股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

ファーストラヴ

2021年02月27日 12時07分33秒 | 映画評論ハ行

製作年:2021年
製作国:日本
日本公開:2021年2月11日
監督:堤幸彦
出演:北川景子,中村倫也,芳根京子,板尾創路,石田法嗣,木村佳乃,窪塚洋介
映画『ファーストラヴ』公式サイト

アナウンサー志望の女子大生、聖山環菜が父親を刺殺する事件が発生。環菜のドキュメンタリー本の執筆を依頼された公認心理師の真壁由紀(北川景子)は、面会や手紙のやり取りを重ね、環菜の周囲の人々を取材する。環菜に自身の過去を重ね合わせた由紀はやがて、心の奥底にしまっていた記憶と向き合うことになる。
島本理生の直木賞受賞小説を、『スマホを落としただけなのに』などの北川景子主演で映画化したサスペンス。北川演じる公認心理師が、父親を殺した女子大生の事件に迫る中で、犯人の心の闇とともに自身の過去とも向き合っていく。監督を『明日の記憶』などの堤幸彦、脚本を『彼女がその名を知らない鳥たち』などの浅野妙子が担当する。

公認心理師の女性が、父親を殺した女子大生と向き合いながら事件の真相を明らかにしていくサスペンス作品。芳根京子演じる女子大生の聖山環菜が父親を刺殺するシーンから物語は始まります。何故、環菜は父親を殺さなければならなかったのか…その真実が徐々に明らかになっていきます。そして北川景子演じる公認心理師の由紀の暗い過去も…。サイコパスと思っていた環菜でしたが、真実は意外なものでした。結末を言ってしまうとネタバレになるので控えますが、これは誰にでも起きてもおかしくない事なのかもしれないというのが感想です。幼少期のトラウマであったり、周囲の大人たちとの関係だったり、優しさや愛情の度合いによって、大人になってもそれが心や体に影響を与えていて、人間は一生消えない傷を負ってしまうのかもしれない。それぞれの家庭の中にはそれぞれのルールがあって、大人にとってはそれが育て方だとしても、子供にとっては地獄なのだ。環奈はただ普通の愛情が欲しかっただけなのに、それさえも与えてもらえなかった。苦しみから逃れるために、誰も信じてくれない、誰も助けてくれないと感じた環菜にとっては当たり前のことをしただけ。そう考えると環菜も被害者の1人だろう。タイトルの「ファーストラブ」の意味が映画を観てやっと分かりました。
由紀が抱える闇の部分も描かれていますが、中盤では由紀の話が続くので「あれ?環菜はどうなったっけ?」と思ってしまいました。まぁ由紀と環菜、立場は違うとしても同じような傷を背負って生きているからこそ、ラストに繋がるのだろう。でも由紀のエピソードはそんなに長くは要らなかったかな。優しい旦那にそこまで過去を隠し続けてた理由がよく分からなかった。全体的には、まとまりがありそうで、盛り上がりそうで、結果的に期待を超えてこなかったのが残念なところ。すごく良かったとまではいかないが、人間の心理を描いた良質な作品でした。やっぱり窪塚洋介はカッコいいし存在感が抜群です!!

この作品の評価・・・・★★★★★☆☆☆☆☆(満点は★10)
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シカゴ7裁判

2021年02月26日 15時05分45秒 | 映画評論サ行

製作年:2020年
製作国:アメリカ
日本公開:2020年10月16日
監督:アーロン・ソーキン
出演:サシャ・バロン・コーエン,エディ・レッドメイン,ジョセフ・ゴードン=レヴィット

1968年、アメリカ・シカゴ。民主党全国大会の会場近くで、ベトナム戦争に反対する抗議デモが行われる。平和的に行われる予定だったデモは激しさを増し、デモ隊は警察と衝突。アビー・ホフマン(サシャ・バロン・コーエン)やトム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)ら7人の男が、デモで暴動をあおった罪で起訴される。
ベトナム戦争の反対デモをめぐる裁判を実話に基づいて描いた人間ドラマ。1968年に行われた抗議デモで首謀者とされた7人の男たちが、陪審員の買収などの妨害にもめげず裁判で徹底的に戦う。メガホンを取ったのは『ソーシャル・ネットワーク』などの脚本を担当し、監督としては『モリーズ・ゲーム』を手掛けたアーロン・ソーキン。『ブルーノ』などのサシャ・バロン・コーエンや『博士と彼女のセオリー』などのエディ・レッドメイン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マイケル・キートン、マーク・ライランスなどが出演する。

Netflix作品。ベトナム戦争の反対デモを理由に裁判にかけられた7人の男たちの姿を描いた実話を基にした物語。スティーブン・スピルバーグ監督が当初は手掛ける予定だったそうですが、ストを理由に断念。代わりに脚本に続いて監督も引き継いだのが『モリーズ・ゲーム』を手掛けたアーロン・ソーキン。『モリーズ・ゲーム』と同じく、本作も会話劇に仕上がっています。
驚かされたのは、これが本当に実話なのかと疑いたくなるほどの、不条理な裁判でした。7人の被告が自分の主張を無かったことにされ、判事の私的な感情や判断だけで裁判が進められていく。希望の火が見えたと思ったら一瞬で消されていく不条理な現実。公平なんてものは存在しない。自由を勝ち取るなんて不可能な状況の中で、強大な権力に立ち向かっていく若者たちの姿に感動しました。それと同時に、ジェリー・ホフマン判事に腹が立ってしょうがなかった!!ベトナム戦争で無念の死を遂げた若者たちに名前を読み上げるラストシーンは観ている僕も拍手したくなるほど。最後の最後で気持ちが少しスッキリした感覚がありました。
しかし劇中での会話の内容全てを理解できなかった…。ベトナム戦争の歴史的な背景をもっと勉強しておくべきでした。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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まともじゃないのは君も一緒

