アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

与那国町長選の「敗北」に思う

2013年08月12日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2 11日夜9時過ぎ、NHKスペシャル「自衛隊と憲法-日米の攻防」を見ている最中に、テロップが流れました。「与那国町長選挙で現職の外間守吉氏が当選」。なんという皮肉でしょう。番組は憲法9条に反する自衛隊海外派兵の経緯を追ったものですが、その自衛隊の危険性がさらに進みかねない選挙結果です。
 与那国町長選挙は自衛隊誘致問題で島が二分されている中で行われました。推進派の外間氏が当選したことで安倍内閣・防衛省が自衛隊配備を強行してくるのは目に見えています。日本の最西端の島に自衛隊が常駐することになれば、東アジアの緊張は一気に高まります。事は与那国島だけの、沖縄だけの問題ではありません。日本の、東アジアの重大問題です。
 気になるのは、誘致反対派が推した崎原正吉候補の敗因です。選挙にはいろいろな要素が絡みます。まして島には独特の要因があるでしょう。でも私が見過ごせないのは、崎原陣営が「自衛隊誘致反対」を正面から掲げず、その問題は「住民投票」にかけると公約したことです。その結果、自衛隊問題への言及は及び腰になったと言われています。それは「保守層を取り込む戦略」(9日付沖縄タイムス)だったとか。それによって「選挙戦では自衛隊配備問題の対立が薄まっている」(10日付琉球新報)状況のままで投票日を迎えることになりました。これでは戦わずして敗れたに等しいと思います。崎原氏は「自衛隊誘致絶対反対」を真正面に掲げて選挙を行うべきでした。結果はそれでも変わらなかったかもしれません。でも選挙戦の意味はまったく違ったものになったはずです。
 さる6月23日の国際反戦沖縄集会で、与那国の「イソバの会」の女性が状況報告しました。イソバとは昔与那国島を守ったという伝説の女酋長の名前です。女性は「”武器のない所に鉄砲玉は来ない”。これが島のおじい、おばあの教えです」と自衛隊常駐の危険性を断言。「私たちは島を見捨てない。私たちが島を守る」と力強く宣言しました。その心意気に胸が熱くなる思いでした。選挙はこの「イソバの会」の思いを前面に掲げて戦うべきだったのです。そうすれば結果のいかんを問わず、島には大きな財産が残ったはずです。
 金も権力もある巨大な相手に対して、庶民は何を武器にたたかうか。正義の旗と、連帯の絆しかありません。たとえ敗れても、正義はいつか勝つ。勝までたたかう。それ以外に権力に抗する方法はないはずです。及び腰では絶対に勝てません。今度の選挙であらためてそう思います。
 敗れたとはいえ票差はわずか47票。とても「民意は示された」(外間氏)と言える状況ではありません。自衛隊誘致をめぐる攻防はまだまだこれからです。

 <今日の注目記事>(12日付沖縄タイムス1面)※琉球新報も1面に同様記事

 ☆<オスプレイ普天間へ きょうにも移動再開 米軍「準備整った」>
 「米軍HH60救難ヘリ墜落事故を受けて延期されているオスプレイ10機の追加配備について、米海兵隊は12日にも普天間飛行場への移動を再開する。在沖米海兵隊報道部は本紙の取材に『日本政府の要請を踏まえ、オスプレイの(岩国基地からの)出発を遅らせているが、配備再開のタイミングは、ヘリ墜落の事故調査とは無関係だ』としている。/一時駐機先の岩国基地での試験飛行は10機全機が行っており、同報道部は『沖縄配備の運用上の準備は整っている』との認識を示した」
 ※HH60の墜落はその原因も、放射性物質の影響も、なにも明らかにされていません。これでオスプレイ追加配備再開とは!


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