股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

ザリガニの鳴くところ

2023年03月31日 16時11分50秒 | 映画評論サ行

製作年:2022年
製作国:アメリカ
日本公開:2022年11月18日
監督:オリヴィア・ニューマン
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ,テイラー・ジョン・スミス,ハリス・ディキンソン
ザリガニの鳴くところ | ソニー・ピクチャーズ公式

6歳のときに両親に捨てられた少女カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)。ザリガニが鳴くといわれるアメリカ・ノースカロライナ州の湿地帯でたった一人で育ち、自然から生きる術を学んだのだった。ある日、その湿地帯で青年の変死体が発見され、カイアに殺人の容疑がかけられる。そして、法廷に立った彼女の口から語られたのは、想像を絶する半生だった。
ディーリア・オーエンズの小説「ザリガニの鳴くところ」を実写化したミステリー。湿地帯でたった一人で育った少女が殺人事件の容疑者となって法廷に立ち、壮絶な半生と事件の真相が明らかになる。メガホンを取るのは『ファースト・マッチ』などのオリヴィア・ニューマン。『フレッシュ』などのデイジー・エドガー=ジョーンズ、『シャドウ・イン・クラウド』などのテイラー・ジョン・スミスのほか、ハリス・ディキンソン、デヴィッド・ストラザーンらが出演する。

湿地帯で育った少女が殺人事件の容疑者となり、壮絶な人生が明らかになっていくミステリー作品。ミステリー作品というよりは法廷劇。法廷で裁判が進むにつれて、主人公のカイアと生い立ちと事件までの流れが明らかになっていきます。6歳から一人暮らしなんて壮絶すぎる!カイア、テイト、チェイスの3人の恋愛模様が丁寧に繊細に描かれており、全体的に非常にバランスが取れている作品でした。湿地帯という美しくもジメジメした不気味さを感じさせる舞台で繰り広げられる人間ドラマがとても見応えがありました。周りからはみんなが去っていき、1人で生きていくために様々な経験や知識を学んでいったカイヤ。出会い、別れ、恋愛、裏切り、自然…裁判が終わってから、結末はどうなるのかと思っていましたが、最後の最後でハッとさせられました。湿地帯の自然だけが彼女にとっては唯一信頼できる存在だったのかもしれない。湿地が彼女を育てたが、ザリガニは最後まで鳴かなかったのか。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
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ザ・ホエール

2023年03月30日 10時58分17秒 | 映画評論サ行

製作年:2022年
製作国:アメリカ
日本公開:2023年4月7日
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ブレンダン・フレイザー,ホン・チャウ,セイディー・シンク

映画『ザ・ホエール』オフィシャルサイト

本年度アカデミー賞R3部門ノミネート! 異色の室内劇×壮絶な心震わすヒューマン・ドラマ ブレンダン・フレイザー主演 × ダーレン・アロノフスキー監督/原題:The Whale

映画『ザ・ホエール』オフィシャルサイト

 


同性の恋人アランに先立たれてから過食状態になり、極度の肥満体となった40代の男チャーリー(ブレンダン・フレイザー)。看護師である妹のリズに支えられながら、オンライン授業でエッセーを指導する講師として生計を立てていた。そんな中、心不全となり死期が近いことを悟った彼は、8年前にアランと暮らすために家庭を捨てて以来、疎遠になっていた娘エリーに会おうと決意する。彼女との関係を修復しようとするチャーリーだったが、エリーは学校生活や家庭にさまざまな問題を抱えていた。
『ブラック・スワン』などのダーレン・アロノフスキー監督が、劇作家サミュエル・D・ハンターによる舞台劇を映画化。同性の恋人と暮らすために家族を捨てた男が自らの死期を悟り、疎遠になっていた娘との絆を取り戻そうと試みる。体重270キロを超える主人公を『ハムナプトラ』シリーズなどのブレンダン・フレイザーが演じ、『ELI/イーライ』などのセイディー・シンク、『ダウンサイズ』などのホン・チャウのほか、タイ・シンプキンス、サマンサ・モートンらが共演。

