股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

関心領域

2024年05月31日 16時12分44秒 | 映画評論カ行

製作年:2023年
製作国:アメリカ/イギリス/ポーランド
日本公開:2024年5月24日
監督:ジョナサン・グレイザー
出演:クリスティアン・フリーデル,ザンドラ・ヒュラー

映画『関心領域 The Zone of Interest』オフィシャルサイト

監督・脚本:ジョナサン・グレイザー  原作:マーティン・エイミス 撮影監督:ウカシュ・ジャル 音楽:ミカ・レヴィ 出演:クリスティアン・フリーデル、サンドラ・フラー

映画『関心領域 The Zone of Interest』オフィシャルサイト

 


ナチスドイツ占領下にあった1945年のポーランド。アウシュビッツ強制収容所で所長を務めるルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)と妻のヘドウィグ(ザンドラ・ヒュラー)は、収容所と壁を隔てたすぐ隣の家で暮らしていた。収容所からの音や立ち上る煙などが間近にありながら、一家は満ち足りた日常を送っていた。
第2次世界大戦下のアウシュビッツ強制収容所所長とその家族を描いたマーティン・エイミスの小説を原案にした歴史ドラマ。収容所の隣で穏やかに暮らすルドルフ・ヘス所長一家の姿を通して、それとは正反対の収容所の残酷な一面を浮かび上がらせる。監督は『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』などのジョナサン・グレイザー。出演は『ヒトラー暗殺、13分の誤算』などのクリスティアン・フリーデルや『落下の解剖学』などのザンドラ・ヒュラーなど。

第96回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した本作。アウシュビッツ強制収容所の隣に住む一家の物語。冒頭は真っ黒な映像が数分続き、そこから一変して青空の下でピクニックをする家族の姿から始まります。川で泳ぎ、プールも庭も温室もある豪邸に住み、食べ物も着る物も困らない。一見すると幸せな家族の映像にしか見えないが、その隣には確かにアウシュビッツ強制収容所。壁1枚隔てた隣では悲鳴、銃声、煙が…。洋服を分け合ったり、毛皮のコートや、流れてくる白い灰など時折感じる“見えない恐怖”を感じさせる演出は見事でした。
希望と絶望。天国と地獄。関心と無関心。異様な環境にいても、そこにずっと居続ければ慣れてしまう。それこそ無関心になってしまう人間の心理が伝わってきました。ルドルフ一家も決して冷酷非道な人間というわけじゃなく、環境に慣れてしまったからこそ、無関心な人間になってしまった。そういえば自分も以前、住んでいたマンションの真横が線路で、最初はうるさくて気になっていたけど、それも慣れてくると窓を開けたまま寝れるくらいになっていた。慣れって恐ろしい。
あまりにもルドルフ一家が平和な日々を送っていて、観ているこちらはウトウトしてしまうほどでした。隣に収容所があることを忘れてしまうほど。たしかに戦争もない平和な生活を日々過ごしていると世界で起きている戦争なんて他人事のように感じてしまう時がある。「あっ、これが無関心になるということか…」と気付かされました。この淡々とした退屈さえ感じる演出がこそが監督の狙いだったのかもしれないと思うと、この映画は奥が深い。
最後のヘスの嘔吐はどんなメッセージが込められていたのかが気になる…

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
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怪物の木こり

2024年05月25日 16時55分45秒 | 映画評論カ行

製作年:2023年
製作国:日本
日本公開:2023年12月1日
監督:三池崇史
出演:亀梨和也,菜々緒,吉岡里帆,柚希礼音,染谷将太,中村獅童

映画『怪物の木こり』公式サイト

2024.4.24 ブルーレイ&DVDリリース/2024.3.27 先行デジタル配信スタート(順次配信開始)「このミス大賞」受賞 “サイコパスVSシリアルキラー”超刺激サスペンス映画化!亀...

