日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

美女劇「奴婢訓」 東京芸術劇場

2018-03-16 | 宇野亜喜良

2006年から公演を続けているProject Nyxが手がけた寺山修司の作品「奴婢訓」を見てきた。
当時、この作品はオランダ、ベルギーからロンドンへ巡演し、絶賛されたという寺山の代表作。



客席に入ると目に入る舞台装置。流れるチェロの旋律。
やがてライトが変わり、パントマイムの赤いあやとりの糸は赤いロープに変化して
ダンサーの官能的なパフォーマンス。
そして豆電球を操りながら次々と出演者が客席から舞台へと。
妖しく耽美な物語が始まった。

主人不在の館で召使たちがそれぞれの主人に変身し、
タイムリミットになるまで玉座をめぐってバトルを繰り広げる。
寺山らしいアングラにレビューをミックスしたような
大胆、華麗な舞台は果てしなく―。
しかし時間が来ればという現実に戻る。
つかの間の夢。
いつか終わる夢。
ラストも鮮やかな盛り上がりで見応えのある舞台は終わった。

この公演は金髪姿がキュートな水嶋カンナさんの構成。
奇想天外な舞台は圧倒的でもう一度見たいと思う公演だった。
白いドレスの佐藤梟さんの存在感も印象的。
そして耳に残るほど感動的だった黒色すみれのバイオリンと歌声。

私が見た日は13日(火)だったので、終演後に舞台装置の内覧会があった。
宇野亜喜良さんの舞台美術を楽しみにしていたが
玉座を中心に、中世と日本の和をミックスした摩訶不思議な雰囲気。
この時は撮影が可能だった。

舞台全体


宇野さんのオブジェ。テントのそばに馬、そして顔が彫られた館。