2021年02月25日 11時36分52秒 | 映画評論マ行

製作年:2020年
製作国:日本
日本公開:2021年3月19日
監督:前田弘二
出演:成田凌,清原果耶,小泉孝太郎,泉里香
映画『まともじゃないのは君も一緒』公式サイト

予備校で数学を教える大野康臣(成田凌)は、独身で恋人もいないが、結婚願望は持っていた。しかし、女の子とデートをしてもコミュニケーションがうまくできない。康臣は自分のことを普段から「普通じゃない」と言う教え子の秋本香住(清原果耶)に、どうしたら普通になれるか教えてほしいと頼み込む。
『カツベン!』などの成田凌とドラマ「透明なゆりかご」などの清原果耶が共演するコメディードラマ。予備校講師と教え子のやり取りを通して、コミュニケーションのすれ違いやズレなどを描き出す。メガホンを取るのは『婚前特急』や『わたしのハワイの歩きかた』などの前田弘二。オリジナル脚本を前田監督作品や『そこのみにて光輝く』などの高田亮が手掛ける。

久しぶりの会場での試写会に参加。恋愛経験が乏しい予備校講師と女子高生の騒動を描いた本作。成田凌も清原果耶も演技が上手い!そして泉里香の色気が凄い!好きな人には恋人がいることを知った女子高生の香住は、予備校講師の大野を利用して2人を別れさせようとした香住でしたが、あるキッカケで香住は大野に恋してしまうのです。そんな大野は別の女性に好意を抱き始め…。一方通行ばかりの恋模様。人生ってそんな理想通りにはいかない。普通って何だろうか?普通と普通じゃない境界って何だろうか?そこを考えれば考える程、理想とは違う結果になってしまう。大野も香住も、本当は普通の恋をしたいだけなのに…。2人の会話のやり取りが観ていてとても面白かったです。あれだけ次から次へと会話が続くのなら、この人が運命の人かも!?って思いそうだけど、そう上手くはいかないのか。やっぱり“普通”って何なのか映画を観ても分かりませんでした(笑)明確な答えが最後に待っているわけではありませんが、“普通”とか“普通じゃない”とかではなく、自分らしくいることが大切なのだと教えてくれた気がした素敵な映画でした。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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スペース・スウィーパーズ

2021年02月19日 23時13分05秒 | 映画評論サ行

製作年:2021年
製作国:韓国
日本公開:2021年2月5日
監督:チョ・ソンヒ
出演:ソン・ジュンギ,キム・テリ,チン・ソンギュ,リチャード・アーミティッジ

2092年、宇宙のゴミ回収で生計を立てている宇宙船・勝利号には、船長のチャン(キム・テリ)、パイロットのテホ(ソン・ジュンギ)、エンジニアのタイガー・パク(チン・ソンギュ)らが乗船している。そこにプログラムを書き換えられた元軍用ロボットのバブズも加わり、チームとしてうまくやっていた。ある日、勝利号は壊れたスペースシャトルを回収し、中から7歳の少女を発見する。
未来の宇宙を舞台に描くSFアクション。宇宙のゴミ回収船のクルーらが、スペースシャトルの中から人間によく似たロボットを偶然発見し、身代金を要求する。『私のオオカミ少年』などのチョ・ソンヒが監督を手掛け、『ちりも積もればロマンス』などのソン・ジュンギが宇宙船のパイロット、『リトル・フォレスト 春夏秋冬』などのキム・テリが船長、『犯罪都市』などのチン・ソンギュがエンジニアを演じ、『ホビット』シリーズなどのリチャード・アーミティッジらが共演する。

宇宙のゴミを回収する宇宙船のクルーたちが一人の少女ロボットを発見したことから騒動に巻き込まれていく物語。Netflixのオリジナル映画で製作費は約24億円。何百億円もかけて作られるハリウッド超大作映画と比べると、このビジュアルの完成度で24億円は安いし凄い!恐るべしNetflix!恐るべし韓国映画!宇宙の映像であったり、宇宙船同士のバトルやスピード感は見応え十分でとても楽しめました。色んな国の言語が飛び交っていたり、人種の違う人たちが登場するのでスケールの大きさも感じられます。韓国版「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」といったところ。「スターウォーズ」と似ているシーンがあったのは否めないが仕方ないか…。ストーリー的には結構あっさりしていて、予想通りの展開なのでもう少し捻りが欲しかったです。主人公のテホが抱える過去の傷と、そこから立ち直る展開は今まで何度も観てきたパターンなので新鮮味が無い。敵の博士みたいな奴が思っていたより弱かったのも残念。もっとサイコパスな面を見せて、主人公たちと戦って欲しかったです。ハードなアクションしているのにソン・ジュンギが最後まで綺麗なお顔をしていました(笑)
Netflixが低予算でこれほどスケールの大きい映画を作れる時代が来るとは…今後に期待したい!!