 


絵本「怪物の木こり」に登場する怪物の仮面をかぶり、おので頭を割って脳を奪い去る猟奇殺人事件が続発する。次の標的として弁護士・二宮彰(亀梨和也)が狙われるが、彼は殺人鬼を上回るほど狂気じみたサイコパスだった。一命を取り留めた彰は復讐を誓い、自ら犯人を突き止めようとするが、警視庁のプロファイラー・戸城嵐子(菜々緒)らさまざまな者たちの思惑が絡み合い、捜査は混迷する。
「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した倉井眉介の小説を映画化。連続猟奇殺人鬼に命を狙われたサイコパス弁護士が、殺人鬼を返り討ちにする機会をうかがう。『藁の楯 わらのたて』などの三池崇史が監督、同作にも携わった小岩井宏悦が脚本を担当。目的のためには殺人も辞さない主人公を『ジョーカー・ゲーム』などの亀梨和也が演じ、『七人の秘書』シリーズなどの菜々緒、『見えない目撃者』などの吉岡里帆のほか、堀部圭亮、渋川清彦、染谷将太、中村獅童らが出演する。

連続猟奇殺人鬼vsサイコパス弁護士の死闘を描いたサイコスリラー。ストーリーや設定、場面の雰囲気は良い。役者陣も豪華。サイコパスは育った環境、出会った人によって形成されていくものだと思っていたが、怪物もサイコパスも良い人も、紙一重。ちょっとしたキッカケで、何かのスイッチで、許すこと許せぬことで、誰もが凶行に走ってしまう、人間の脆さのようなものを感じました。
しかしながら猟奇的さが物足りないというか、三池監督らしさが弱いというか、せっかく面白い世界観なのだから、R-18指定レベルのぶっとんだ作りにしてほしかった。血飛沫もリアルさに欠ける。終わり方も落ち着いた感じがして物足りない感じ。亀梨くん、イケメンなんだけどサイコパス感が弱いんだよなぁ…。染谷将太のほうがやっぱり演技が上手いというかサイコパス感がある。東間事件の夫婦を題材にしたほうがもっと面白く出来た気もする。

この作品の評価・・・・★★★★★☆☆☆☆☆(満点は★10)
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ミッシング

2024年05月19日 23時43分20秒 | 映画評論マ行

製作年:2024年
製作国:日本
日本公開:2024年5月17日
監督:吉田恵輔
出演:石原さとみ,中村倫也,青木崇高,森優作,有田麗未,小野花梨

映画『ミッシング』公式サイト|大ヒット上映中!

主演:石原さとみ×監督・脚本:𠮷田恵輔 × 企画:スターサンズ。マスメディアやSNSに溢れかえる情報という名の「人間の本音」。狂い切った世の中を斬る、衝撃の社会派エンタ...

 


沙織里(石原さとみ)の娘・美羽(有田麗未)が失踪して3か月。沙織里は世間が事件への関心を失っていくことに焦り、夫の豊(青木崇高)との間にも溝ができ、二人は言い争うことが増えていた。そんな中、美羽の失踪時に沙織里がアイドルのライブに行っていたことが露見し、彼女はインターネット上で誹謗中傷を受けるようになる。
『ヒメアノ~ル』『BLUE/ブルー』などの吉田恵輔監督がドラマ「アンナチュラル」などの石原さとみを主演に迎えたヒューマンドラマ。失踪した娘を捜す母親が焦りや怒り、夫婦間の溝、インターネット上での誹謗中傷などにより心をむしばまれていく。青木崇高や森優作、有田麗未などが共演する。

吉田恵輔監督の最新作。吉田恵輔監督の作品が本当に好きだ。本作を観て改めて思った。
予想以上に重い話でした。行方不明になった娘を捜す両親の姿を描いた本作。夫婦の苦悩だけでなく、マスコミとの関わり、ネットの誹謗中傷、事件の風化など、映画を観ながら複雑な感情になりました。ここ数年で実際に起きた行方不明事件を思い出し、帰りを待つ家族はこんな辛い想いをしているのかと思うと胸が苦しくなります。石原さとみの演技力の高さを見せつけられました。警察署の中で泣き叫ぶシーンが特に印象的というか凄まじい。そして苦しくも冷静さを保とうとする豊を演じた青木崇高もまた上手い。
誰が悪いのか…。もちろん犯人が悪いのだけど、自分のせいにして自分を傷付けたり、身近な人のせいにしたりして他人の傷付けたり…誰を責めても変わらないのに誰かを責めたくなる気持ちが沙織里から痛いほど伝わってきました。路上で喧嘩する男女、スーパーでヤクルト1000が売り切れていることに激怒する主婦。一見すると事件と全く関係ないのだけど、世の中はこれ程までに怒りや憎しみに満ち溢れているのかと考えると悲しくなってくる。
事件を取り上げてくれていたマスコミも、時間が経てば取り上げてくれなくなる。いたずら電話があったり、SNSでは夫婦への誹謗中傷ばかり。冷酷な人間ばかりの世の中に見えても、同じ苦しみを抱える弟であったり、見舞金を集める漁業組合の人たち、農家や印刷会社の人たち、ボランティアで集まってくれる人たちなど、優しい人たちはたくさんいることに、観ているこちらまで心が救われた感じがしました。
辛過ぎるシーンが続く内容でしたが、絶望の中に差す僅かな希望を感じられるシーンが唯一救われた瞬間でした。この作品がキッカケで少しでも世間が良い方向に変わって欲しい。

