ら族の歳時記

「道が分かれていても人は幸せになる道を選ぶ能力がある。」
能力を信じ、心の安らぎの場を求めて、一歩一歩。

ストーリー セラー

2016-04-23 22:06:33 | 本を読みました


有川浩著 幻冬舎文庫 「ストーリー セラー」





背表紙の概要が。。
妻の病名は、致死性脳劣化症候群。
複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、
やがて死に至る不治の病。
生きたければ、
作家という仕事を辞めるしかない。
医師に宣告された夫は妻に言った。
「どんなひどいことになっても俺がいる。
 だから家に帰ろう」。
妻は小説を書かない人生を選べるのか。
極限に追い詰められた夫婦を描く、
心震えるストーリー。




致死性脳劣化症症候群ってなに???


大好きな有川浩さんなので
試し読みもせずに買ってしまったのでした。



この本は中編2作からなっています。
ともに作家の妻と会社員の夫の話。

一つは上記の作家の妻が死ぬ話で
もう一つが会社員の夫が死ぬ話です。






まずはsideA 作家の妻が死ぬ話のあらすじ

二人は会社の同僚として知り合う。

「食費」を「エンゲル係数」
「贅沢」を「潤沢」という
微妙に口語らしくない言葉を使う彼女。

彼は彼女の持っているUSBから、
彼女が小説を書いていることを知る。

彼女を押さえつけてまでも小説を読む彼。

その小説のツボにはまる彼。


彼女の小説が読みたくて読みたくて
たまらなくて、
彼女の家に入りびたり。。
そして結婚。


彼女に小説賞への投稿を勧める。

彼女は初投稿で賞を射止め、
あっという間に売れっ子になり、
専業作家になった。



それからは苦難の連続。


大学自体の文芸部仲間のいやがらせ。

彼女才能をねたみ、
学生時代に「才能なし」といって
つぶした連中。

彼女が作家になり成功したことをねたみ
ありとあらゆるところで
悪意の書評を公表する。

メインストリームから外されると
ペンネームを替えてまでも
悪意の書評を書き続ける。

彼女は精神を病んで
精神安定剤を飲むようになる。



今度は、親戚。

あったこともない申請のお金の無心は
かわいい方で、
親戚、特に父親が
彼女の作品をけなす。
「文学とはこういうもので
 おまえの作品は成っていない」
と自分の文学論、作品論を
ある時は電話で、
ある時は突然訪問してきて語る。

それは一度だけでなく、
以前言ったことも
わすれたかのように
同じことを何度も言う。



最後に痴ほう症になったひとりぐらしの祖母。

祖母宅の周囲に住む人は
施設への入居を勧めるが、
それを受け入れることができない父親。
そしてどうしようもできなくなったときに
誰かに問題をなすりつける。

民生委員が作家として
有名になった彼女に
祖母を施設にいれるため
力を貸してほしいと訪ねてきた。

祖母の家はゴミ屋敷と化しており
ありとあらゆるところに人糞があった。

彼女と彼でなだめて
祖母を家の外へ連れていき
施設の車に乗せた。



自分はまったく玄関の中に入ろうとはせず、
祖母に一言も声をかけなかった父親が
「あんなにも嫌がっていたのに
 無理矢理に。。。
 家には土足であがるし、
 お前たちは情がない。
 迎えのサービスなんて
 余計にお金がかかることを
 勝手に決めて、だれがお金を払うんだ」と
娘夫婦にいう。

父親と彼女のいくつかのバトルがおきて。

あなたのしてきたことは
放置であり虐待です。
感謝されることはあっても
非難されることはないと
きっぱりいう彼。

そして、
「僕の妻を侮辱するのであれば、
 殴るのであれば、
 僕はあなたを殴ります」ともいった。



その後、彼女はいろいろなことがストレスとなって
記憶があいまいになった。

痴呆とかうつ病とかいろいろな病名がついたが
症状と治療に効果が出ず。
「致死性脳劣化症候群」と病名がついた。


映画をみても感想をいえば、
病気が進行する。

もちろん、原稿を書いても。

小説を書かない人生を選ぶことはできなかった。




彼女の脳は、「休息」が必要と感じることが
でききなくなり、
脳も、体も疲れ果てて。。

彼女の死は突然やってきた。

彼への最後の手紙を書き残して死んだ。





SideB

昼休み、彼女は
ケータイを使うため
電波状況の良い屋上へあがろうとしたとき、
涙目で段ボールを抱えて階段を下りてくる
彼に遭遇する。

男の涙。。。なぜ。。。

まずいと思った彼は彼女に言う。
「この作家の作品が好きで
 屋上で段ボールひいて読んでいたら
 泣けてきて。。。」

その告白にびっくり。

「それ、私が書いたんですけれど。。」
と彼女は小説を書いていることを告白する。


彼女の作品をきっかけに交際が始まり、
結婚。
彼女は専業作家になる。



そんなとき、彼が交通事故に遭い、
精密検査で彼がすい臓がんであることがわかる。


彼女は、夫が死ぬ小説を書いたことを悔やみ
「覆れ」と何度も何度も書く。


逆夢になることを信じ、
執念で小説を書く。


結局、逆夢になることはなく
彼は死んだ。






<感想>

SideAの冒頭の病院でのくだりは
共感が持てず。。

読むのを止めようかと思うくらいでした。


いつもの有川浩さんと文体がちがうような。。

初期の作品かもしれませんね。



sideBの作家が書いたのがsideAの設定だそうです。



けれど、SideAの方が、
いろいろなことが盛りだくさんで
「そんな苦労があるんだ」と思いながら
読みました。

身近にある事件を深く書いていたという意味です。



だけれど、
自分の作品を一番愛してくれて
一番に最初に読みたいと思ってくれている人が
身近にいる作家さんは幸せですね。

作家さん夫婦はこんな感じなのかな???





編集さんによると
sideBの猫を飼う、猫の名前、
会社組織にする、
旦那の交通事故は
最近の有川浩さんとリンクするとか。

「この話はどこまでが本当なんですか?」

「どこまでだと思います」

それは誰にも言わない。

私は、この物語を売って
逆夢をお越しにいくんだから。



意味深なあとがき。。。


旦那が病気で、
これ書いて逆夢にしようとしているとしか
思えない。。。

逆夢って結果だけを替えておけばいいのかしら?
最初から替えなくてもよいの???



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