日々遊行

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旧島津侯爵邸 (清泉女子大学)  品川区東五反田

2014-11-03 | 近代建築

JR山手線の五反田駅から10分ほど歩くと、島津山と呼ばれる一帯にある
清泉女子大学の門が見えてくる。
元は島津家30代当主・島津忠重 (父は島津藩最後の藩主・茂久) の 邸宅であった。
戦後はGHQに接収された時期もあったが
1962年(昭和37)から清泉女子大学の本館として使われている。

先月の10月29日は一日限定の一般公開の日。
グループごとに時間が区切られ、在学生のガイドで邸内を詳しく案内してくれる。

設計は「日本近代建築の父」と呼ばれたイギリスのジョサイア・コンドル。
全体が完成したのは1917年(大正6)。外壁は当時流行だった白タイルを使用している。


庭から見たバルコニー。
建物全体の様式はルネッサンス様式だが、バルコニーは1階がトスカーナ様式、2階はイオニア様式。
1階は主に応接としての役割に使われ、2階が家族のプライベートスペースであった。
現在、2階は実際に教室として使われている。


1階テラスから見た庭に木洩れ日がさしていた。
柱や手摺は安山岩を使用しているという。


1階玄関を入り、赤い絨毯が敷かれた広間から見た階段。
中央から左右にさらに2階へと上がる階段が延びる。


1階の談話室。天井の漆喰は繊細な浮彫り彫刻。


正面玄関を内側から見たステンドグラスの扉。
左右対称に植物の模様がほどこされ、アーチの中央には「丸に十字」の
島津家の家紋型のガラスが嵌め込まれている。


玄関と階段室を仕切るガラススクリーン。
光をやわらかく通すモロッコガラスが使われているという。




庭の中心には品川区指定の天然記念物になっている「楓(フウ)の木」が大きく枝を広げていた。
樹齢200年を超えて、その間の変遷を見続けてきた木である。
他にキリシマツツジ、桜などが季節の彩りを見せるという。