キノフィルムズの試写会にて鑑賞。「ハムナプトラ」シリーズのブレンダン・フレイザーが巨漢の男性を演じ、本年度アカデミー賞では見事に主演男優賞とメイク・ヘアスタイリング賞を受賞した本作。体重270キロの特殊メイクは凄い!恋人と暮らすために家族を捨てた男が自身の死期を悟り、疎遠になっていた娘との絆を取り戻そうとするお話。
2時間の上映時間の中で映されるのは主人公のチャーリーの家の中のみ。最期の5日間を彼がどう過ごすのか…。一見するとチャーリーは自分勝手な人間のように見えてしまう。けれどチャーリーも誰かを傷付けたいと思って生きてきたわけではない。チャーリー自身も苦悩であったり傷付きながら生きてきた。最期も5日間ですら、悩み苦しまなければならない彼の姿が切なかったです。でも最後に少しだけその巨漢が軽くなった気がして、彼は神に救われたのだと感じました。
正直に生きることも、嘘をついて生きることも、結局はどちらも生きづらいのかもしれない。誰も傷付けずに生きることなんて出来ないのかもしれない。どんなに酷いことをしてもされても、それでも大切な人を想う気持ちだけが変わらない。チャーリーと娘エリーの今の関係性を見て、そう思いました。エリーもずっと辛かっただろうな…
この作品は文学的な部分や、宗教的な部分も多少含まれているので、個人的には全てを理解するまでには至らなかったのが残念。小説「白鯨」を読んだ人であれば、この映画をもっと奥深くまで楽しめるでしょう。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件

2023年03月28日 13時45分26秒 | 映画評論マ行

製作年:2020年
製作国:スウェーデン/アメリカ
日本公開:2021年8月6日
監督:ミカエル・マルシメーン
出演:アリソン・ウィリアムズ,アレクサンダー・ドレイマン,キース・デヴィッド

映画『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』 公式サイト

2人が生き残るためにした究極の決断とは――『ロスト・バケーション』制作陣が放つ驚異の“落下G”体験!- 8.6 FRI TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー

映画『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』 公式サイト

 


インド洋に浮かぶ孤島で開かれる、友人の結婚式に招待されたサラ(アリソン・ウィリアムズ)。島に向かう小型セスナ機に搭乗するが、かつての恋人ジャクソン(アレクサンダー・ドレイマン)と乗り合わせてしまう。気まずい雰囲気に包まれる機内だが、彼らは眼前に広がる青い海と空に心を弾ませる。しかし、上空6,000メートルでパイロットが心臓発作を起こして急死。自動操縦は機能せず、GPSも故障してしまう。混乱するサラたちに追い打ちを掛けるように、前方から乱気流が迫ってくる。
『ロスト・バケーション』などのジャウマ・コレット=セラ監督が製作を務めたサバイバル劇。小型セスナ機に乗り合わせた元カップルの男女が、飛行中にパイロットが急死するという事態に見舞われる。メガホンを取るのは『コールガール』などのミカエル・マルシメーン。『パーフェクション』などのアリソン・ウィリアムズ、ドラマシリーズ「ラスト・キングダム」などのアレクサンダー・ドレイマンらが出演する。

結婚式に向かうためにセスナ機に乗った元カップルが緊急事態に見舞われるサバイバル映画。タイトルからして、ふざけた映画なのかと思いましたが、わりと真面目で王道なサバイバルアクションでした。期待してなかったけどハラハラドキドキ感がありました。
少しだけ付き合ってただけの関係で、1年ぶりに会ったと思ったらいきなりベッドイン。おいおい、友達の結婚式前日に何してんだよ。なんやかんやでセスナ機に乗っていたら機長が心臓発作で死去。サラとジャクソン、2人の地獄の飛行が始まるのです。飛行中に様々な非常事態が起きるのはお決まりのパターン。燃料切れ、嵐、通信トラブル…。仲が悪かった2人が徐々に協力し合う展開もお決まりのパターン。吊り橋効果ってやつか?まぁいくら緊急事態とはいえ、おじいちゃんを蹴り落とすシーンには驚いたというか笑えた。タイタニックのオマージュシーンも笑えた。ラム酒が燃料の代わりになるかとか、命綱無しで屋根によじ登るなど、ツッコミどころは多いけどツッコんではいけない。
ラストはあっさりでしたね。サメは無駄な演出でしたね。ガブっといけよ(笑)

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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生きる LIVING

2023年03月25日 18時10分28秒 | 映画評論ア行

製作年:2022年
製作国:イギリス,日本
日本公開:2023年3月31日
監督:オリヴァー・ヘルマヌス
出演:ビル・ナイ,エイミー・ルー・ウッド,アレックス・シャープ,トム・バーク

映画『生きる-LIVING』公式サイト

黒澤明×カズオ・イシグロ 不朽の名作がイギリスを舞台にいま、よみがえる! 本年度アカデミー賞最有力!

