日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

舞劇「朱鷺」 上海歌舞団

2017-09-08 | アート・文化

   時はいにしえ。どこからか聞こえる音楽。
   白い羽根が落ちる。ひらひらと。



中国で歴史的傑作と称賛され、日本でも脚光を浴びた舞台「朱鷺」を観た。

絶滅の危機に追い込まれた朱鷺と人間のこころが
時空を超えて結ばれる悲哀と抒情性あふれる舞台で
主演2人の表現力と技術もさることながら、一糸乱れぬ群舞は圧倒的な美しさだ。

湖で出会った村の青年ジュンと美しき朱鷺の精ジエのダンスは
通い合う気持ちが切なく、
春のように優しいその愛はずっと続くはずだった。。

しかし人間界に住めないジエは白い羽根をジュンのもとに置いて去っていく。
1幕ラスト、すべるように朱鷺が1羽ずつ旅立っていくシーンは絵画のように美しい。

2幕は近代。
地球は乱獲や土地開発で汚染され、朱鷺は少しずつ弱りつつあった。
瀕死のジエを助け、再会したジュンとジエ。
だが自然破壊で散っていった朱鷺は
博物館のガラスケースに収められる運命に。

月日は流れ
白髪のジュンが見たそのケースの中にいたのは朱鷺の精ジエだった。
白い羽根をずっと持っていたジュンがその羽根をジエの胸に当てると
ジエはケースから現れた。

時を超えて、みたび巡りあったジュンとジエ。
舞う。舞う。かつて人と朱鷺が共存していたあの頃のように。
白い羽根は
朱鷺の存続が後世も続くようにとの願いとともに現代の若者の手に渡された。

哀調を帯びた楽曲に乗せて舞う幽玄の世界。
朱鷺の動きをダンスに昇華させ、
鍛え抜かれた技術によって優美な舞台を観ることが出来た。

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