道南全山219座完登ゴールの山となった太田・天狗岳(508m)に、お祝いを兼ねて札幌や地元から15名もの同行希望の申し出をいただいていた。全員が未踏の山であるが、もちろん登山道はない。
しかし、天気予報はパッとしない。自分一人ならあっさり中止とするところだった。しかし、ほとんどが週末しか登れない現役世代である。自分の今後の週末はひと月以上塞がっている。
中止か決行か前日まで迷っていた。ところが、「多少の悪天候でも藪に入ってしまえば同じ」「わざわざ勤務のシフトを変えて休みを取った方もいる」「少しくらいの悪条件でも気にしない変態グループですから」「もし、中止になったら私たちのグループは別の山に登るかもしれない」などと煽りのメールが入る。
せたな町の前日までの天気予報は、朝には雨が上がる予報であった。みなさんの気持ちも考えて決行のメールを入れた。
最後の山となったせたな町太田地区の海から鋭く聳える天狗岳。
この山が海岸からせり上がっているので、2013年に道々740号北桧山大成線が開通する前はここで行き止まりだった。山麓の集落は太田集落。
GPSトラックログ
8時に山麓の太田集落の手前のトイレ付駐車場に集合。スタート前の挨拶とお互いの顔合わせをする。予報通り、雨は上がっていた。(mocoさん提供)
参加メンバーは、札幌から駆け付けてくれたsaijoさんを初めとする「地図がガイドの山歩き」チームのikkoさん、遠山さんと奥さんのmocoさん、チロロ2さん。(mocoさんとチロロ2さんは待機組)の5名。同じく札幌からの「北海道山岳ニュース」と「山歩人・吉克の山楽日記」の吉克さん。昨年から白水岳の登山道の再開削に取り組んでいる「チーム他力本願」のwajiさん(ヤマレコ)、「道南登山 単独行」のJYUNさん、myuさん(ヤマレコ)の、makkoさん(ヤマレコ)、hiromiさん(ヤマップ)、イタPさん(ヤマップ)、AKIさん、miyaさん(札幌から)、にしやんさんの9名。
8:05、駐車場から道々を歩き、集落の中を通り、海岸段丘の上へ登る道へ取り付く(mocoさん提供)
墓地への道の階段で「チーム他力本願」の儀式。向かう山を目指して「オッ~!」
坂道から太田集落と太田山神社の岩崖を振り返る。
海岸段丘上の平地には畑があり、その奥に墓地があった。そこから尾根の薮に取り付いた。
墓地からの笹薮の急斜面を登る。
この先にはジグを切って続く昔の伐採道跡が現れる。初めの内はそれを横切りながらに直登したが、まもなくそれを辿って、東側へ進む。やがて「山」と刻まれた境界標石とピンクテープの付けられた刈払い跡を辿る。それも西側へ向かっているので、あとは尾根を直登する。薮は薄いのでほとんど気にならない。むしろ急斜面なので笹や灌木に掴まりながら登ることができる。
9:05、手前の267ピークに到着。
267ピークに生えていたブナの巨木に驚く。
その先は細い尾根にはっきりとした踏み跡が続き、それがそのまま直登尾根にも続いていた。地元の人たちが歩いているようだ。
急な斜面を笹や灌木に掴まりながら登って行く。結果的に尾根を登って行ったら、下から見えていた岩場をかわすように進むことができ、岩場と頂上を結ぶ稜線に出た。下から見えた岩頭は頂上ではなく、頂上はその奥だった。
最後は露岩の続く細い岩尾根を登る。
その先が笹に覆われた頂上である。その手前で自分をトップに立たせてくれた。
10:00、一番先に頂上を踏み、後続を迎える。
集合写真を撮るために頂上の笹刈りをする。
これは吉克さんが作って来てくれた横断幕。219座の山名と拙著の写真が印刷されていた。
トップ写真の横断幕は、「チーム他力本願」のhiromiさんが作ってきてくれたもの。
「地図がガイドの山歩き」チームのmocoさんがプリントしてくれたTシャツ。
自分のトレードマークの漫画イラストと拙著の写真までプリントされていた。
219座完登の感激よりも、みなさんの心遣いに感謝、感激、雨アラレで、涙がこぼれそうになった。
三角点のない山だが足元に偶然石を発見。掘り出してみたら「北海道廰」と刻まれていた(左)。
ほかでも見たことがあるような気はするが、山頂でこの標石を目にしたのは全員初めてだった。山頂に設置された昔の道有林の境界標石なのでは?
帰宅後調べてみたら、同じものが余市のモイレ山にもあるようだ。(右)そこには道路元標?と記されているが、それなら山の上にあるわけはない。
吉克さんの調べでは、明治中期の北海道庁測量標石とのこと。1886年(明治19)の北海道庁開設に伴い第二次大戦終了時まで続いた北海道庁測量標石のようです。
明治時代、北海道地図の作製のために行われた測量の基準点として設置された標石です。北海道開拓の一こまを物語る貴重な資料で、標石には「北海道庁」「明治○○年○月」などと掘られていたんでしょうね。
10:45、下山開始。途中から岩場への稜線を辿り、下から見えた岩頭の上まで進んでみた。
岩頭の上から下の太田集落と漁港を見下ろす。手前のポコは登って来たときに通過した267ピーク。
シュロソウ
サンカヨウの実 ガマズミの花
267ピークまでは登りのトレースを下った。14名が上り下りした後は、まさに登山道と化していた。267ピークからは、尾根にある踏み跡をまっすぐ下りた。その踏み跡は途中から左へ曲がって墓地の上に続いていた。下りは急なので早い。
墓地の下の畑で仕事をしていたおばあちゃんに挨拶したら、村の人たちが山菜採りに入るので、あちこちに道があるという話だった。
12:00、漁協の有線放送のお昼を知らせる音楽に迎えられて、道々に出た。
天狗岳をバックに自分が用意した横断幕?を手に
登り2時間、山頂休憩45分、下り1時間15分。山容からもっと時間を要する山だと思っていたが、緊張する所や手こずる所もなく意外と早く上り下りすることができた。
下山して、解散しようとしたら、まだセレモニーがあるという。
「チーム他力本願」が用意してくれたケーキが待っていた。
天狗岳をバックにそのケーキを持っての撮影会
全員でそのケーキをご馳走になって、解散となった。
「チーム他力本願」が用意してくれたケーキが待っていた。
天狗岳をバックにそのケーキを持っての撮影会
全員でそのケーキをご馳走になって、解散となった。
解散式では、感激で上手く言葉が出なかったが、感謝の気持ちを伝えた。
札幌メンバーは、そのまま帰路に就き、「チーム他力本願」は太田山神社に登るという。足の調子の悪いJYUNさんとあわび山荘の温泉に入って、帰路に就いた。
同行者のブログやヤマレコやヤマップの山行記録も見たい。
○吉克さんの「山歩人 吉克の山楽日記」 ○JYUNさんの「道南登山 単独行」 ○wajiさん・myuさん・makkoさんのヤマレコ ○hiromiさんのヤマップ ○イタPさんのヤマップ ○にしやんのヤマップ ○AKIさんのヤマップ ○西條さんの「地図がガイドの山歩き」