 


1953年、第2次世界大戦後のイギリス・ロンドン。役所の市民課に勤めるウィリアムズ(ビル・ナイ)は、毎日同じことを繰り返し、仕事に追われる自分の人生にむなしさを感じていた。ある日、医師からがんで余命半年であることを告げられる。最期が近いことを知った彼はこれまでの味気ない人生を見つめ直し、残された日々を大切に過ごして充実した人生にしたいと決意する。やがて、彼の変化は無関心だった周囲の人々をも変えていく。
黒澤明監督による『生きる』を、映画化もされた「日の名残り」などで知られるノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイク。第2次世界大戦後のイギリス・ロンドンを舞台に、仕事一筋で生きてきた男性が死期を宣告されたことで、自らの人生を見つめ直す。監督はオリヴァー・ヘルマヌス。『パレードへようこそ』などのビル・ナイが主演を務め、『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』などのエイミー・ルー・ウッド、『パーティで女の子に話しかけるには』などのアレックス・シャープ、『聖なる証』などのトム・バークらが共演する。

東宝試写室にて鑑賞。黒澤明監督の「生きる」のリメイク作品。オリジナル版は観ておりません。
仕事一筋で生きてきた男に宣告された余命。残された時間をどう生きるかが描かれています。御涙頂戴の演出があるわけではなく、1人の男の限られた時間を淡々と描かれているのがリアリティが感じられて見応えがありました。どう生きるか…何が出来るのか…最期をどう迎えるのか…。死期を宣告されたら自分ならどうするか考えてしまいました。ウィリアムズのように行動できる自信はない。ウィリアムズは真面目な人間だが、お役所仕事は形式的にこなすばかりで、家族にも愛を注いであげられなかった。それなら最後くらいは自分が生きた証、自分がこれまで生きてきた意味を残そうとしたのだろう。日々淡々と仕事をして生きている僕も、ゾンビになったとしても真面目に働こうと思いました。
まぁ余命宣告をされた人間がどう生きるかという設定は使い古された設定ではあるけれど、音楽やワザと古く見せる映像技術が素晴らしく、最後までビル・ナイの演技に引き込まれました。「生きる」とは何かを改めて考えてしまう作品でした。

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
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今夜、世界からこの恋が消えても

2023年03月21日 20時29分16秒 | 映画評論カ行

製作年:2022年
製作国:日本
日本公開:2022年7月29日
監督:三木孝浩
出演:道枝駿佑,福本莉子,古川琴音,前田航基,松本穂香,水野真紀,萩原聖人

『今夜、世界からこの恋が消えても』公式サイト

明日、僕を忘れてしまう君と忘れられない恋をした。「セカコイ」2/15(水)Blu-ray&DVD発売!道枝駿佑、福本莉子W主演

『今夜、世界からこの恋が消えても』公式サイト

 


クラスメートに促されるまま、神谷透(道枝駿佑)が日野真織(福本莉子)にうその告白をすると、彼女は本気で好きにならないことを条件に交際を承諾する。やがて互いを知るにつれ、透は本気で彼女に惹(ひ)かれるようになるが、真織は一日ごとに記憶を失ってしまう難病「前向性健忘」であることを明かす。記憶をつなぎ留めようと一日の出来事を日記に記す彼女に対し、少しでも幸福な時間を過ごしてほしいと願う透だったが、自らも重大な秘密を抱えていた。真織の幸せを守るため、透はある計画を練る。
電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した一条岬の小説を実写映画化。ある時点からの記憶を失ってしまう難病「前向性健忘」を患うヒロインと、ある秘密を抱えながらも彼女を支える主人公が織り成す恋を描く。監督を『くちびるに歌を』などの三木孝浩、脚本を『君は月夜に光り輝く』などの月川翔と『明け方の若者たち』などの松本花奈、音楽を『糸』などの亀田誠治が担当。主人公を『461個のおべんとう』などの道枝駿佑、ヒロインを三木監督作『思い、思われ、ふり、ふられ』などの福本莉子が演じる。