この作品の評価・・・・★★★★★☆☆☆☆☆(満点は★10)
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すばらしき世界

2021年02月16日 14時05分30秒 | 映画評論サ行

製作年:2020年
製作国:日本
日本公開:2021年2月11日
監督:西川美和
出演:役所広司,仲野太賀,六角精児,北村有起哉,白竜,キムラ緑子,長澤まさみ
映画『すばらしき世界』公式サイト

下町で暮らす短気な性格の三上(役所広司)は、強面の外見とは裏腹に、困っている人を放っておけない優しい一面も持っていた。過去に殺人を犯し、人生のほとんどを刑務所の中で過ごしてきた彼は、何とかまっとうに生きようともがき苦しむ。そんな三上に目をつけた、テレビマンの津乃田(仲野太賀)とプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)は、彼に取り入って彼をネタにしようと考えていた。
『ゆれる』『永い言い訳』などの西川美和が脚本と監督を手掛け、佐木隆三の小説「身分帳」を原案に描く人間ドラマ。原案の舞台を約35年後の現代に設定し、13年の刑期を終えた元殺人犯の出所後の日々を描く。『孤狼の血』などの役所広司が主演を務め、テレビディレクターを『静かな雨』などの仲野太賀、テレビプロデューサーを『MOTHER マザー』などの長澤まさみが演じている。橋爪功、梶芽衣子、六角精児らも名を連ねる。


元受刑者の男の出所後の日々を描いた本作。元ヤクザ、元受刑者だと、住む場所も仕事も周囲からの信頼も簡単には手に入らない。自分が犯した罪なのだから自業自得なのだが、それでも生きにくい世界に生きなければならない三上の姿が可哀相でならなかった。出所後もすぐにカッとなって暴力に走ってしまう三上も、周囲の人々の支えだったり優しさに触れて真っ当な人生を生きようと決めるのです。嘘がつけない、自分の主張を通したがる三上。優しくされたことがないからどう優しくするべきか分からない三上。先日観た「ヤクザと家族」ほどの絶望感は無いものの、やはり一度犯した罪はそう簡単に消せるものでもなく、優しささえも時には仇になってしまう切なさを感じさせます。受刑者は再犯率が高いというのは事実だが、社会がどのように彼らを更生させていくべきかという問題もある。実際に自分が住んでいる家の近所に元受刑者が引っ越してきたら、偏見の目で見てしまうかもしれない。介護施設での会話が妙にリアルでした。ああいう会話って流れでしちゃうことってあるから…。だとすれば、"すばらしき世界”とは一体何なのか…難しい問題だ。三上の周りには理解者が多かったが、実際はもっと酷な現実が待ってると思います。一度人生のレールから外れてしまうと元に戻ることは難しいだろう。いい加減に生きるほど難しいことはないのだから。人の温かさ、人の優しさに少しでも触れることができた三上は幸せ者だったのかもしれない。宣伝コピーの「この世界は 生きづらく、あたたかい。」がまさにこの映画の結末。
「僕らのように名もない星が ささやかな幸せを祈ってる♪」〈見上げてごらん夜の星を〉がこんなに心に染みたのは初めてです。役所広司のキレっぷりは凄いの一言!役者たちの“すばらしき”演技が見れる映画でした。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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この茫漠たる荒野で

2021年02月15日 12時31分19秒 | 映画評論カ行

製作年:2020年
製作国:アメリカ
日本公開:2021年2月10日
監督:ポール・グリーングラス
出演:トム・ハンクス,ヘレナ・ゼンゲル,エリザベス・マーヴェル,レイ・マッキノン

南北戦争が終結して5年。退役軍人のジェファソン・カイル・キッドは、各地を転々としながら世界のさまざまなニュースを読み伝える仕事をしていた。そんな旅の途中、キッドはジョハンナという10歳の少女と出会う。6年前にネイティブアメリカンに連れ去られ、そこで育てられたジョハンナは、英語もわからず見知らぬ外の世界に困惑していた。見かねたキッドは、彼女を親族のもとへ送り届ける役目を引き受ける。2人は厳しい自然や人間たちによってもたらされる試練に直面しながらも、荒野を進んでいく。
「キャプテン・フィリップス」のポール・グリーングラス監督とトム・ハンクスが再びタッグを組み、南北戦争後のアメリカを舞台に、各地を旅する退役軍人の男が、孤独な少女との旅路を通じて心を通わせていく姿を描いた人間ドラマ。主人公キッド役をハンクスが務め、ジョハンナをドイツ出身の新星ヘレナ・ゼンゲルが演じる。原作は、全米図書賞の最終候補に選出されたポーレット・ジルズのベストセラー小説。

