アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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翁長知事は直ちに「岩礁破砕許可」を取り消せ

2016年01月14日 | 沖縄・翁長知事

  

 13日付沖縄タイムスによれば、日本自然保護協会、沖縄・生物多様性市民ネットワークは12日、辺野古・大浦湾埋め立てのために安倍政権(沖縄防衛局)が大型コンクリート製ブロックを海中投入するのを阻止するため、翁長雄志知事に対し、岩礁破砕許可(2014年8月28日)を直ちに取り消すよう求めました。

 これに対し県(担当課)は、「岩礁破砕許可の撤回など当然あるが、代執行訴訟などがあるので、どういうタイミングが適切か検討している段階だ」(13日付沖縄タイムス)と述べ、即刻取り消しの要求を突っぱねました。「司法判断などで公有水面埋め立て承認取り消しの効力が復活すれば、岩礁破砕許可を『撤回』する理由の一つになり得るとみている」(同)といいます。
 県・翁長知事は、少なくとも代執行訴訟の結果が出るまでは岩礁破砕許可は取り消さないし、仮に裁判で負ければ、取り消す「理由」がなくなる、というわけです。

 これはとうてい容認できない「回答」であり、辺野古新基地建設を阻止しようとしている県民・国民への重大な背信だと言わねばなりません。

 そもそも翁長氏は、埋め立て承認本体を取り消した昨年10月13日の段階で、当然、岩礁破砕許可も取り消すべきでした。ところが翁長氏は「調査中」を口実に取り消さず、「調査結果」が出たら、「岩礁破砕がなされたかについては残念ながら判断することはできない」(昨年11月17日の記者会見、同18日付沖縄タイムス)などといって、岩礁破砕許可の取り消しを正式に棚上げしてしまったのです。

 翁長氏は一貫して「岩礁破砕許可取り消し」に背を向けてきました。

 沖縄防衛局が最大45㌧のコンクリートブロックを49個も大浦湾に投入したのは昨年1月末のことでした。それによるサンゴ破壊、海底環境の変化が、「ヘリ基地反対協議会ダイビングチーム・レインボー」の独自調査によって明らかになったのが昨年2月です。

 これに対しては翁長与党の県議からさえ、「環境が破壊されている行為にまず知事が明確な反応を示すことが重要」(2015年2月12日付琉球新報)という声が出ていました。
 稲嶺進名護市長も「取り消しも当然」(同2月17日付琉球新報)と、岩礁破砕許可の取り消しを求めました。
 県紙も「翁長雄志知事は即刻、許可を取り消すべきだ」(同2月26日付琉球新報社説)と主張しました。

 しかし翁長氏はこうした声にも耳を貸さず、「ブロック設置の作業停止を指示」(同2月16日)しただけでした。「取り消しも視野にある」(同2月17日付琉球新報)という常套句で、実際に取り消そうとはしなかったのです。

 日本自然保護協会や沖縄・生物多様性市民ネットワークが指摘しているように、「岩礁破砕は判断できない」とした11月17日の会見での翁長氏の表明は、まったく根拠がないものでした。それどころか、非専門家による形だけの「調査」だったことが明らかになっています。

 防衛局の「埋立本体設計図書」全文を入手した北上田毅氏(土木技師・沖縄平和市民連絡会)によれば、安倍政権は今後、最大57㌧もの巨大コンクリートブロック102個を含め、総数286個のコンクリートブロックを大浦湾に投下する計画です。そもそも「岩礁破砕許可には、多くの瑕疵があり、取り消されるべき」(北上田氏、「けーし風」2015・7号)なのです。

 ことは急を要します。
  「安倍政権は自民、公明両党の推薦する現職の佐喜眞淳氏が再選すれば(今月24日投票の宜野湾市長選-引用者)、そう間をおかずに辺野古沿岸部の海へ土砂を流し込むシナリオを描いている」(12日付中国新聞=共同)からです。
 いいえ、「安全保障に関わることは国全体で決めることであり、一地域の選挙で決定するものではない」(安倍首相、12日の衆院予算委員会)という安倍政権は、佐喜眞氏の当落にはかかわりなく、土砂を流し込んで埋立工事を強行してくるでしょう。

 「代執行訴訟」云々の言い訳はまったく通用しません。辺野古新基地に本当に反対なら、翁長氏は直ちに、少なくとも宜野湾市長選挙までに、岩礁破砕許可を取り消す「知事権限」を行使すべきです。


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