記憶を失ってしまう難病「前向性健忘」を患うヒロインと、彼女を支える主人公が織り成す恋を描いたラブストーリー。よくある記憶を無くす系のお話。だけど美男美女の切ない展開がとても良かったです。水族館でのシーン、2人の花火を背にしたキスシーンや会話に久しぶりにキュンキュンしてしまいました。主人公の2人よりも親友を演じた古川琴音の演技に感情移入してしまいました。親友の恋を見守ったり、親友のために好きな人の痕跡を消そうとする姿がウルっときました。人物の見せ方や、光の取り入れ方など、三木監督らしさが光る映像でした。
おじさんから見て、ちょっと引っかかることも幾つか。透くんがいなくなってしまったのが突然すぎて「えっ?」って思ってしまった。記憶が毎日消えてるのに、学校の友達は気付かないのかな?

道枝駿佑くんファンじゃなくても観て損はない映画だと思います。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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三姉妹

2023年03月20日 17時51分53秒 | 映画評論サ行

製作年:2020年
製作国:韓国
日本公開:2022年6月17日
監督:イ・スンウォン
出演:ムン・ソリ,キム・ソニョン,チャン・ユンジュ,チョ・ハンチョル,ヒョン・ボンシク

「三姉妹 - ThreeSisters - 」6/17(金)ロードショー!

韓国映画賞 女優部門を席捲!烈しくて、痛くて、あたたかい。いまを生きる女たちの絆の物語「三姉妹 - ThreeSisters - 」6/17(金)ロードショー!

「三姉妹 - ThreeSisters - 」公式サイト

 


ソウルに住む3姉妹が、父親の誕生日を祝うために久々に集まる。長女ヒスク(キム・ソニョン)は、別れた夫の借金を返済しながら小さな生花店を営んでいる。高級マンションで暮らす次女ミヨン(ムン・ソリ)は教会に熱心に通い、完璧な人間として振る舞う。そして劇作家の三女ミオク(チャン・ユンジュ)はスランプに陥って酒に溺れる日々を送っていた。
韓国・ソウルで生活している3姉妹の絆を描く人間ドラマ。性格も職業も生活スタイルも違う3姉妹が久しぶりに再会し、封印していた過去の傷と向き合う。イ・スンウォンが監督と脚本を手掛けるほか、『オアシス』などのムン・ソリが出演と共同プロデューサーを担当。『マルモイ ことばあつめ』などのキム・ソニョン、『ベテラン』などのチャン・ユンジュ、ドラマ「海街チャチャチャ」などのチョ・ハンチョルらが出演する。

波乱万丈な3姉妹の日々を描いた本作。みんな色々と“ふり”をしながら生きている。完璧なふり…大丈夫なふり…酔ってないふり…。この三姉妹のような壮絶な人生を送ったことはないけれど、“ふり”をしたことはたくさんある。思い通りにならない人生は何故なのか…韓国という国の文化がそうさせているのかもしれないし、両親の育て方のせいかもしれないし、自分のせいなのかもしれない。神に祈っても何も変わらない。自分で変えようとしなきゃ何も変わらない。長女ヒスク、次女ミヨン、三女ミオク、それぞれが悩み苦しみ這い上がろうとする姿は見応えがあったし、1人じゃ出来ないことも姉妹が集まれば出来ることがある絆の大切さを感じました。他人よりも家族のほうが、付き合い方が難しいことってあるのかも。3姉妹の癖のある性格に誰にも感情移入はできなかったけど、後半になるにつれて両親との確執が分かってきて面白くなってきました。
希望の光が見える終わりは良かったのですが、3姉妹よりも、ほとんど登場しなかった弟の方が辛い人生を送っていそうで気になりました。

宗教に人生を狂わされる家族…どの国でも根深い問題ですね。

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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アイ・アム まきもと

2023年03月17日 17時57分32秒 | 映画評論ア行

製作年:2022年
製作国:日本
日本公開:2022年9月30日
監督:水田伸生
出演:阿部サダヲ,満島ひかり,宇崎竜童,松下洸平,でんでん,松尾スズキ,宮沢りえ

映画「アイ・アム まきもと」公式サイト|大ヒット上映中!

主演 阿部サダヲ×監督 水田伸生コンビが送る最新作『アイ・アム まきもと』。市役所の「おみおくり係」を務める、ちょっと迷惑な男=牧本壮が “まき” 起こす、“迷惑系” ヒュ...