ニュースの読み伝えをしながら旅をする男と、孤独な少女の姿を描いた本作。南北戦争後の殺伐としたアメリカ西部テキサスで生きる孤独な男と少女が出会ったことから物語は始まります。ポール・グリーングラス監督作品にしては壮大な荒野を舞台にしているが少々地味な印象を受けましたが、人間の感情を丁寧に描いている印象も同時に受けました。戦争で受けた心の傷や、大切な人の失った悲しみ。誰もが痛みや苦しみを抱えながら生きていかなければならない時代に、主人公のキッドと、2度も家族を殺された少女ジョハンナは互いに似たような心の傷を抱えているようで惹かれるものがあったのだろう。過去は忘れなければならないという考えのキッド。過去を振り返りながらも前を向いて歩いていくべきという考えのジョハンナ。ジョハンナを守ってあげていたキッドだったが、いつのまにかジョハンナに守られていた部分があったように見えました。多くのものを失ったけど、一緒に旅していく中で失ったものを補っていく関係って素敵じゃないか。
キッドとジョハンナの感情が理解しづらい部分もあったし、ジョハンナの背景も詳しくは描かれていないので、もう少し説明が欲しかったところ。アクションシーンは中盤の銃の撃ち合いシーンくらいで全体的には淡々とした映画でした。オチは予想通りだし最後まで盛り上がるシーンというのは無かったけど、言葉が無くても互いの痛みを理解できる関係でいられたキッドとジョハンナがとても素敵に思えました。支え合いながら生きていくことの大切さや、人間の生きる力というものを感じられました。安定のトム・ハンクス。そしてジョハンナ役のヘレナ・ゼンゲルちゃんの演技が素晴らしかった!

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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ミッドウェイ

2021年02月13日 17時41分01秒 | 映画評論マ行

製作年:2019年
製作国:アメリカ
日本公開:2020年9月11日
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:エド・スクライン,パトリック・ウィルソン,ルーク・エヴァンス,豊川悦司
映画『ミッドウェイ』公式サイト

山本五十六(豊川悦司)、山口多聞(浅野忠信)、南雲忠一(國村隼)率いる日本軍の艦隊が真珠湾を攻撃する。戦艦エンタープライズの艦長ハルゼー(デニス・クエイド)は、パイロットのディック(エド・スクライン)と彼の隊に日本軍艦隊の追跡を命じた。アメリカ軍のニミッツ最高司令官(ウディ・ハレルソン)とレイトン少佐(パトリック・ウィルソン)は、次の戦闘に備えるため日本軍の戦略を分析し、やがてミッドウェイで両軍が激突する。
太平洋戦争を題材にした戦争ドラマ。真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦に至るまでを、日米の軍人たちを通して描く。監督は『インデペンデンス・デイ』シリーズなどのローランド・エメリッヒ。『トランスポーター イグニション』などのエド・スクライン、『死霊館』シリーズなどのパトリック・ウィルソン、『ゾンビランド』シリーズなどのウディ・ハレルソン、『僕のワンダフル』シリーズなどのデニス・クエイドに加え、日本からは豊川悦司、浅野忠信、國村隼らが出演する。

太平洋戦争を舞台にした日本とアメリカの攻防戦を描いた戦争ドラマ。歴史にあまり詳しくない僕ですが、予備知識が無くてもほぼ大丈夫でした。物語は日本軍が真珠湾へ奇襲攻撃から始まります。巨匠ローランド・エメリッヒ監督が描く真珠湾攻撃のシーンやミッドウェイ海戦のシーンはCGバレバレの場面はあるものの、戦闘機で急降下するシーンなど、全体的には迫力があって楽しめました。アメリカの視点から描かれていることに日本人の僕が見るのはどうなのかと思っていましたが、日本側の戦略であったり、自国を守ろうとする男たちの想いも感じられて良かったです。戦争シーンばかりでなく、アメリカ兵とその家族にもスポットを当てていて、大切な人の残して戦地へ向かう男たちの姿がとても印象的でした。アメリカ人が日本をそんなに恐れていたことも意外でした。知らないことも多々あってとても勉強になりました。戦いの結末を知っていながらも、刻一刻と変わっていく情勢にドキドキしてしまいました。史実を描いているのでエンタメ性は低いかもしれません。日本側の特攻隊の若者たちなども細かく描いてくれていたら、もっと感情移入できたかなと思います。アメリカ側のパイロットがたくさん登場するので顔の区別がつかなくて途中でちょっと混乱しました(笑)
どうしても日本が悪者のような扱いで描かれていたり、日本が負けたという事実を描いていることに不快感を感じる人もいるかもしれませんが、戦争の悲惨さ、そしてアメリカと日本、この戦いでどちらの国でも多くのかけがえのない命が失われた歴史を知ると同時に、二度と戦争などしてはならないと改めて感じました。観て良かった映画でした。気になったのはミッドウェイで映画撮影しようとした監督さん。あの人は何者??

