製作年:2020年
製作国:アメリカ
日本公開:2021年3月26日
監督:クロエ・ジャオ
出演:フランシス・マクドーマンド,デヴィッド・ストラザーン,リンダ・メイ
ノマドランド|映画|サーチライト・ピクチャーズ
アメリカ・ネバダ州に暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業の倒産で住み慣れた家を失ってしまう。彼女はキャンピングカーに荷物を積み込み、車上生活をしながら過酷な季節労働の現場を渡り歩くことを余儀なくされる。現代の「ノマド(遊牧民)」として一日一日を必死に乗り越え、その過程で出会うノマドたちと苦楽を共にし、ファーンは広大な西部をさすらう。
ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション小説を原作に、「ノマド(遊牧民)」と呼ばれる車上生活者の生きざまを描いたロードムービー。金融危機により全てを失いノマドになった女性が、生きる希望を求めて放浪の旅を続ける。オスカー女優フランシス・マクドーマンドが主人公を演じ、『グッドナイト&グッドラック』などのデヴィッド・ストラザーンをはじめ、実際にノマドとして生活する人たちが出演。『ザ・ライダー』などのクロエ・ジャオがメガホンを取り、第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で金獅子賞を獲得した。
本年度アカデミー賞でも最有力とも言われている本作。車上生活を送る女性の姿を描いたロードムービー。ノマドとしての生活。そしてファーンが何故ノマドという生活を選んだのかが描かれています。車上生活というのは一人で生きているように見えて、実は周囲の人々に支えられながら生きている。プライバシーや犯罪防止のために隣人との交流が全くない今の社会において、人との繋がり肌でを感じられるノマドとは本当は理想的な生き方なのかもしれない。場所を変えて、仕事を変えて、その時にその環境に順応しながら生きていくファーンたち。ノマドという生活は“さよなら”が無い。またどこかで、また数年後、“また今度”会えるのだから悲しみも寂しさも無い。悲しみや孤独を抱えながらも、時には助け、時には助けられながら“いま、生きてる!”って感じながら生きたい。自分が死ぬ時に後悔しない生き方をしているノマドの人たちが羨ましくも感じました。そしてノマドという生き方も1つの選択肢であることは間違い無いと確信しました。何度も何度も救いの手が差し伸べられているのに、ファーンがそれを断って車上生活を選ぶのには、疑問に思う一方で、それだけの決心があるのだと納得してしまう。自分だったらどういう選択をするか…観ていて色々と考えてしまった。ファーンの心境が丁寧に描かれていて、過去を見つめ直し、過去との決別をする彼女の姿が印象的でした。
エンターテイメント作品ではなくアメリカの大自然の風景が印象的なドキュメンタリーのような淡々とした物語なのに不思議と惹かれてしまうような作品でした。今のアメリカ社会の一部分を見れたような気がして、とても考えさせられる1本でした。
でもやっぱり家があって、安定した仕事の収入が欲しいと思ってしまう僕は、まだまだ未熟な人間なのだろうか…。ずっとは辛いけど、1週間ぐらいなら経験してみたくなった。
この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)