映画「アイ・アム まきもと」公式サイト|大ヒット上映中!

 


とある市役所で、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として働く牧本壮(阿部サダヲ)。空気が読めず人の話を聞かない彼は、故人を思うがあまり周囲を振り回すこともしばしばだった。そんなある日、おみおくり係の廃止が決定する。孤独に亡くなった老人・蕪木孝一郎(宇崎竜童)の葬儀が最後の仕事となった牧本は、故人の身寄りを探すために友人や知人を訪ね歩き、蕪木の娘・津森塔子(満島ひかり)のもとにたどり着く。
『舞妓 Haaaan!!!』などの主演・阿部サダヲと水田伸生監督が再び組んだ人間ドラマ。人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として役所で働く男が、ある老人のおみおくりに身寄りや知人を集めようと奔走する。ウベルト・パゾリーニ監督による『おみおくりの作法』を原作に、『十二人の死にたい子どもたち』などの倉持裕が脚本を担当。共演には『海辺の生と死』などの満島ひかり、『曽根崎心中』などの宇崎竜童のほか、松下洸平、でんでん、宮沢りえ、國村隼らが名を連ねる。

役所で「おみおくり係」として働く男が、亡くなった無縁仏の人々のために奔走する物語。バカ真面目で几帳面で空気が読めない牧本の言動は、牧本だから許されるのであって、阿部サダヲだから許されること。実際にこんな人間がいたら僕だったらイライラしてしょうがない。まぁ亡くなった誰か分からない人のために行動できる牧本のような存在はこれからの日本には絶対に必要な存在なのだろうし、まさに牧本の粘り勝ちではある。誰からも引き取り手がない遺骨を大切な人へと繋げる仕事。素晴らしい仕事です。
蕪木さんの関係者を探し出すのが意外とあっさり進んでしまって感情移入や感動ができなったのが残念なところ。豪華なキャスト陣が勢揃いしているのに、それを活かしきれてなかったです。
後半はまさかの急展開に驚きました。いやっ急すぎるし気持ちの整理がつかないまま映画が終わってしまったのでモヤモヤが残ってしまいました。最後の幽霊たちの集合シーンはなんか怖い。コメディ色が強すぎたのも減点。

自分の最期をどう迎えるか。終活って大事だな。

この作品の評価・・・・★★★★★☆☆☆☆☆(満点は★10)
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異動辞令は音楽隊!

2023年03月15日 13時40分26秒 | 映画評論ア行

製作年:2022年
製作国:日本
日本公開:2022年8月26日
監督:内田英治
出演:阿部寛,清野菜名,磯村勇斗,高杉真宙,六平直政,光石研,倍賞美津子

映画『異動辞令は音楽隊!』公式サイト

鬼刑事がドラム奏者に!? 人生大転換エンターテイメント! 主演:阿部 寛 原案・脚本・監督:内田英治 - 8月26日(金)全国公開

映画『異動辞令は音楽隊!』 公式サイト

 


捜査一課で現場一筋の警部補・成瀬司(阿部寛)は、犯人逮捕のためには手段を選ばない鬼刑事で部下にも厳しく、捜査を理由に一人娘・法子(見上愛)との約束も破ってしまうような仕事人間だった。高齢者を狙った「アポ電強盗事件」が次々に発生する中、疑わしい人物を令状もなく捜査するといった強引な行動により、彼は上司から異動を命じられる。刑事部内での異動だろうと軽く考える司だったが、異動先は広報課の「音楽隊」だった。
行き過ぎた捜査の末、警察音楽隊に異動することになった鬼刑事の奮闘を描く人間ドラマ。『ミッドナイトスワン』などの内田英治がメガホンを取り、YouTubeで偶然見かけた警察音楽隊の映像に着想を得てオリジナル脚本を執筆。犯罪捜査一筋の主人公を『テルマエ・ロマエ』シリーズなどの阿部寛が演じ、『東京無国籍少女』などの清野菜名、『前科者』などの磯村勇斗、『前田建設ファンタジー営業部』などの高杉真宙のほか、モトーラ世理奈、渋川清彦、倍賞美津子らが共演する。