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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2021年02月12日 15時06分52秒 | 映画評論ア行

製作年:2020年
製作国:日本
日本公開:2020年8月21日
監督:瀬々敬久
出演:菅田将暉,小松菜奈,山本美月,高杉真宙,倍賞美津子,成田凌,斎藤工,榮倉奈々
映画『糸』公式サイト

北海道で暮らす13歳の高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)は、互いに初めての恋に落ちるが、ある日突然葵の行方がわからなくなる。彼女が養父の虐待から逃れるために町を出たことを知った漣は、夢中で葵を捜し出し駆け落ちしようとする。だがすぐに警察に保護され、葵は母親と一緒に北海道から出て行ってしまう。それから8年、漣は地元のチーズ工房に勤務していた。
中島みゆきの楽曲「糸」を基に描くラブストーリー。『アルキメデスの大戦』などの菅田将暉と『さよならくちびる』などの小松菜奈が主演し、日本やシンガポールを舞台に、平成元年生まれの男女の18年を映し出す。『ヘヴンズ ストーリー』などの瀬々敬久が監督を務める。『スマホを落としただけなのに』などの平野隆が原案と企画プロデュース、『永遠の0』などの林民夫が脚本を担当した。

中島みゆきの名曲「糸」を基にしたラブストーリー。離れても人はどこかで繋がっていて再び巡り会える。平成元年に生まれた男女が平成の終わりに再び出会うという、まぁ王道のストーリーで、「こうなるんだろうなぁ」と分かっていながらも「糸」が劇中で流れ始めると何故か感動してしまうから不思議だ。愛して、裏切られて、信じて、傷付いて…主人公の漣と葵が、それぞれ色んな出会いや別れを経験して、それでも互いに惹かれ合って見えない糸で繋がっていく展開は意外にも感動する場面も多かったです。「泣いてる人がいたら抱きしめてあげなさい」のシーンが個人的にはグッときたところ。
菅田将暉も小松菜奈も演技が良かったし、贅沢に主役級の俳優たちが脇役で出演しているおかげなのかもしれない。ラーメン屋に行ってトッピング全部乗せを注文したようなエピソードの多さと出演者の豪華さでした。18年間を2時間で描いているので1つ1つのエピソードが少々駆け足になってしまっていたのは仕方ないか。ていうか、冷静に考えたら何で相手の連絡先を知らないの!?とツッコミたくなりました。それを言ったらダメなんだけどさ…美瑛に行きたくなりました。そういえば最近ドングリ見てないな~

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プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵

2021年02月11日 11時07分28秒 | 映画評論ハ行

製作年:2020年
製作国:イギリス/オーストラリア
日本公開:2020年9月18日
監督:フランシス・アナン
出演:ダニエル・ラドクリフ,イアン・ハート,ダニエル・ウェバー
映画『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』公式サイト

南アフリカ。白人でありながら、反アパルトヘイト組織であるアフリカ民族会議(ANC)の隠密作戦に参加したためにプレトリア刑務所に投獄されたティム・ジェンキン(ダニエル・ラドクリフ)とスティーブン・リー(ダニエル・ウェバー)。最高レベルの警備体制が敷かれる所内で脱獄の手段を模索するティムたちは、木片を集めて作った鍵で出口までの扉を一つずつ解錠しようとする。木製鍵を次々と作成する二人だが、看守の監視の目が厳しくなっていく。
『ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡』などのダニエル・ラドクリフらが出演した、実話をベースのスリラー。南アフリカのアパルトヘイトに反対して投獄された男たちが、脱獄に挑む。メガホンを取るのはフランシス・アナン。『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』などのイアン・ハート、『デンジャー・クロース 極限着弾』などのダニエル・ウェバーのほか、ネイサン・ペイジ、スティーヴン・ハンターらが共演する。

アパルトヘイトに反対して投獄された男たちが、脱獄に挑む実話を基にしたスリラー。実話ということには驚きましたが、刑務所での暴力的なシーンはほとんど無いので意外とあっさりしています。脱獄劇というと、やはり思い浮かべてしまうのが海外ドラマの「プリズンブレイク」でしょう。どうしても比べてしまうので、本作の地味さが目立ってしまいました。しかし地味ながらも、ドキドキ感はあり、備品倉庫に隠れたり、次々と鍵を開けていく展開だったり、脱獄の緊張感を感じられました。木で鍵を作るという発想が凄いし、手の器用さや記憶力や運の良さも、ティムも頭の回転の速さに驚きました。まぁあの時代だからこそ出来た脱獄かなと。今じゃ監視カメラだらけだろうから無理でしょう。そして状況は違うけど掴みにくいツマミってあるよね!!(笑)
当時の南アフリカでは差別を無くそうとした白人に対しても、このような酷い仕打ちをする時代があったなんて、とても勉強になりました。欲を言えばもう少し登場人物たちの背景を描いてくれたらと思いましたが…。

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青くて痛くて脆い

2021年02月10日 09時54分55秒 | 映画評論ア行

製作年:2020年
製作国:日本
日本公開:2020年8月28日
監督:狩山俊輔
出演:吉沢亮,杉咲花,岡山天音,松本穂香,清水尋也,森七菜,茅島みずき
映画『青くて痛くて脆い』公式サイト

大学生の田端楓(吉沢亮)は人との付き合いが下手で、秋好寿乃(杉咲花)は無遠慮な発言で周りから浮いていた。お互いひとりぼっちの二人は世界を救うというとんでもない目標を合言葉に秘密結社サークル“モアイ”を結成するが、寿乃が“この世界”からこつ然と姿を消す。そしてモアイは、彼女がいなくなってからただの就活サークルに変貌する。
「君の膵臓をたべたい」がアニメや実写映画になったベストセラー作家、住野よるの小説を映画化した青春サスペンス。大事な相棒と居場所を取り上げられた青年が、負のパワー全開で復讐(ふくしゅう)に燃える様子を活写する。主演を務めるのは『キングダム』などの吉沢亮と、『湯を沸かすほどの熱い愛』などの杉咲花。吉沢はこれまで演じたことのない役柄に挑み、杉咲は原作のファンだと語っている。

