股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

娘は戦場で生まれた

2020年11月21日 17時30分14秒 | 映画評論マ行

製作年:2019年
製作国:イギリス/シリア
日本公開:2020年2月29日
監督:ジェフ・フォウラー
出演:ワアド・アル=カデブ,サマ・アル=カデブ,ハムザ・アル=カデブ
映画「娘は戦場で生まれた」公式サイト

内戦が続くシリアでジャーナリストに憧れを抱く学生のワアドは、デモに参加したことをきっかけにスマートフォンで撮影するようになる。戦火が激しさを増し多くの人々が亡くなっていく中、ワアドは医師志望の青年ハムザと結婚し、やがて娘を授かる。「サマ」と名付けた娘のため、ワアドは周囲の人々の生きた証を撮り続ける。
シリアのワアド・アル=カデブ監督が自身や周囲の人々の生活と、シリアの現状を記録したドキュメンタリー。死と隣り合わせの中で営まれる日常を映し出す。共同で監督を務めたのは、ドキュメンタリーなどを手掛けてきたエドワード・ワッツ。カンヌ国際映画祭など各国の賞レースを席巻した。

独裁政権に反発し、自由を求めるアレッポの人々を描いた本作。シリアの内戦の現状と周囲の人々の生活を死と隣り合わせで撮影したドキュメンタリー作品。「これはフィクションだよね?いやっ、フィクションであってほしい…」と何度も願ってしまうほど、目を覆いたくなるような映像がたくさん流れます。政府が国民を平気で殺害する。そんな出来事が当たり前のように毎日起きていて、それが今でも地球上のどこかで起きている現実。人間ってなんて愚かなのだろう。世界中の6500万人もの人が内戦の映像を見ていても、何も変わらないことに衝撃を受けました。日本に住んでいるとミサイルや爆弾が落ちてくるなんて考えたこともない。しかし死と隣り合わせで生活している人がいる。そして内戦で犠牲になるのは、いつも何の罪もない人たちなのだ。この映画を観て「あぁ、戦争って怖いな」「何か自分に出来るかな」という感想を並べるのも違和感を感じてしまうほど、何と言っていいのか分からない現実を見せつけられた気分です。メディアが映さない生と死がこの映画で描かれていました。アレッポの人々がミサイルや爆弾が飛び交っているのに普通に生活していることが驚きです。それが当たり前だと思っているのかもしれないが、僕から見たら恐怖でしかない。2016年という最近の出来事なのに全然知らなかったことが恥ずかしい。この現実を世界に伝えなきゃという信念を持ってカメラで撮り続けたワアドを本当に尊敬します。
弟を殺された兄弟の姿や、心肺停止の状態で生まれた赤ちゃんの姿に涙が止まりませんでした。辛い映像ばかりが続きますが、市民の人々やサマの笑顔、子供たちの無邪気さにホッとさせられました。絶望の中の唯一の希望。サマだけでなく、シリアの人々が平和な生活を送れるように願っています。
観て良かった!絶対に観るべき映画!だけどもう一度観ることは辛過ぎて出来ない…。ゆっくり映画を観れることは幸せなことなのだと改めて思いました。

この作品の評価・・・・★★★★★★★★☆☆(満点は★10)
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