現場一筋の鬼刑事の主人公が、警察音楽隊に異動することになる奮闘を描いた作品。アポ電強盗事件が多発しているという、最近よくニュースで耳にするタイムリーなネタでした。皆さん警察や銀行を装った不審な電話には注意しましょう。現金の隠し場所や貯金額を教えてはいけません。
警察音楽隊にスポットを当てた映画ってなかなか無いので、設定としては新鮮で良かったです。展開としては観やすくて良かったのですが、予定調和というか、色々と上手くいき過ぎ感がありました。登場人物たちの心変わりがあっさりしていたり、事件解決もとんとん拍子で進む。成瀬と音楽隊のメンバーとの関係性や、家族との関係性をもっと深堀りすれば共感できたかなと思います。音楽隊の人たちのやる気の無さは実際にはありえないと思う。主人公の成瀬も、子供の頃に少し太鼓をしていたくらいであんなに上手くドラムが叩けるか?目の前に犯人が1人いて、周りに大勢の警察官がいるのに逃げられるってどういうこと!?音楽隊の話も強盗事件の話も、浅く描きすぎていて残ねんでした。
唯一良かったシーンはおばあちゃんの前で皆で演奏するシーンかな。あのシーンはちょっとグッときてしまいました。音楽隊の演奏シーンをもっと魅力的に見せれば良かったかも。

この作品の評価・・・・★★★★★☆☆☆☆☆(満点は★10)
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耳をすませば

2023年03月09日 12時30分41秒 | 映画評論マ行

製作年:2022年
製作国:日本
日本公開:2022年10月14日
監督:平川雄一朗
出演:清野菜名,松坂桃李,山田裕貴,内田理央,安原琉那,中川翼,田中圭,近藤正臣

映画『耳をすませば』公式サイト|2023年2月22日(水)ブルーレイ&DVD発売!

名作『耳をすませば』。10年後の二人の物語が、はじまる。

映画『耳をすませば』公式サイト|2023年2月22日(水)ブルーレイ&DVD発売!

 


本を読むことが好きな中学3年生の月島雫は、最悪な印象を抱いていたクラスメートの天沢聖司が懸命に自分の夢を追いかけている姿を目にして徐々に心惹(ひ)かれていく。対する聖司も彼女が小説家になるという夢を抱いているのを知って意識し始める。お互いに夢をかなえようと誓い合う二人だったが、それから10年が経って24歳になった雫(清野菜名)は出版社に勤めて児童小説を編集していた。いつしか小説家になるのを諦め、夢を追って海外で暮らす聖司(松坂桃李)との間に距離も生じていたが......。
スタジオジブリのアニメでも知られる柊あおいのベストセラー・コミックを原作にした青春ラブストーリー。それぞれに夢を追いながら惹(ひ)かれ合う少年少女の淡い恋模様を、その10年後の姿も交えながら映し出していく。メガホンを取るのは、『春待つ僕ら』『記憶屋 あなたを忘れない』などの平川雄一朗。『今日から俺は!!』シリーズなどの清野菜名、『新聞記者』『蜜蜂と遠雷』などの松坂桃李が主人公の男女を演じている。

言わずと知れたスタジオジブリの名作「耳をすませば」。10年後を描こうと決めた映画関係者の勇気をまず褒めたい。以前に観た実写版「魔女の宅急便」の完成度の酷さに衝撃を受けたせいか、本作は期待値ほぼゼロで鑑賞。そのおかげか、思っていたほど悪くはなく最後まで観ることが出来ました。まぁ色々とツッコミたいところはありましたが…。中学生時代の雫と整司のシーンもありましたが、やはりアニメと比べてしまうと“違う、そうじゃない”感が否めない。キュンキュンもしない。アニメではバイオリン弾いてたはずなのに実写版ではチェロになってた。なぜ?そして10年は長いよなぁ…雫もさすがに10年は待てないだろうなぁ…とアニメを観た時に思いましたが、まさか本当に10年待ってたとはビックリ!会話の内容からして本当に10年ぶりに会った感じ。ジブリだから許されるのであって、現実世界なら別れてそう。雫も聖司も大人になっても純粋さは忘れてはないと感じられたのは良かったのだけど、聖司もハッキリしない部分があったし、雫も勝手に部屋を出ていったくせに「別れてきた!」と言えるのが凄い。そして友人サラの「10年間の遠距離恋愛するなんて!」と何様だよ発言。恋敵サラはその後どうしたのかな?手紙をもらい、再び仕事を頑張り、ふと外を見ると聖司くんって…急すぎる展開!!
そして何故に劇中でカントリーロードを使わない。権利の問題?イタリアで翼をくださいじゃ感動するわけない。カントリーロードがあってこその「耳をすませば」なのに…。合唱コンクールを思い出しました。
「耳をすませば」の実写版と思わずに見れば、それなりに楽しめるラブストーリーかなと思います。