大事な居場所を奪われた青年が、復讐に燃える物語。ひとりぼっと同士の楓と秋好がサークル"モアイ”を立ち上げたことから、物語は始まります。前半はある程度予想通りの展開でしたが、後半になると先が読めない展開が続きました。若者に限らず、ちょっとした言い間違いや勘違いで相手を傷付けてしまったり自分が傷付いたりすることがある。それが時には憎しみや怒りに変わってしまうことも。その脆さや痛々しさが人間って繊細で弱い生き物だなと改めて考えさせられました。それと同時に、自分の接し方が相手を不快にさせていないかと考えてしまったり。楓の気持ちもよく分かるし、秋好も気持ちも分かる。自分のイメージ通りにならないと、その先を見るのが怖くて傷つきたくないから怖気づいてしまったり、逃げ出したり、相手にキツい言い方をしてしまったり。自分ばかり守ろうとしていたら何も変わらない。楓が自分の想いや考えを不器用ながらも伝えようとした終わり方は、希望が見えて良かったと思います。10代の時に観ていたらもっと心に響いてたのかなぁ。まぁ男女で考え方って違うものだし、楓も秋好も反省すべきところはある。
吉沢亮くらい顔が整っていると、真顔になった顔が怖かった(笑)人間の不器用さを感じられる映画でした。

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ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ

2021年02月09日 18時44分03秒 | 映画評論ヤラワ行

製作年:2019年
製作国:アメリカ
日本公開:2020年10月9日
監督:ジョー・タルボット
出演:ジミー・フェイルズ,ジョナサン・メジャース,ロブ・モーガン
ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ/公式サイト

サンフランシスコ。祖父が建て、家族と暮らしていたことのある瀟洒(しょうしゃ)なビクトリアン様式の家に深い思い入れのあるジミー(ジミー・フェイルズ)は、観光名所となったその家を現在の家主が売りに出したことを知る。もう一度、そこに住むことをかなえようと駆けずり回る中、ジミーは家族や常に自分を支えてくれる親友モント(ジョナサン・メジャース)の存在のありがたみや大きさを噛み締めていく。やがて、財産を持たずとも守りたい大切なものが心の中にあるだけで人生は悪くないと思うようになる。
サンフランシスコを舞台にしたヒューマンドラマ。かつて家族で住んでいた家を買い戻そうと奔走する男の姿を通し、街の変容が人々から奪っていくものや家族の絆などを見つめる。メガホンを取るのはジョー・タルボット。ジミー・フェイルズが主演を務め、『囚われた国家』などのジョナサン・メジャース、『黒い司法 0%からの奇跡』などのロブ・モーガン、ダニー・グローヴァーらが脇を固めている。

サンフランシスコを舞台に、主人公の黒人青年がかつて住んでいた家を買い戻そうと奔走する姿を描いた本作。生まれ育った思い入れがある家が誰かのモノになったり、取り壊されたりされないように青年ジミーが駆けずり回る姿を見て、家族との思い出の場所が無くなってしまう切なさだったり、故郷を懐かしむ気持ちに、誰もが共感できると思います。ジミーと親友モントの、互いを支え合う関係も素敵です。信じたい気持ちと信じたくない気持ち。"嘘を本当のことのように自分に言い続けていると、その嘘が本当のことのように思ってしまう”という言葉のように、誰だって現実から目を背けたくなることがある。そんな時に見るべき方向を修正してくれるモントのような親友がいるって、家やお金以上に幸せなことだと思いました。場所やモノに執着しなくても近くに幸せがあるのだと。差別、貧困問題を扱ってはいるものの、どちらかと言えば人と人との絆を軸に描かれていて、心温まる映画です。サンフランシスコの歴史や時代背景や社会問題を勉強していたら、さらに共感できたかなと思います。冷静に考えたら「住居侵入と不法占拠なのでは?」と思ったけど気付かなったことにしよう。カメラワークが素敵でした♪
でも誰だって、いま住んでる街に嫌だと思うことや引っ越したいと思うことがあるのは仕方ないんだよ(笑)この街を憎まないで。

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カセットテープ・ダイアリーズ

2021年02月08日 22時17分12秒 | 映画評論カ行

製作年:2019年
製作国:イギリス
日本公開:2020年7月3日
監督:グリンダ・チャーダ
出演:ロナック・チャーダ・バージェス,ビリー・バラット,ヴィヴェイク・カルラ
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』公式サイト

1987年のイギリス。ルートンという町に住むパキスタン系のジャベド(ヴィヴェイク・カルラ)は、家庭のルールや伝統、人々が持つ移民に対する偏見から解放されたいと思っていた。ウォークマンでペット・ショップ・ボーイズを聴いていたジャベドはある日、ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会う。彼は、鬱屈した気持ちを吹き飛ばすような楽曲に夢中になる。
ジャーナリスト、サルフラズ・マンズールの回顧録をベースにした青春ドラマ。イギリスの町で生活しているパキスタン系の高校生が、ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会う。メガホンを取るのは『英国総督 最後の家』などのグリンダ・チャーダ。ヴィヴェイク・カルラ、クルヴィンダー・ギールのほか、ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」などのディーン=チャールズ・チャップマンらが出演した。スプリングスティーン自身の協力のもと、未発表曲を含めた楽曲が多く使用されている。

