パピとママ映画のblog

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31年目の夫婦げんか ★★★

2013年09月17日 | さ行の映画
結婚31年目に夫婦の絆を取り戻そうと奮闘する夫婦を、オスカー受賞のメリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズが演じるヒューマンドラマ。カップルセラピーに振り回されながらも、結婚生活を振り返り、未来のための答えを見つけ出すまでの夫婦の姿を描く。『プラダを着た悪魔』のデヴィッド・フランケルがメガホンを取り、夫婦に性生活などを指南するセラピスト役で、『40歳の童貞男』などのスティーヴ・カレルが共演。夫婦だからこその迷いを見事に演じる名優の演技に引き込まれる。
あらすじ:変わり映えのない毎日を送る結婚31年目の夫婦、ケイ(メリル・ストリープ)とアーノルド(トミー・リー・ジョーンズ)。これまでの夫婦の生活を改めたいと考えていたケイは、フェルド医師(スティーヴ・カレル)のカップル集中カウンセリングを知り、夫に知らせずに予約を入れる。セラピー参加に反対していた夫を連れ、二人はメーン州のフェルドのもとを訪れた。そして、カウンセリングがスタートしたものの……。

<感想>メリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズが倦怠期の夫婦の危機と再生を演じると聞くと、この顔合わせが見どころかなって、思って見たら、もうね、これだけで「いい映画」要素が満載ですよ。芸達者な役者と身につまされるテーマ。しかもコメディタッチだから、いかにもなハッピーエンドも気にならない。
全米でセックスを語るブーム継続中?・・・と戸惑いがあった「ムービー43」と一緒に鑑賞した。こちらはファンタジーで、全然趣旨が違うんですけれどね。

結婚31年目を迎えた夫婦生活の沈滞を、打破しようとするのは妻であって、仕事を持っている夫ではないのはよく分かる。だが、専門医のカウンセリング(スティーヴ・カレル)に依存するというところが、いかにもアメリカ的なのだ。そして、結局のところ、二人のベテラン俳優の演技をもってしても明確な答えは出てこない。
でもね、夫婦の問題というよりも、あけすけに言ってしまえば性の問題を巡って繰り広げられるバトルを、間合いや目線を使いこなして演じる大物俳優二人のなんと楽しそうなことよ。

おまけにセックスシーンまで演じてしまうのだから、まさかこんな大物たちが出てくれるだなんて脚本家もさぞ驚いたでしょうに。
ソファに座る二人の距離の取り方など、要所を押さえた演出には、ラストシークエンスに至るまで、快調でユーモラスがあっていい感じである。
そいう意味では楽しい映画だったし、誰かが観るといっても止めはしない。軽い気持ちで観るのならいいんじゃないの。しかし、あくまでもファンタジーなので、ということを忘れて観てしまうと、ちょっぴり罪作りな作品にもなり得るようだ。
夫婦関係に問題を抱えた中高年カップルは、私の周りにもたくさんいて、こんな処方箋でどうこうなるとは思えないからだ。日本ではこういったカウンセリングは、夫婦では受けにいかないようだ。現実的には二人で話あって考えるか、一方的に別居か離婚を言い渡し、二人の関係は終わってしまう。

結婚生活31年もすれば、セックスレスで冷え切った夫婦なんてのはごまんといる。だからって夫婦がセックスをすればラブラブになれるなんて、そんなのあり得ないと思う。本当は愛し合っているのにセックスレスのせいで愛の表現方法を見失っていたなんて、そんな単純なことならバイアグラでも飲んでればってことになる。

だから、実にこの内容はファンタジーなんですね。お伽噺に過ぎない話を笑って観て、妻が描いた夢物語のような、また二人で結婚式をして誓いの言葉をいい、結婚記念日には外食をしてプレゼントも惜しまない。そして、どちらかがお墓に入るまで一緒に仲良く過ごしましょう、という夢物語。

子供も巣立って2人戻った夫婦が「別れるか、再び新婚を取り戻すか」に直面する熟年夫婦クライシス映画でもあります。安心感も保証付きの、「母の眠り」で感じた主婦を演じるときのメリルの巧さに今回も遭遇した。結婚前の二人で観て「会話の続く夫婦」になれるかを密かに検証するのにも最適かもです。
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