この作品の評価・・・・★★★★★★★★☆☆(満点は★10)
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アナログ

2024年05月16日 18時55分41秒 | 映画評論ア行

製作年:2023年
製作国:日本
日本公開:2023年10月6日
監督:タカハタ秀太
出演:二宮和也,波瑠,桐谷健太,浜野謙太,高橋惠子,リリー・フランキー

映画『アナログ』公式サイト

主演:二宮和也×ヒロイン:波瑠 会えるのは、木曜日だけ。僕が恋をしたのは、携帯を持たない君でした。好きだから、会いたい―いつの時代も変わらない“アナログ”な想いを描...

映画『アナログ』公式サイト

 


デザイナーの水島悟(二宮和也)は自身が内装を手掛けた喫茶店「ピアノ」で美春みゆき(波瑠)と出会う。手作りの模型や手書きのイラストなどにこだわる悟は、携帯電話を持たないみゆきに自分と似たものを感じる。悟とみゆきは、毎週木曜にピアノで会い、ゆっくりと距離を縮めていく。しかし、みゆきは突然店に姿を見せなくなる。
ビートたけしによる初の恋愛小説を、『ラーゲリより愛を込めて』などの二宮和也と『ホテルローヤル』などの波瑠の共演で映画化したラブストーリー。携帯電話を持たない女性と彼女に思いを寄せる男性が、毎週木曜日に同じ喫茶店で会うことを約束する。監督を『ホテル ビーナス』や『鳩の撃退法』などのタカハタ秀太が務める。

携帯電話を持たない女性と彼女に思いを寄せる男性のラブストーリー。内容的には王道な展開のラブストーリー。ヒロインが悲劇に見舞われる、よくある展開。スマホを持っていないなんて今の時代じゃ考えられないけど、昔は連絡手段なんて無かったわけだから、そう考えると昔の人はどうやって会っていたのだろうか。待ち合わせ場所にいなかったらジエンドじゃん。そんな事を考えながら鑑賞してました。まさにアナログな男女の恋愛模様は、不便ながらもお互いの信頼関係があってこそ成り立つものだと感じました。糸電話はさすがにちょっと…って思いましたが(笑)良い人しか登場しないし、話が綺麗すぎるので、何か刺激的で新鮮な展開があったら良かったなと思いました。良い話だけど泣けるほどではなかった。
というか今どきスマホ持っていない人なんているのだろうか…。行ける、行けないの連絡すら出来ない関係なんて面倒に感じそう。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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こんにちは、母さん

2024年05月14日 19時34分42秒 | 映画評論カ行

製作年:2023年
製作国:日本
日本公開:2023年9月1日
監督:山田洋次
出演:吉永小百合,大泉洋,永野芽郁,寺尾聰,宮藤官九郎,田中泯,YOU

映画『こんにちは、母さん』公式サイト

2024.2.21(水)Blu-ray&DVD発売!デジタル配信開始!山田洋次×吉永小百合×大泉洋が贈る「母と息子」の新たな出発の物語!