イギリスの町で暮らす高校生が、ある音楽に出会ったことで成長していく物語。ブルース・スプリングスティーン…すいません存じ上げませんでした。しかし主人公のジャベドが恋人と過ごす時も、家庭や学校で苦しみ悩んでいる時も、常にブルース・スプリングスティーンの音楽が傍に合って、その歌詞がジャベドの心情と見事に合っていて彼を救い続けていたのだと思うと、音楽の力って確かにあるのだと感じました。ブルース・スプリングスティーンの歌詞がジャベドの怒りや悲しみを代弁していて、出来過ぎでしょと思うくらい歌詞とマッチしているのです。「あぁ!ウォークマンにカセット入れて聴いてた!」と懐かしさがこみ上げてきました(笑)
自分の夢を叶えるために努力するのは当たり前。だけど宗教や思想、人種が違うだけで、阻止する人間が現れる。夢を叶えることが出来ない。父親はジャベドに「現実を見ろ。出来るはずがない」と言います。最初は「この父親って酷いなぁ」と思っていましたが、父親自身も差別を受けた経験があるからこそ、自分の子供たちには現実的に生きて欲しいと願うのです。ジャベドの気持ちも理解できるし、父親の気持ちも理解できなくもない。思春期ならではの悩みだったり、親へ反抗してしまう気持ちだったり、好きな人を想う気持ちだったり、友達と上手くいかない辛さだったり…多感な年頃だからこそ全部を吸収しようとしてそれを上手く整理できなくなってしまう。ジャベドを見ていると共感できるポイントがきっと見つかると思います。移民というだけで受ける差別や壁を乗り越えて、ジャベドが本当に大切な人、大切なことに気付けたことに感動しましたし、周囲の人に目を向けたり、周囲の人の声に耳を傾けられる人間こそ"立派でカッコイイ人間”と言えるのだろう。彼に寄り添い続けてくれた音楽に感謝です。多少の脚色はされているだろうけどこれが実話だなんて素敵です♪

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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レ・ミゼラブル

2021年02月07日 13時56分19秒 | 映画評論ヤラワ行

製作年:2019年
製作国:フランス
日本公開:2020年2月28日
監督:ラジ・リ
出演:ダミアン・ボナール,アレクシ・マナンティ,ジブリル・ゾンガ
映画「レ・ミゼラブル」公式サイト

ヴィクトル・ユーゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台として知られるパリ郊外のモンフェルメイユには低所得者や移民たちが多く暮らしており、治安が悪かった。新たに犯罪防止班に加わった警察官のステファンは、同僚たちとパトロールするうちにいくつものグループが一触即発の状態だと気づく。
第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した衝撃作。犯罪が多発しているパリ郊外の地域を舞台に、少年が起こした小さな事件が思いがけない展開を見せる。ダミアン・ボナール、アレクシ・マナンティ、ジブリル・ゾンガのほか、『バルバラ ~セーヌの黒いバラ~』などのジャンヌ・バリバールらが出演。ラジ・リ監督が、自身の体験も織り交ぜながら描いた。

世界的大ヒット作の「レ・ミゼラブル」ではない方の「レ・ミゼラブル」です。しかし昨年の第92回アカデミー賞ではフランス代表として国際長編映画賞にノミネートされてます。まぁ昨年は「パラサイト 半地下の家族」が全て持っていっちゃいましたけどね。
話を戻します。犯罪が多発している小説「レ・ミゼラブル」の舞台でもあるパリ郊外のモンフェルメイユの町の警察署に転勤してきた警察官のステファン。町に住んでいる少年イッサが起こした出来事から、ステファンたちを巻き込んだ取り返しのつかない騒動に発展していくのです。白人と黒人、大人と子供、警察と民衆。それぞれの対立が怒りや憎しみ、悲しみの連鎖を生んでいくのです。人種、貧困、差別、宗教を話し合って解決なんて無理なのかもしれない。暴力には暴力を…暴力で全てを抑えつけようとする。こんな事を繰り返していたら平和が訪れるわけがないとは思うのですが、だからといって何が正解なのか分からない複雑な気分に観ていてなりました。ラストシーンも「ここで終わるのか!?」というところで映画は終わりますが、やはり最後まで観ている側に結末を委ねてるのがこの映画の良いところ。誰が正しいとか何が正しいなんて、正解なんて本当は1つも無いのかもしれない…。絶望感と悲壮感を漂わせた子供たちの表情が切なかったです。あんな事を経験して彼はどんな大人になるのだろう…
"世の中には悪い者も悪い草もない。育てる者が悪いのだ”という最後のメッセージ全てを物語っていると思います。とても観るのが辛い映画ですが観て良かった映画でした。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
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パブリック 図書館の奇跡

2021年02月06日 15時51分53秒 | 映画評論ハ行

製作年:2018年
製作国:アメリカ
日本公開:2020年7月17日
監督:エミリオ・エステヴェス
出演:アレック・ボールドウィン,エミリオ・エステヴェス,ジェナ・マローン
映画『パブリック 図書館の奇跡』公式サイト

