アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

ホロコースト記念館から学ぶもの①

2014年03月06日 | 日記・エッセイ・コラム

Photo_3Photo_4 『アンネの日記』などアンネ・フランク(19291945)に関する書籍が破り取られるという卑劣な事件は、日本社会の右傾化を象徴していますが、皮肉にもその事件をきっかけに、「ホロコースト記念館」(写真左)が福山市内にあることを知りました。4日行ってきました。(ホロコーストとはギリシャ語で「火に焼かれたいけにえ」の意味。今ではナチス・ドイツによるユダヤ人600万人の大虐殺を指します)

  福山駅からローカル線で2駅目、歩いて十数分の静かな川べりに記念館はたたずんでいます。2階建てで、そう大きくはない建物ですが、展示物、部屋の構成、庭の造りなど、どれをとっても素晴らしいものでした。

  記念館は福山市の牧師・大塚信館長が43年前にアンネの父、オットー・フランク氏と偶然出会ったのがきっかけで、1995年に日本で初めて福山市に設けられました。オットー氏らの寄贈や内外の協力者の尽力で、入場無料で維持され、2007年には新館がオープンしました。

  1階のホールで大塚館長の案内ビデオを見たあと、2回の展示コーナーへ。記録フィルムやパネルで分かりやすく解説されているのはもちろん、アンネの隠れ部屋の再現や、紙質にいたるまで精巧に複製された「アンネの日記」など、展示物は胸を打つものばかり。

 中でも衝撃を受けたのは、収容所で犠牲になった子どもが実際に履いていた「15センチの靴」と遺骨が納められている「記念室」です(写真右。ガイドブックより)。展示物の前にはイスが置かれ、後ろの壁には70枚ほどの子どもたちの写真。ここは座って子どもたちの犠牲と向き合う部屋なのです。

  もう一つ特に衝撃を受けた展示物は、6本のガラスの柱にびっしり詰まった「150万個のビーズ」のオブジェでした。全国の700人以上から寄せられた色とりどりのビーズです。150万とは、ナチス・ドイツに虐殺されたユダヤの子どもたちの数なのです。数字だけではぴんとこない、想像を絶す残虐さ、恐怖が、一つひとつ輝く小さなビーズによって感性に迫ってきます。

  この記念館はただの展示館ではありません。大塚館長は、「何よりもあなたが、『いかに今を生きるか』を問いかけてみてください」と来館者に訴えています。展示順路は、オットー・フランク氏の次の言葉で終わっています。「同情するだけでなく、平和をつくりだすために何かをする人になってください」

  ここは、平和について、人権について、そして生き方について、一人ひとりが自分と向き合う空間なのです。

  しかし、私たちがこの記念館から学ばなければならないことは、それだけではありません。昨年11月沖縄で聴いた高嶋伸欣琉大名誉教授の講演が忘れられません。それについては、次回書きます。

 

 

 

 

 


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