股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

この茫漠たる荒野で

2021年02月15日 12時31分19秒 | 映画評論カ行

製作年:2020年
製作国:アメリカ
日本公開:2021年2月10日
監督:ポール・グリーングラス
出演:トム・ハンクス,ヘレナ・ゼンゲル,エリザベス・マーヴェル,レイ・マッキノン

南北戦争が終結して5年。退役軍人のジェファソン・カイル・キッドは、各地を転々としながら世界のさまざまなニュースを読み伝える仕事をしていた。そんな旅の途中、キッドはジョハンナという10歳の少女と出会う。6年前にネイティブアメリカンに連れ去られ、そこで育てられたジョハンナは、英語もわからず見知らぬ外の世界に困惑していた。見かねたキッドは、彼女を親族のもとへ送り届ける役目を引き受ける。2人は厳しい自然や人間たちによってもたらされる試練に直面しながらも、荒野を進んでいく。
「キャプテン・フィリップス」のポール・グリーングラス監督とトム・ハンクスが再びタッグを組み、南北戦争後のアメリカを舞台に、各地を旅する退役軍人の男が、孤独な少女との旅路を通じて心を通わせていく姿を描いた人間ドラマ。主人公キッド役をハンクスが務め、ジョハンナをドイツ出身の新星ヘレナ・ゼンゲルが演じる。原作は、全米図書賞の最終候補に選出されたポーレット・ジルズのベストセラー小説。

ニュースの読み伝えをしながら旅をする男と、孤独な少女の姿を描いた本作。南北戦争後の殺伐としたアメリカ西部テキサスで生きる孤独な男と少女が出会ったことから物語は始まります。ポール・グリーングラス監督作品にしては壮大な荒野を舞台にしているが少々地味な印象を受けましたが、人間の感情を丁寧に描いている印象も同時に受けました。戦争で受けた心の傷や、大切な人の失った悲しみ。誰もが痛みや苦しみを抱えながら生きていかなければならない時代に、主人公のキッドと、2度も家族を殺された少女ジョハンナは互いに似たような心の傷を抱えているようで惹かれるものがあったのだろう。過去は忘れなければならないという考えのキッド。過去を振り返りながらも前を向いて歩いていくべきという考えのジョハンナ。ジョハンナを守ってあげていたキッドだったが、いつのまにかジョハンナに守られていた部分があったように見えました。多くのものを失ったけど、一緒に旅していく中で失ったものを補っていく関係って素敵じゃないか。
キッドとジョハンナの感情が理解しづらい部分もあったし、ジョハンナの背景も詳しくは描かれていないので、もう少し説明が欲しかったところ。アクションシーンは中盤の銃の撃ち合いシーンくらいで全体的には淡々とした映画でした。オチは予想通りだし最後まで盛り上がるシーンというのは無かったけど、言葉が無くても互いの痛みを理解できる関係でいられたキッドとジョハンナがとても素敵に思えました。支え合いながら生きていくことの大切さや、人間の生きる力というものを感じられました。安定のトム・ハンクス。そしてジョハンナ役のヘレナ・ゼンゲルちゃんの演技が素晴らしかった!

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
コメント
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