 


大会社の人事部長である神崎昭夫は、職場では常に神経をすり減らし、家では妻との離婚問題や大学生の娘との関係に頭を抱える日々を送っていた。そんなある日、母・福江が暮らす下町の実家を久々に訪れた彼は、母の様子が変化していることに気づく。いつも割烹着を着ていた母は艶やかなファッションに身を包み、恋愛までしている様子。実家にも自分の居場所がなく戸惑う昭夫だったが、下町の住民たちの温かさや今までとは違う母との出会いを通し、自分が見失っていたものに気づいていく。
山田洋次監督が吉永小百合を主演に迎え、現代の東京・下町に生きる家族が織りなす人間模様を描いた人情ドラマ。同じく山田監督と吉永主演の「母べえ」「母と暮らせば」に続く「母」3部作の3作目にあたり、劇作家・永井愛の戯曲「こんにちは、母さん」を映画化した。

吉永小百合主演で描く"母3部作"の3作目。下町で繰り広げられるほのぼの人情ドラマ。仕事や家庭や、人間関係に悩む主人公が、周囲の人の温かさに触れていく物語。近所の人との繋がりが気薄になっている現代社会においては、神崎家のような家は珍しいだろうけど、母親の偉大さと愛情を感じられる、人の温かさを感じられる良いストーリーでした。何か大きな展開があるわけではないので、少し中だるみを感じてしまいましたが…。ほんわか、ほのぼの、ほわ~んって感じの作品でした。
悩みが尽きない人生だとしても前を向いて生きていく大切さ。年齢を重ねても、好きなことをして楽しく生きられるような人間になりたい。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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猿の惑星/キングダム

2024年05月13日 20時01分22秒 | 映画評論サ行

製作年:2024年
製作国:アメリカ
日本公開:2024年5月10日
監督:ウェス・ボール
出演:オーウェン・ティーグ,フレイヤ・アーラン,ケヴィン・デュランド

シリーズ完全新作 映画『猿の惑星/キングダム』|20世紀スタジオ公式

大ヒット上映中!『猿の惑星/キングダム』公式サイト。“今”から300年後の猿が支配する世界。進化は本当に彼らを選んだのか。神話的名作シリーズ『猿惑の惑星』完全新作!|...

20th Century Studios JP

 


ウイルスの流行により、地球の支配者が人間から猿へと変わった世界。独裁者のプロキシマス・シーザーにより村と家族を奪われたノア(オーウェン・ティーグ)は、かつて猿と人間が共存していたことを知る。ある日、ノアは人間の女性ノヴァと出会い、プロキシマス・シーザーたちが築こうとしている帝国に疑問を抱くようになる。
猿と人間の争いを描く人気シリーズの一作で、猿が支配者として君臨するようになった近未来を舞台とするSFアクション。家族を失った猿と秘密を知る人間の女性、そして人間を排除しようとする冷酷なリーダーを中心に、猿と人間の共存か猿の独裁かをめぐる争いが繰り広げられる。監督は『メイズ・ランナー』シリーズなどのウェス・ボール。『To Leslie トゥ・レスリー』などのオーウェン・ティーグやドラマシリーズ「ウィッチャー」などのフレイヤ・アーランらが出演する。

猿と人間の争いを描いたシリーズ最新作。「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」「猿の惑星:新世紀(ライジング)」「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」に続くシリーズ第4弾。前作からの話は続いていますが、前作から300年後という設定なので、シリーズ初見の人でも楽しめる内容になっています。とは言っても「シーザーって何者?」ってなるので。やっぱりシーザー主役の3部作は観ておいたのがさらに楽しめると思います。前作から6年ぶりの新作だったので冒頭シーンを観て「あれ?シーザーって死んだんだっけ?」って思ってしまった。
本作では人間vs猿というよりは猿vs猿。共存、共生というのは簡単ではない。それぞれの暮らしが、生き方が、立場が、考え方があるもの。人間だろうが猿だろうが、どの世界にも多様性があり、争いは尽きないものだと考えさせられる。しかしシーザー3部作が良かっただけに、今回の話は内輪的な感じにまとまってしまっていたのは惜しいところ。各キャラクターの描き方が弱い。まぁこれからどう話が広がっていくかによりますが…。映像が凄く綺麗。人間には希望が無い…ように思いましたが、ラストに僅かな希望が!誰が世界を征服するのか、メイが今後どう物語に絡んでくるのか、続編も楽しみです。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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春に散る

2024年05月08日 14時15分39秒 | 映画評論ハ行

製作年:2023年
製作国:日本
日本公開:2023年8月25日
監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市,横浜流星,橋本環奈,坂東龍汰,哀川翔,窪田正孝,山口智子

映画『春に散る』 公式サイト

人は何度でも輝ける―二人の男の再起をかけた感動ドラマ『春に散る』2023年公開

映画『春に散る』 公式サイト

 


