新しいことではありません。
 しかし、日米間の兵器購入をめぐる闇は、今に至るも解明されることなく、米兵器産業からの購入は増え続け、日本の軍事費は膨張を続けています。ロッキード事件の闇はけっして過去の話ではありません。

 たとえば、今年2月9日に公表された米議会調査局報告「日米同盟」は、「日本への米国の武器セールス」の項目で、「日本は米国製の防衛装備品の主要な購入者であり、『NATOプラス5カ国』という地位を保有している」として、以下の表を添付しています(『日本の軍事費Ⅱ』安保破棄中央実行委員会より)

  兵器名          機・隻数     金額

F35戦闘機            42    100億ドル(1兆2000億円)
RQグローバル・ホーク無人偵察機  3    12億ドル(1440億円)
MV22オスプレイ         17    30億ドル(3600億円)
KC46A空中給油機         3    5.18億ドル(621億円)
E2Dホークアイ早期警戒機     4    17億ドル(2040億円)
最新鋭イージス艦         2    15億ドル(1800億円)

 さらに問題なのは、日米相互防衛援助協定によって、米国からの兵器購入はFMS(Foreign Military Sales)というシステムで行われていることです。
 「FMS調達は、一般的な商取引による契約とはまったく違います。もっとも大きな違いは、価格や取引条件などをすべて『アメリカいいなり』にすることが、アメリカの法律(武器輸出管理法)で決まっていることです」(『日本の軍事費Ⅱ』)

 今年度5兆円を超える日本の軍事費(「防衛予算」)の多くは、こうして対米従属システムによって、アメリカの兵器産業を潤し、米政府の軍事政策に奉仕するために注ぎ込まれています。その原資は言うまでもなく私たちの血税です。
 これが日米安保体制(軍事同盟)の実態です。

 米兵器産業・米政界と日本の「防衛予算」・政界の闇にメスを入れ、軍事費を大幅に削減することは、平和にとっても財政にとっても、今日の喫緊の課題です。

 


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