小雪が散らついた休日、盛岡の歴史を感じる紺屋町あたりを散策した。
遠くに岩手山をのぞみ、中津川にかかる「中の橋」を往来する人々はいつもと変わらないようにそこにいる。初めて行った冬日の充実した旅。
旧盛岡銀行
明治の頃より現在も営業を続けている旧盛岡銀行は白の花崗岩がアクセントの優美なルネッサンス様式。
設計は「赤れんが」で知られる東京駅と同じ設計の辰野金吾と工学士の葛西萬司。
1911年(明治44)に3年の歳月をかけて建てられた。
ひときわ目を引く洋館で、中の橋のたもとにたたずんでいる外国のような風景は叙情的。
盛岡信用金庫
旧盛岡銀行の斜め向かいにあるこの銀行は、旧盛岡貯蓄銀行。
神殿のような太い柱が並ぶ勇壮な外観。
設計は葛西萬司。
ござ九(ござく)
盛岡では有名な老舗の荒物雑貨店。
つららも家屋の一部のよう。
藩政時代からの面影が伝わるござ九の家屋。盛岡市の保存建築物に指定されている。歴史を語るたたずまい。
必要な生活用品が清潔に並べられたござ九の店内。
あけびの籠を思い出に買った。
紺屋町番屋
大正期に建てられた火の見櫓が目印の番屋。
赤い屋根のモダンな望楼。
旧井弥商店
明治初期に建てられた黒漆喰の商家。
当初は呉服問屋だったが、蔵を改造して現在はパンをはじめ食品を販売。
宝物をさがすような不思議な店内。
喫茶 車門
土蔵の外観に魅了される喫茶店。
ミステリアスな入り口から中に入ればクラシカルな雰囲気が広がる。
静かで落ち着いた気分でコーヒーを味わう。忘れられない味だった。
小原写真
車門の前にあるマーメイドが目印の写真館。
斬新にして古典。
大きなマーメイドのレリーフは小原写真の看板を両手で支えるデザイン。
光原社
宮沢賢治の「注文の多い料理店」を発刊した出版社で、光源社の名は彼が名づけた。
ここは宮沢賢治の資料館をはじめ、喫茶店や雑貨など現在の光原社のすべてを網羅した夢のような空間。
その界隈の一角、可否館。
狭いながらも大きな窓からは賢冶がここを歩いているような風景を見ることが出来る。
喫茶 六分儀
グレーの両扉にカーテンがかかった素敵な喫茶店。
中はシンプルなのにどこかノスタルジック。
シャンソンが流れる店内。
コーヒーの香りの中でもっと落ち着いていたかった喫茶店。
小窓で会計をするのが可愛らしい。