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ドント・ウォーリー・ダーリン

2023年03月08日 20時21分57秒 | 映画評論タ行

製作年:2022年
製作国:アメリカ
日本公開:2022年11月11日
監督:オリヴィア・ワイルド
出演:フローレンス・ピュー,ハリー・スタイルズ,クリス・パイン

映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』公式サイト|大ヒット上映中!

『ミッドサマー』のフローレンス・ピュー最新作!予想できない展開で観るものを惹きつける 恐怖と欲望が入り乱れる極限のユートピアスリラーの世界|映画『ドント・ウォー...

映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』公式サイト|大ヒット上映中!

 


完璧な生活が保証された理想の街ビクトリーで、愛する夫ジャック(ハリー・スタイルズ)と暮らすアリス(フローレンス・ピュー)。この街には「夫は働き、妻は専業主婦でなければならない」「街から勝手に出てはいけない」といったルールが定められていた。あるとき、隣人が見知らぬ男たちに連れ去られるのを見かけて以降、彼女の周りで不可解な出来事が頻発するようになる。精神的に不安定になり周囲から心配されるアリスだったが、あるきっかけから街の存在に疑問を抱き始める。
『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』で長編監督デビューを飾った女優オリヴィア・ワイルドがメガホンを取ったスリラー。完璧な生活が保証された街を舞台に、理想の生活を送る女性の周囲で続発する不可解な現象を描く。主人公を『ミッドサマー』などのフローレンス・ピュー、彼女の夫をボーイズグループ「ワン・ダイレクション」のメンバーであるハリー・スタイルズが演じ、『エターナルズ』などのジェンマ・チャン、『スター・トレック』シリーズなどのクリス・パインらのほか、ワイルド監督自身も出演する。

理想の夫婦、理想の暮らし…だったはずの周囲で奇妙な現象が起きるスリラー。フローレンス・ピューが主演のせいか、同じく主演した「ミッドサマー」にどことなく雰囲気が似ている。ジェシー・アイゼンバーグ出演の「ビバリム」にもちょっと雰囲気が似ている。
夫は外で働き、妻は家庭を守る。絶対に街の外に出てはいけない。謎のルールに疑問を感じた主人公のアリスは、周囲から心配や監視されながらもそのルールの謎を探ろうとします。こういう謎解きの作品って個人的には好き。だがストーリー展開の面白さの反面、よくあるスリラー作品止まりに落ち着いてしまったのは残念。そして色々と説明不足。雰囲気や音楽は好きなのだが伏線が回収できないまま。この街、この目的、この会社、この組織についての説明がほぼ無かったのでモヤモヤが残る終わり方でした。
男と女で考え方って違うもんだよな。理想の世界、理想の生活、理想の夫婦、理想の幸せとは何かをちょっぴり考えさせてくれる男尊女卑を描いた映画でした。

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フェイブルマンズ

2023年03月06日 17時54分05秒 | 映画評論ハ行

製作年:2022年
製作国:アメリカ
日本公開:2023年3月3日
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ガブリエル・ラベル,ミシェル・ウィリアムズ,ポール・ダノ,セス・ローゲン

映画『フェイブルマンズ』公式サイト

人生の出来事、そのひとつひとつが映画になった。スピルバーグの自伝的作品 映画『フェイブルマンズ』大ヒット上映中

映画『フェイブルマンズ』公式サイト

 


初めて訪れた映画館で映画に魅了された少年サミー・フェイブルマン(ガブリエル・ラベル)。その後彼は8ミリカメラを手に、家族の行事や旅行などを撮影したり、妹や友人たちが登場する作品を制作したりするなど、映画監督になる夢を膨らませていく。母親(ミシェル・ウィリアムズ)が応援してくれる一方で、父親(ポール・ダノ)は彼の夢を本気にしていなかった。サミーはそんな両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを経て成長する。
『E.T.』など数多くの傑作を生み出したスティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的作品。映画に心を奪われた少年がさまざまな人々との出会いを通じて成長し、映画監督になる夢を追い求める。『デッド・シャック ~僕たちゾンビ・バスターズ!~』などのガブリエル・ラベル、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』などのミシェル・ウィリアムズ、『ルビー・スパークス』などのポール・ダノのほか、セス・ローゲン、ジャド・ハーシュらが出演。第47回トロント国際映画祭で最高賞に当たる観客賞を受賞した。

巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的作品。映画と出会い、映画監督の夢を叶えた自身の半生を基に描かれています。両親に連れてこられた主人公のサムが初めて劇場で観た「地上最大のショウ」。そこからサムは映画の虜になり、8ミリカメラで家族を撮影するようになり、やがて仲間たちと自主製作の映画を作るようになるのです。ホームビデオだけでも面白いのは何でだ。ボーイスカウトの子供達だけであれほど完成度の高い映画を作れるのだから恐るべしスピルバーグ少年!やはり天才は幼い頃から天才なのね!
映画製作への愛が溢れた作品であることは間違いないのですが、どちらかと言えば家族の中で起きる問題を軸に描かれているような印象。淡々とした展開ながらも人間ドラマをしっかり見せてくれています。しかし幼少期の暗い過去や、傷付いた心こそが、後の数々の名作を生みだしたのだろう。スピルバーグって純粋で真面目で繊細な少年だったことが分かります。物事には全て意味があり、楽しいことも悲しいことも、いずれは人生の糧になるのだと観ていて感じました。
映画は栄光を与えてくれるが孤独も与える。人生はフィルムのように巻き戻しが出来ない。思い通りの人生にはならなくとも、自分自身の人生を必死で一生懸命に生きていけば夢は叶うのだとスピルバーグに改めて教えてもらいました。ラストシーンでまさかのあの人が登場!?終わりかたが素敵でした!

この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)
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ちひろさん

2023年03月05日 00時20分49秒 | 映画評論タ行

製作年:2022年
製作国:日本
日本公開:2023年2月23日
監督:今泉力哉
出演:有村架純,豊嶋花,嶋田鉄太,若葉竜也,佐久間由衣,リリー・フランキー
2月23日公開 映画「ちひろさん」公式サイト

あてもなく海辺の町にたどりついた、元風俗嬢のちひろ(有村架純)。ある弁当屋の味に魅せられた彼女はそこで働き始め、風俗で働いた過去を隠そうとしないあっけらかんとした性格、屈託のない笑顔、気取らないおしゃべりで人気を集める。やがて、家族や周囲との関係をうまく築けない女子高生、伝えたいことを伝えられずもどかしさを抱える少年、父親との過去に悩むあまりに暴力的な衝動に駆られそうになる青年など、生きづらさを抱えた者たちが、彼女を慕うようになっていく。
安田弘之の漫画「ちひろさん」を実写化したドラマ。立ち寄った海辺の町にある弁当屋で働く元風俗嬢が、飾り気のない言動で生きづらさを抱えた人々を癒やしていく。メガホンを取るのは『窓辺にて』などの今泉力哉。ヒロインを演じるのは『花束みたいな恋をした』などの有村架純。脚本は『シェル・コレクター』などの澤井香織と、今泉監督が共同で担当する。

海辺の町で働く元風俗嬢の女性・ちひろが、傷付いた人々の心を癒していく物語。ほんわかした作品でした。幸せの度合いって人それぞれだし、孤独の度合いも人それぞれ。一方的に自分の価値観を押し付けてしまうと、相手を苦しめてしまうもの。家族、友達、仕事…その場所にその枠の中にいなきゃいけないわけじゃない。孤独や闇を抱えているからこそ、人に優しくもできる。生きやすいところで生きればいいんだよと、ちひろの言動からそんなメッセージ性が伝わってきました。同じ星の人かぁ…なんかわかる気がする。どこにいたって孤独を手放さずにいられるよ。
ゆっくりしたテンポで話は進んでいきます。内容的には飽きることはないのだけど、いまいち作品全体のインパクトが薄い。観終わって考えると、何か印象的なシーンがあったかな?と思い出しづらい…。元風俗嬢役の有村架純がどれだけの濡れ場を披露するのかと思ってましたが、う~ん…やはり清純派の殻はまだまだ破れないか(笑)

あの弁当食べたくなった

この作品の評価・・・・★★★★★★☆☆☆☆(満点は★10)
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