記録的な大寒波により凍死者が続出する中、満杯の緊急シェルターに入れなかったホームレスの集団が図書館のワンフロアを占拠。彼らの境遇を心配した図書館職員のスチュアート(エミリオ・エステヴェス)は、代わりの避難場所を求めてデモを始めたホームレスたちと行動を共にする。しかし、メディアの報道などでスチュアートは危険人物に仕立てられ、さらには警察の機動隊が出動する騒ぎへと発展していく。
行き場を失ったホームレスたちの避難所と化した図書館で起こる騒動を描くヒューマンドラマ。俳優のみならず『ボビー』などで監督としても活動するエミリオ・エステヴェスが、現代社会の過酷な現実を背景に心温まる人間模様を紡ぐ。ある新聞記事を題材に約11年の歳月をかけて完成させたエミリオが主演も務め、『ブルージャスミン』などのアレック・ボールドウィン、『トゥルー・ロマンス』などのクリスチャン・スレイター、『バスキア』などのジェフリー・ライトらが共演する。

大寒波によって行き場を失ったホームレスと、彼らを助けようとする図書館職員との交流と騒動を描いた本作。コロナ禍だからなのか、今の日本でも行き場を失ってホームレスになった人が大勢いるんだろうなと色々と思うことが多かったです。自身も過ちを犯した過去があるスチュアートだからこそ、ホームレスたちの気持ちが理解できたのだろう。警察や上司の説得よりも、ホームレスたちを第一に考えて行動できるスチュアートは本当に凄い人だと思いました。シェルターが必要なのに増えない…。色々な壁はあるけれど、弱者や救われるような社会になってほしい。立場が違えども、助け合う社会になってほしい。偏見や差別のメッセージが詰まっています。スチュアートも良い人なんだけど、館長も行動力があって素敵でした。
ただし、実話を基にしているせいか、途中で多少の騒動はあるものの図書館の中だけで立てこもっているだけの話なので全体的に盛り上がりに欠けていて淡々としています。テレビ番組で生中継っていうのも、ちょっと過剰演出?もっと感動できるかなと期待しましたが、"まぁ良い話だね”くらいの感動に留まりました。もう少し登場人物たちの関係性の説明が欲しかったかな。最後の全裸抗議は唐突でちょっと動揺しました(笑)奇跡と言うほど奇跡は起きなかった気がする…。
てか図書館職員の人って日々、あんな無謀な質問を受けてるの!?(笑)

この作品の評価・・・・★★★★★☆☆☆☆☆(満点は★10)
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リスタートはただいまのあとで

2021年02月05日 14時21分06秒 | 映画評論ヤラワ行

製作年:2020年
製作国:日本
日本公開:2020年9月4日
監督:井上竜太
出演:古川雄輝,竜星涼,村川絵梨,佐野岳,中島ひろ子,甲本雅裕
映画『リスタートはただいまのあとで』

上司に人間性を否定された光臣(古川雄輝)は10年ぶりに帰った田舎で、近所の農園の養子である大和(竜星涼)と出会う。なれなれしい大和をウザいと思っていた光臣だったが、農園を手伝うことになり、落ち込む自分を優しく励ましてくれる大和を大切な存在として意識するように。ある夜、2人は酔いつぶれ、目覚めた光臣は寝ている大和に思わずキスをしてしまう。
男子同士の純愛を描いたココミによるコミックを、古川雄輝と竜星涼の主演で描くボーイズラブ作品。撮影が行われた長野県千曲市と上田市の美しい自然を背景に、都会の生活に疲弊して10年ぶりに田舎に帰ったツンデレ男子が、手伝いに行った農園で心優しい男子に惹(ひ)かれていく。メガホンを取るのは、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』『パーフェクトワールド 君といる奇跡』などの企画・プロデュースを手掛け、本作が長編映画監督デビューとなる井上竜太。


仕事が上手くいかずに実家に帰ってきた青年と、農園を手伝う青年との間に芽生える恋心を描いたボーイズラブ作品。ボーイズラブとは言ったものの、BL要素は少なく、どちらかと言えば人生をやり直そうとする人々の姿を描いたヒューマンドラマになっています。主演の2人の爽やかさが絵になるので、ラブシーンも違和感がありません。まぁお2人とも綺麗な顔してらっしゃる!!
会社で人格を否定されて心が折れてしまった光臣。彼は"父親の仕事を継いでやってもいい”という軽い気持ちで長野県の実家に帰ってくるのです。もちろんそんな軽い気持ちで継いでほしくない父親。そんな中、農園の手伝いをしている養子の大和と出会い、今まで自分でも気付かなかった感情が芽生えてくるのです。"今の状況を変えたい!”"何かしないといけない”と分かっているのに何をすればいいのか分からない光臣にとって、何気ない日常の生活こそが幸せなのだと教えてくれる大和の存在は大きかったのだろう。恋愛を描いているだけでなく、家族の繋がりであったり、自分の生き方は自分で決めるというメッセージが込められているのも好印象。思っていたよりもライトな恋愛映画、BL映画だったので、ちょっと淡々とし過ぎていた感は否めない。
長野の美しい田舎の風景に癒されました。でも中盤のシーンでの手ブレの酷さには笑ってしまいました(笑)

この作品の評価・・・・★★★★★☆☆☆☆☆(満点は★10)
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