不公平な判定で負けた後アメリカへ渡り、40年ぶりに帰国した元ボクサー・広岡仁一(佐藤浩市)は、偶然訪れた飲み屋で、自分と同じように不公平な判定で敗北し心が折れたボクサー・黒木翔吾(横浜流星)と出会う。人生で初めてのダウンを仁一に奪われたことで、翔吾はボクシングを教えてほしいと仁一に頼み込む。やがて二人は世界チャンピオンを目指し、共に夢を追いかけていく。
ドラマ化もされた「深夜特急」シリーズなどで知られる作家・沢木耕太郎の小説を、『ラーゲリより愛を込めて』などの瀬々敬久監督が映画化。かつて世界の頂点を目指しながらも挫折した元ボクサーと、理不尽な判定で敗北して夢を見失った若きボクサーが、共に世界チャンピオンを目指す。ボクシングを通じて固い絆で結ばれる男たちを、瀬々監督作『64-ロクヨン-』シリーズなどの佐藤浩市と『線は、僕を描く』などの横浜流星が演じるほか、橋本環奈、片岡鶴太郎、哀川翔、窪田正孝、山口智子らが共演する。

挫折した元ボクサーと、夢を見失った若きボクサーが、共に世界チャンピオンを目指す物語。王道のボクシング映画でありながらも、師弟関係やライバルとの対決など、人間ドラマとして見応えがありました。そして爽快感を感じさせる作品でした。ボクシングに人生をかける男たちの熱い気持ちや絆がよく伝わってきましたが、少々展開が早すぎると感じた場面もちらほら。瀬々敬久監督の作品にしては内容的に平凡な作りになっていた印象。
ラストの横浜流星と窪田正孝の試合シーンは本当の試合を見ているような臨場感がありました。バキバキの体に仕上げた横浜流星は本物のボクサーにしか見えなかった。スローシーンが多めだったしダサく見えてしまったのが気になりましたが…。ラストシーンでタイトルの「春に散る」の意味がわかりました。

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しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~

2024年05月07日 13時42分39秒 | 映画評論サ行

製作年:2023年
製作国:日本
日本公開:2023年8月4日
監督:大根仁
声の出演:小林由美子,ならはしみき,森川智之,鈴木もぐら,松坂桃李

ある晩、宇宙から飛来した暗黒の光と白い光が埼玉県カスカベ市の住宅に降下し、白い光が夕飯を待っていたしんのすけに命中する。その瞬間から彼の体全体に不思議な力がみなぎり、しんのすけが力に身をゆだねてお尻に意識を集中すると、おもちゃが宙に浮くのだった。一方、暗黒の光を浴び、超能力を手に入れたある男が暴走を始める。
臼井儀人の原作によるアニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版シリーズ第31作。シリーズ初の3DCG作品として『バクマン。』などの大根仁が監督などを手掛け、不思議なパワーを手にしたしんのすけの活躍を描く。3DCGアニメーションを担当するのは『STAND BY ME ドラえもん 2』などの白組。ボイスキャストはおなじみの小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ、真柴摩利らが務めている。

シリーズ初の3DCG作品。しんちゃんを3Dで見る日が来るとは!映像としては斬新で良かったですが内容を考えると、わざわざ3Dした意味があったのかは疑問です
。内容的には今回は大人向け。頑張っても報われない…夢なんてない…良い事なんてない…何で自分だけこんな目に合わなきゃいけないのか…。そんな男の物語です。暴力シーンやイジメ、孤独、親との溝など重い内容が続きます。怪獣のビジュアルが怖すぎる。「この国に未来なんて無い!」なんて子供向けの映画とは思えない(笑)、そしてそれに対する明るいメッセージ性が弱いのが残念。辛い経験ばかりしてきた若者に向けて「仲間となら乗り越えられるよ!」とか「頑張れ!」といった軽めの答えでは物語が締まらない。しんちゃんやひまわりが世界規模の危機に立ち向かう姿は良かったですが大人向けにし過ぎたせいか、いつものクレヨンしんちゃんの良い意味での“バカバカしさ”が薄まってしまったのが残念でした。非理谷充の声を担当した松坂桃李の声があまりハマってなくてずっと違和感を感じてました。

次回作は2D!やっぱりクレしんは2Dが良いと思います。

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